
結論:送迎職員が定時までに帰って来れない時は、職員に連絡しよう。

この記事の対象者は
デイサービスの管理者
デイサービスの介護リーダー
デイサービスの正社員
です。

この記事を読むことで
デイサービスの正社員が非常勤職員に気配りすべきポイントをおさえることができるようになります。
こんにちは、櫻絢音です💖
「離職」は介護業界にとって深刻な問題で、「いかに職員が辞めないようにするか」というのが介護施設の管理者や介護リーダーの仕事となっています。
実際に、わたしの職場でも「●●さん、来月で退職するんだって。先月は△△さんが辞めたのに」など離職に関する話題はつきませんでした。
そして、離職する多くの理由が「人間関係」です。
もちろん、「親の介護をしないといけない。」「キャリアアップの為」などポジティブな理由もあります。
しかし、「しんどいから」とか「人間関係がうまくいっていないから」などネガティブな理由であればできるだけその原因を排除しておきたいものですね。
今回は、
デイサービスの送迎
という切り口で
デイサービスの職員の離職を防ぐ方法
提案します。

今回は「送迎職員の不満」というのがキーワードです。
職員の不満をため込まないためのヒントをお持ち帰りください。
送迎業務の基本


まずは、送迎を段取りする際に最も注意すべき点についてのおさらいです。
利用者様のADLに合わせた送迎

利用者様によってADLは変わってきます。
- ご自分で歩行できる方
- 杖歩行できる方
- 車椅子の方
- リクライニング式の車椅子でないと座位が安定しない方
など利用者様の状態に合わせて
- どの送迎職員が
- なんの車で
- 何人で
- 何時に
- どんな介助方法で
送迎に行かないといけないかを考えないといけません。
介助量がそれほど多くない方であれば、通常通り転倒のないように様子観察すればいいのです。
しかし、最近では座位すら安定しない利用者様が増えてきているのでリクライニング式の車椅子を使用されている方も増えてきています。
また、ご自宅の環境で送迎が困難なケースも増えてきています。
介護度が上がれば上がるほど、送迎方法についてケアマネやご家族様と相談し、介護士が送迎しやすく、利用者様・家族様が安心できる送迎方法を検討しましょう。
その際に、どれぐらい乗車までに時間がかかるかも予測を立てておきましょう。

場合によっては、2人送迎やヘルパーの導入あるいはスロープの設置などを検討しない場合があります。
いずれにしても、介助量の多い利用者様の送迎は乗車するだけで結構な時間がかかります。
どの程度、乗り込みに時間がかかるかを常勤の方は把握しておく必要があります。
利用者様の家庭環境を考慮する

最近は、様々な家庭環境の利用者様がおられます。
特に多いのが同居のご家族様が働かれていて、いわゆる「昼間独居」の方が多くなってきています。
そのため、送迎職員でデイサービスの準備や帰宅後に利用者様の支援をしたり、ヘルパーの時間に合わせて送迎をしないといけなかったりといろんな制約があったりします。
送迎の段取りをする際はしっかりと利用者様の家庭環境を把握しておきましょう。

ヘルパーの時間に合わせないで送迎をしてしまうと、ヘルパーやその事業所の人に迷惑をかけたり、あるいは、ヘルパーが来るまでに利用者様が家から出て行って行方不明になったりする場合もあります。
ヘルパーが入るのはなんらかの理由があるので、ヘルパーの入る時間に合わせて送迎をするのは落としてはいけないポイントです。
送迎時間を総合的に管理する。

まずは、曜日や時間帯によってある程度道路の混雑の状況を予測しておくことが大切です。
たまに交通事故などで普段とは違う道路状況になることもあります。
しかし、よく渋滞しやすい箇所や時間帯はある程度決まっています。
どこの道路が何時ごろに渋滞するかを把握しておきましょう。
また送迎時間の管理で重要なのは総合的な時間管理です。
送迎時間は
送迎の準備+移動時間+乗り込みまでの時間+後片付けの時間
で考えましょう。
その上で、送迎の段取りを組んでいきましょう。

どうしても、時間内に送迎が完了しない場合には、送迎方法を変えていく必要があります。
具体的には、ヘルパーを入れる、送迎車を変える、送迎職員を指定するなどです。
送迎が時間通りにいかない理由

なぜ、送迎時間が押してしまうのか?
送迎時間が押してしまう理由としては
- 道路が混雑している。
- 利用者様が乗車、降車までに時間がかかる。
- 利用者様が昼間独居で、そのほかの支援に時間がかかる。
- 利用者様自体が重介護度。
- 送迎職員不足。
- 送迎車が少ないので非効率な送迎にならざるを得ない。
などが挙げられます。
予算や人件費の関係すぐに解決できない問題もありますが、ヘルパーの導入や利用者様自体の利用時間の変更などを検討してみるなど、できるところから改善していきましょう。

送迎に時間がかかりすぎて、時間を押してしまうことが多くなると送迎職員の不満が溜まってきます。
そういった不満が高まってくると、「離職」に繋がりかねません。
時間までに送迎から帰ってもらう対策

ここからは、時間のかかる送迎の対策について解説します。
送迎職員の確保
やはり、介護の仕事は「マンパワー」が生命線です。
ただ、新しく職員を確保するにしても送迎に出られるようになるまでそれなりの時間がかかりますし、職員の採用自体も難しいというのが現状です。
もし、現在いてる職員で送迎に出ていない職員がいれば出れるように責任者道場の上運転の練習をする。
あるいは、すでに送迎に出ている職員に関しては、大型の送迎車も運転できるように練習してもらう。
といったように現在送迎に出ている職員のステップアップを図ることも大切です。

私自身は、送迎に出れるようになるために最初の職場で半年ぐらいかかりました。しかし、私が送迎に出られるようになって職員全体の負担が軽減されました。
1人の送迎職員を確保するだけで、全体の送迎時間を管理しやすくなります。
送迎車両の確保
これは、施設の予算の問題なので上司にお願いをするしかありませんが、一つの選択肢としては有効です。
送迎職員の確保が難しければ、車の種類を確保して、なんとか送迎の仕方を工夫するというものです。

送迎車両はその後の、維持費のことなども考えると、確保できたらありがたいなぐらいのものです。
介護士の介護力を上げる
送迎はただ車を運転すればいいわけではなくて、介護力も必要です。
具体的には
- ベットから車椅子などへの移乗
- 車椅子から、昇降機(椅子が上下するタイプ)への移乗
- スロープを使って車椅子を降りてくる。
- 団地の階段を車椅子で降りる介助
- 下肢筋力低下が大きくて住宅改修が追いついていないところの自宅の利用者様の歩行介助。
- バルーンを使用されている方の移動介助
- 在宅酸素をされている方の送迎
挙げればきりがありませんが、介助力を上げることで送迎時間を短縮できるケースが少なくありません。
自分の介助力を上がることはもちろん、事業所全体の介助力を上げるために定期的に身体介助に関する施設内研修を行う必要があります。

事業所全体の介助力が上がると利用者様・ご家族様の安心にも繋がります。
ケアマネに相談する。

昼間独居やADLが急激に低下している利用者様の送迎で送迎時間がかかる利用者様もいらっしゃいます。
そして、事業所だけでは解決できないような問題もあります。
スロープや車椅子を導入するのも最終的にはご家族様の判断が入りますし、その他のサービスを検討するのはケアマネの仕事の範疇です。
送迎に困難な状況が見られたら、都度ケアマネに相談しましょう。
ケアマネと密に連携を取ることで送迎時間を管理することにも繋がります。

いつもと違う状況があれば、どんな小さなことでもケアマネに報告しましょう。
ケアマネへの報告をマメにしないと、ケアマネが知らない間に利用者間の状況が大きく変わっているということになりかねません。
施設内でカンファレンスをする

利用者様のADLや家庭環境は日々変化しています。
多くの場合、自宅での生活が少しずつ困難になっていきます。
施設内で利用者様個別でのケースカフレンスを定期的に開催するようにしましょう。
高齢者の変化は緩やかのように思えても気付くと急にADLが低下するように思えるものです。
定期的に施設内カンファレンスを開くことで、そのためのサインに気づくことができます。
「3人集まれば文殊の知恵」という言葉にもあるように、利用者様の様子は10人いれば10通りの見方があります。
様々な視点から利用者間の情報を収集することが大切です。

施設内のケースカンファレンスをすることで、ヘルパーの導入やスロープの設置など実際の支援につながるケースも数なくありません。
まだ、ケースカンファレンスを実施していない事業所はすぐに検討をしたほうがいいですよ。
それでも定時までに送迎から戻れなければ

ここからが「離職率を下げるための送迎の段取りのコツ」です。
定時で帰ってこれない送迎は、正社員で送迎に行く。
施設に帰ってくるのが定時を超える場合、「時間外労働(残業)」になります。
しかし、多くの介護施設の場合残業代をつけるのは躊躇います。
介護施設の経費のうち人件費率が高く、一般的に6割以内に収めるのが理想とされているからです。
つまり、どこの介護施設も人件費(残業代)を抑えようとしています。
残業代が出ないのに時間外労働をさせるのは(本当は違法ですが、実際には送迎職員は善意で出ている場合が多いです。)不満が高まる大きな原因です。
そこで、どうしても定時までに施設に帰ってこれないとわかている送迎は最終手段として正社員で行くようにするようにしましょう。
非常勤職員や派遣社員は時給で仕事をしています。
時間外まで仕事をさせるのは、不満を溜めることになります。

もちろん、正社員も送迎が遅くなって残業が続き過ぎると不満がたまります。そして、離職の決断をさせる原因の一つを作ることになります。
正社員が遅くなりそうな送迎をするのは、一時的な手段です。
根本的に、時間内に施設にもどって来られるように送迎を調整する必要があります。
定時で帰ってきていない時点で、連絡をする。

定時(就業時刻)までに戻ってこられない送迎職員がいれば、正社員から送迎職員に連絡をしましょう。
定時までに戻ってこれない職員に連絡することで、
送迎職員は「私が時間までに戻ってこれないのを気にしてくれているんだ」という気持ちになります。
つまり
私を見てくれている→承認
なのです。
承認されていれば、週に1回ぐらい送迎で遅くなることがあっても「あの人でも送迎を調整しきれなったので今日ぐらいは仕方ない」と思ってくれます。
「全然見てくれていない。あの利用者様の入浴介護の時も見て見ぬ振りをしていた。」と思う人に施設に戻るのが遅い送迎に行かされたら不満しかたまりませんよね。
送迎が定時(就業時刻)までに戻れない時に連絡すると・・・

もしもし、琴音さん?
今電話大丈夫?
はい、今邪魔にならないところに車を停車しています。


もうこんな時間(終業時刻)なのに、送迎から帰れない状態でごめんね。
いえいえ、絢音さんのせいじゃないですから。
道路の状態を完全に予測するのはむずかしいですからね。


ありがとうね。
それで、あとどれぐらいで施設に戻れそう??
えーっと。
●●交差点の近くにいるので、あと五分ぐらいで施設に到着しますよ。


あと5分ぐらいね。
帰り気をつけて帰ってきてね。
ありがとございます。

今日も、絢音さん送迎が遅くなったから電話かけてくれて嬉しいな。
いつも気にしてくれているってこんなにありがたいことなのね。
今日はあともう少しだけ頑張りますかね。

定時で帰って来られなかった状況を分析する。
定時で送迎から帰ってこられなかったらなぜ戻れなかったのかを分析しましょう。
- 道路の混雑状況の予測が甘かった。
- 介助に時間がかかりすぎた。
- その日は、ご家族様の迎え入れがなかったのでその分自宅の施錠などに時間がかかった。
- 普段混雑しない道路が混んでいた。
- 途中で交通事故渋滞があった。
- 荷物の忘れ物をして、取りに帰ってしまった。
- 業務が遅れて、送迎の出発時刻も遅れた。

「たまたま状況が悪かった」と評価するのは簡単です。
しかし、「最近、みんな荷物の忘れが多い。チェックリストでも作ろうかな。」とか「最近、帰宅前のトイレ誘導に時間がかかっているから、少し前倒しにトイレ誘導始めてもらおうかな」とかできる対策を考えていきましょう。
まとめ

送迎職員が不満をため込まない時のポイント
・どの利用者様の送迎に行くのにどの程度の時間がかかるか予測し、時間管理をしよう。
・最近、時間のかかっている送迎は分析して対策を考えよう。
・それでも、定時までに(就業時刻)までに送迎職員が戻ってこられなければ、連絡しよう。
・「見ている=承認」
・承認の積み重ねで信頼関係があれば、週に1回程度送迎から戻る時間が定時を超えても送迎職員の不満はたまらない。
細かい気配り、目配りで職員との信頼ポイントを稼ぎましょう。信頼ポイントが高ければ、多少のことでは職員の不満度が上がることはありません。
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