
結論:今すぐ事前連絡を業務化しよう。(ただし、通常規模以上のデイサービス限定)

この記事の対象者
・デイサービスの稼働率を下げたい介護リーダー、管理者
・デイサービスの経営をされている方
・単体のデイサービスで他施設と差別化を図りたい施設関係者
です。

この記事を読むことで
デイサービスの稼働率の低下に歯止めをかける
対策を立てることができます。
3大ニーズ(入浴、リハビリ、短時間利用)を満たしているのになかなか稼働率が上がらない。
そんなデイサービスもあることでしょう。
特にコロナショック以降経営的に厳しい事業所もあるでしょう。
その根本的な原因として「似たようなデイサービスが何件もある」ことが挙げられます。
つまり、他のデイサービスとは違うとうことを発信しなければデイサービスとして生き残るのは難しいです。
そこで、他のデイサービスと差別化を図る一つの案として
事前連絡をする
ということです。
事前連絡は確実に介護職員の負担を増やします。
事前連絡をやっていない事業所は多く、明らかにやらなくても業務は回るからです。
しかし、これをやるかやらないかで「選ばれる施設」になるかどうかが分かれます。
実際に、私の最初の職場ではほとんどの月で稼働率80%を達成していたのですが、その職場では「事前連絡」をしていました。
今回は事前連絡について解説していきます。
事前連絡をしよう

事前連絡とは前日に当日のお迎えの予定時間を連絡すること
事前連絡とは利用日前日に利用者様に予定時間を連絡することです。
事前連絡を業務化する場合はない場合と比べ、利用者様から得られる情報量が明らかに違います。
事前連絡で得られる情報
- 利用者様の健康状態(腰が痛い、いつもと変わりないなど)
- 同居の親族の情報
- 利用者様本人、ご家族様が苦しんでいる悩み
- 利用日を増やしたいというニーズ
- 入浴の頻度を増やしたいというニーズ
- 病院受診の頻度
- 次の欠席の情報
事前連絡という時間を確保することで、利用者様の方から情報を得られることができるのです。
また、その情報の中には「あえて、デイサービスの利用の時に言うまでもないが、電話の時間があるならその時に言おう」という情報もあります。
デイサービスの稼働率低下を防ぐには
利用者様の情報を一定の量以上に確保すること
が必要不可欠なのです。

事前連絡は、ただ利用者様に連絡するだけではありません。
事前連絡をすることで、デイサービスの利用時には得られない情報を得られるところにメリットがあります。
友達と会っている時より、電話した時の方が「そういえば、・・・」というように話すことがあります。
状況が変われば、話したかった些細な内容を思い出す。
事前連絡にはそんな効果があります。
事前連絡するタイミング

事前連絡のベストなタイミングは前日の14:00〜16:00の時間です。
理由は二つあって
- 午前中や昼食時など、利用者様が忙しい時間帯を避けやすい。
- デイサービスの事前連絡以外の業務に段取りつけてから事前連絡業務に入りやすい。
事前連絡よりも他の介助業務が優先です。
他の介助業務に段取りがついてから事前連絡に入ることを考えるとこの時間が妥当な時間です。
もちろん、手が空いている時間であればそれ以外の時間でも構いません。

この時間帯に事前連絡をする時間を確保するためには、1日の業務の流れを把握する必要があります。
業務の流れを把握し、業務が滞る部分に対策しないと事前連絡業務をすることはできません。
事前連絡を業務かすることで事前連絡業務を実施する職員の生産性(仕事の段取りをする力)をあげることができます。
事前連絡で利用者様に話す内容


事前連絡の実際の流れを解説します。
次の日の送迎到着予定時間

次の日の送迎到着の時間をお伝えしましょう。
この時に注意して欲しいのは「明日のお迎えの時間は●●時●●分前後です。」と伝えることです。
送迎時間はその利用者様の送迎にかかる時間や道路の混雑状況によって電話で伝えた通りの時間に到着できないことがあります。
その通りの時間に10分前後幅があるというニュアンスで伝えましょう。
予定通りに行かない要素があることは、ある程度含みを持たせたいいた方をするのがポイント。
体調などの確認

連絡をするなら、体調確認をするのは必須です。
特に感染症がはやる季節には落としてはいけない部分です。
利用者様がインフルエンザの症状があるため欠席する場合、潜伏期間等を考えてデイサービスでの濃厚接触者を特定することも簡単にできます。

ここで、利用者様の些細な利用者様の体調の変化を知ることができます。たとえば、利用者様が「そういえば、最近腰が痛いの」という言われることがあります。
その事実がのちに、実は圧迫骨折をされていたということがあります。
電話だからこそ、得られる利用者様の情報があるということを覚えておいてください。
次の日のイベントなどの紹介

次の日のイベントがある場合はそれも伝えましょう。
特に、ご家族様に確認をしないといけない内容がある時は事前連絡の時がご家族様に確認を取ることのできるグッドタイミングです。
たとえば、外出行事の「みかん狩り」をする時に、「お土産のみかんは買われるかどうか。買われる場合は買う個数など」を聞く最適なタイミングです。
事前連絡のメリット


まずは、事前連絡をするメリットです。
ここでは、3つに絞って解説します。
事前連絡のメリット
- 利用者様の欠席率を下げる。
- 振替え利用を提案できる。
- 電話だから得られる情報。
- 利用者様(特に独居の方)の所在確認。
- 感染症(インフルエンザ)の情報を得られる。
- 利用者様、ご家族様が気軽に介護相談などの話を切り出しやすい。
- デイサービスのイベントをお知らせするベストなタイミング。
利用者様の欠席率を下げる
事前連絡の最大のメリットは利用者様に「あなたのことを気にしていますよ。」というメッセージを伝えられることです。
利用者様がデイサービスに通う理由の一つが「社会参加」です。
しかも高齢者が社会参加する大きな機会が「デイサービスの利用」です。
デイサービスの職員から電話をもらうこと自体が「社会から求められてる」ということにつながるのです。
「気にしてもらっている」デイサービスをできる限り欠席しないようにしたいと利用者様や家族様に思ってもらえることができます。

私も最初の職場で事前連絡の業務をしたことがあります。
そして、利用者様に「気分が乗らないから明日休みます。」と言われました。「●●さんがいないと私とても寂しいな〜」ということで、「櫻さんがいうなら、明日は頑張って行ってみようかな」と欠席に歯止めをかけることがよくありました。
このように、少なくともなんとなく休みたい気持ちを止めるチャンスが事前連絡にはあります。
振替利用を提案することができる。
体調不良での欠席の場合は、いつ体調不良から復活できるかは分からないので振り返り用の提案はしにくいです。
しかし、私用のための欠席であれば別の日に振替えて利用することを提案できます。
振替利用は元々の利用回数を減らさない対策なので、それだけで稼働率を改善することはできませんが、稼働率を低下させない対策にはなります。
事前連絡がないと朝急に病院受診とかで欠席の連絡をもらっても別の日に振り返りようを促すことがむずかしくなります。
電話だから得られる情報を獲得できる。
デイサービスに来ている間は他のことに気を取られていて忘れているが、自宅に帰ってくると思い出すということがあります。
私たちも、「さっきいえばよかったのに」ということを経験があります。
電話連絡の時、利用者様は基本的には自宅でいることが多いので(高齢者の場合自宅の電話をメインに使っている方が多いです)「いつもの感じ」でお話しすることができます。
「いつもの感じ」で利用者様に話をしてもらうことで「そういえば・・・・」とデイサービスの利用時にはあえて話さないようなことを話していただけることがあります。
事前連絡のデメリット


事前連絡は入浴介助や食事介助と同じ「業務」です。
事前連絡を業務化するということは、仕事が一つ増えてしまうというデメリットがあります。
事前連絡のデメリット
- 事前連絡中、職員1人が他の業務に入れなくなる。
- 残務になる可能性がある。
- 連絡する時間が遅いとクレームになることがある。
- 利用者様との話が長くなると後の連絡が遅くなる。
- 担当の職員から送迎の不満が出ることがある。
人員が1人割り当てられる。
事前連絡を業務化するということは、入浴介助や食事介助と同じで仕事が一つ増えることになります。
つまり、介護士の負担が増えることは間違いありません。
また、事前連絡中他の業務をすることはできないのでその間、事前連絡以外の業務は他の職員に振り分けられることになります。
事前連絡中の人員の対策
- ある程度、日中の業務が段取りついた時間帯に事前連絡を実施する。
- 業務改善を実施する(他の必要のない業務をなくす)
- 一人ひとりの職員のスキルアップ(介護力など)を図る。
- 業務でスムーズに行っていない部分を洗い出して、分析、改善する。
- 人数が少なくても、全体を見守りできるシステムを作る。
残務になる可能性がある。
これは、1日の利用者定員が40名以上の事業所に当てはまるのですが、時間内に事前連絡業務が終わらないということがあります。
20件〜30件程度であれば、効率よく連絡すれば終わるのですが40件以上となれば、イレギュラーがあれば時間内に事前連絡が終わらないことがあります。
事前連絡を時間内に終わらせる対策
- 本日利用の利用者様には、帰宅時にご家族様、ご本人に次の日の時間を伝える。(その日の様子はデイサービスの様子で分かるため)
- 連絡のつきにくい利用者様には留守番電話にメッセージを残す。
- 場合によっては、メールやファックスなど電話以外の連絡手段で事前連絡をする。
- もし、事前連絡が時間内に終わらなかった場合、送迎に出ない他の職員に依頼するようにする。
- 話の長い利用者様への連絡は最後の方にする。
連絡する時間がいつもより遅いとクレームになる。
多くの利用者様の特徴として
- 同じ時間に
- 同じことをしていないと
- 不安になる。
基本的に利用者様は毎日の生活のパターンを変えたくないと思っています。
つまり、いつもの時間に事前連絡がないと・・・
「なんで、まだ連絡かかってこんのやろ?私忘れられてるんかな?」
と思われます。
全ての利用者様がクレームを出すわけではないので、クレームをよく出す利用者様から事前連絡をするようにしましょう。

もちろん、どの方にもいつも通りの時間に連絡するべきです。しかし、その日の業務の流れで遅くなることはあります。クレームの多い利用者様から連絡することで事前連絡する人のストレスが少なくなります。
クレームにならない人には、こちらから「ご連絡遅くなって申し訳ありません。」一言謝罪のメッセージを付け加えれば利用者様もご理解いただけます。
事前連絡をスムーズにするために


ここでは事前連絡をスムーズに進めるためのポイントをお伝えします。
準備を手早くする。
事前の準備は手早くしましょう。
特に準備物は「事前連絡セット」としておき事前連絡の際にはすぐに準備物を取り出せるようにしましょう。
事前連絡セットの内容
- 事前連絡の準備物を入れる箱(贈答用のお菓子の箱で十分です)
- 鉛筆(シャーペン)
- 消しゴム
- ボールペン
- ラインマーカー(できれば3色あると良い)
- メモ用紙
- 事前連絡の一覧表(利用者様の事前連絡先、送迎の時間指定、その他注意事項の書かれた一覧表)
- 申し送り用紙
- 送迎一覧表
- 送迎運行記録(運転手1人につき1枚ずつ)

実際に連絡する前にチェックを行いましょう。
チェックする内容は
・抜けはないか
・送迎の時間指定に間違いはないか
・送迎の順番は適切か
です。
片手で電話、もう片手で申し送り事項を記入する。
ここのポイントは両手と口を同時に使うということです。
左手で受話器を、右手でペンを持って話すということです。
利用者様とお話をしている間、右手は利用者様からの申し送りを書き止めることです。
そうすることで、事前連絡が終わることには次の日に申し送る内容が全て完成するのでおすすめです。
事前連絡が終わったら漏れがないか確認する。
どの仕事でもそうですが、最後に抜けがないか最終確認をしましょう。
明日の送迎はそれでスタートしますが、人間には抜けが生じるからです。
できれば最終確認は
別の職員に確認してもらう
方が抜けは少なくなります。
別の職員が確認する内容
- 時間指定に対応しているか。
- 事前連絡できていない人はいないか
- 送迎車の台数は適切か

それで、送迎に出るので抜けがないように最終チェックします。
最終チェックはできれば正社員や介護リーダーなど、責任のある立場の人が確認するようにしましょう。
責任者やリーダーの仕事は「責任を果たす」ことです。
次の日の申し送り事項は夕礼で全体周知する。
事前連絡で得た利用者様の情報は次の日の申し送りとして夕礼で職員全員に周知しておきましょう。
夕礼で申し送る内容
- 当日の利用者人数
- 欠席者氏名と欠席理由
- 利用者様から連絡事項
- 事前連絡がついていない利用者様(次の日の朝に運転手から連絡するように依頼しておく)
- 利用者様の体調
- その他、連絡事項
まとめ

まとめ
とっとと、事前連絡を業務化してしましましょう。
短かっっっ!!

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