
結論:現場からの情報を集めて整理しよう。自分の知らない利用者様の一面が分かります。

この記事の対象者は
初めて担当者会議に参加する相談員
です。

この記事を読むことで
サービス担当者会議の流れを理解する。
サービス担当者会議に必要な情報を集められる。
サービス担当者会議の結果を職員に周知する事ができる。
ようになります。
デイサービスの相談員として避けられない業務の一つが
サービス担当者会議です。
サービス担当者会議とは、ケアマネジャーが利用者様に関するサービス担当者(ケアマネジャー、ヘルパーのサービス提供責任者、福祉用具の相談員、ショートステイの相談員、デイサービスの相談員、家族様、ご利用者ご本人様)を集めて、ケアプランの原案を検討する場です。
利用者様のの生活および課題を共有し、機能向上の目標や支援の方針・計画を共有するために設けられている会議の場です。
つまり、利用者様や家族様の現在の介護保険サービスで問題はないか。
現状のサービスを変更する必要がないかを見直す場です。
今回は、サービス担当者会議の流れについて解説します。

サービス担当者会議でおさえるべきポイントは
・利用者様の情報を集める。
・サービスを提供するために解決すべき課題の整理。
・担当者会議決まったことの情報発信です。
介護保険の更新時や利用者様、家族様の状況の変化の際には必ずサービス担当者会議が開催されます。
デイサービスの利用者様の情報を集める。

現場の介護士から情報を集める。

集めるべき利用者様の情報とは、デイサービスでの利用者様の過ごされ方で具体的には
- 入浴
- 排泄
- 食事
- 利用者様の体調
- アクティビティー(リハビリ、レクリエーション参加状況など)
- 移動(歩行状態など)
- 送迎
- 他者との交流
- その他、サービスを利用するにあたっての課題
です。
現場の介護士は相談員が持っている以上の利用者様の情報を持っています。
たとえば
- 最近、繰り返し話が多くなった。
- 以前は定時のトイレ誘導で失禁はなかったが、最近はパットがパンパンになっていることが多い
- 「声が出ないから」とカラオケで歌われなくなってきた。
- 朝の送迎時、待たされることが多い。
- 利用当初は「早く家に帰りたい。」と言っていたが、最近はあまり言わなくなった。
- デイサービスでリハビリを始めてから、歩行時のふらつきが少なくなった。
- 「虫が這っている」と幻視が見えているような発言がある。
などすぐに申し送る必要はないけれど、最近の利用者様の変化を情報として現場の介護士は持っています。
私もそうですが、介護士は関わった利用者様の話をしたくて仕方のない生き物です。
悪いこともそうですが、いいニュースも全て話してくれます。
「そこまでは聞いてないよ。」ということも全部話してくれます。
サービス担当者会議の事前準備として、できれば全職員から対象の利用者様の情報をできるだけ多く集めておきましょう。

デイサービスでの利用者様の過ごされ方の情報を集めることで、新たな利用者様の課題やニーズが見つかる場合もあります。どんな些細な情報もメモしておきましょう。
個人ケース記録から情報を集める。

現場の介護士の持っている情報が、現在の利用者様の最新の情報ならば、
個人ケース記録は、時間ごとに記載された利用者様の情報です。
具体的には
- 入浴サービスの実施状況(入浴中止が多くなっているなど)
- レクリエーションの実施状況
- バイタルサインの状況変化
- デイサービスの欠席率
- デイサービスの欠席理由
- デイサービスの振替利用の状況
- ヒヤリハットや事故報告書の情報
- その他特記事項など
あとは、自分の持っている利用者様の情報も合わせて整理しておきましょう。
できれば、自分の手帳(ノートでも大丈夫です)に箇条書きでメモをして準備しておきましょう。

介護保険更新の際にもサービス担当者会議が開催されます。
その際、特に利用者様の大きな変化がなければ担当者会議が行われないことがあります。その際、「照会」と呼ばれる担当者会議の代わりとなる書類が送られてくる場合があります。それを提出することでサービス担当者会議を実施したこととするものです。
その照会に利用者様の情報を記載する際、担当者会議と同じくように現場の職員や個人ケース記録から必要な情報を収集しましょう。
ケアマネからの情報をストックしておく。

利用者様の自宅での様子に変化があれば、ケアマネから都度連絡があります。
デイサービスで過ごされている姿から想像しにくい場合が多いのですが
自宅にいる時とデイサービスで過ごされている時とで利用者様の様子が違う
ということがあります。
たとえば、デイサービスでは他の利用者様に分け隔てなく優しくされているのに、自宅に帰ったら息子の嫁にかなり厳しい言葉を浴びせるお姑さんだったり。
あるいは、デイサービスではほとんど失禁などないけど、自宅にいるときは失禁が多くて、オムツとパットで寝たきりになっていたり。
もちろん、自宅とデイサービスでほとんど変わらない様子の方もいます。
利用者様に変化はなくても、ご家族様に状況の変化があってもケアマネから連絡がきます。
- 主介護者の奥様が入院される予定である。なので、ご本人には言わないでほしい。
- 実は最近息子様が亡くなってご本人実はかなり落ち込んでいる。デイサービスでもご本人の様子を見てほしい。
- 娘様が最近利用者様の自宅近く引っ越してきた。
- 主介護者のご主人も最近認知症の疑いがある。送迎時、ご主人の様子も見てほしい。
- 家ではほとんどデイサービスの話をしない。連絡帳に日中の過ごし方を詳しく書いてほしい。
ケアマネからの情報の場合、ほとんどがデイサービスの依頼ごともついてきますがね・・・・・。
利用者様への支援に対する課題を整理する。

通所介護計画書、居宅サービス計画書の確認

ここで1番に確認しておかないといけないのが、ご本人及び家族の希望です。
ケアプランは(居宅介護計画書、通所介護計画書、機能訓練加算計画書)は全て「ご本人、ご家族様の意向」を基に長期目標、短期目標が立てられ具体的なサービス内容がめられます。
ご本人、ご家族の希望とは私たちの体でいうところの心臓と同じなのです。
心臓の状態が変われば食事や運動などの生活習慣を変えなければいけません。
同様に、ご本人、ご家族様の意向が変化すればそれに応じてサービスの変更もしなければいけません。
まず、今のケアプランが利用者様、ご家族様のどんなニーズに基づいているか確認をしておきましょう。

デイサービスの職員であれば「通所介護計画書」、「居宅サービス計画書」に目を通すのは当然ですよね?
それで十分なので、その習慣を続けましょう。
利用者様がデイサービスの利用するにあたって課題となっている事をあげる。

デイサービスの利用で解決すべき課題の例
- 朝の送迎で待たされることが多くなった。→送り出しのヘルパーをつけてほしい。
- 独居の利用者様で決まった時間に決まったお薬を飲めないことが多くなってきた(実際にデイサービスの利用中に体調不良を訴えられることが多くなってきた)→訪問看護の利用を検討してほしい。
- 帰りの送迎で指定された時間のお送りするのが職員の配置で難しくなってきている。→指定の送迎時間の変更を家族様にお願いする。
- 今までは、職員の見守りで一般浴で入浴していたが、最近は足元のふらつきがひどくなっている。→ご家族様から特浴での入浴の許可が欲しい。
- 最近、カラオケに参加されることが多くなった。→送迎時になかなかお会いできないご家族様に、昔利用者様本人が歌っていた曲を教えて欲しい。
課題を解決するための落としどころが見つからくてただ報告するだけの場合もありますが、
基本的には、介護保険のサービスの調整など担当者会議で解決したい問題をピックアップして課題の解決に動きます。

利用者様に課題がなくなるのは、利用者様がデイサービスを利用しなくて生活が成り立つようになった時です。
基本的にはそんなことはあり得ないので、何らかの課題を見つけましょう。もちろん、担当者会議ですぐに解決できない問題やただ報告するだけで終わってしまうような問題でも構いません。担当者会議とは利用者様の情報を関係者で共有する場でもあるのです。
通所介護計画書に対して現時点での利用者様の評価をする。

ここでの評価とは
通所介護計画書に対して
- 利用者様へのサービス実施状況はどうか(休まずにデイサービスをご利用しているか、入浴は拒否なく実施できているかなど)
- サービス提供時の利用者様の様子(毎回、カラオケに参加されてリクエストされた曲を歌っているなど)
- 入浴の実施状況(入浴サービスの予定日には、入浴できているか)
ということです。
つまり、ケアプランで立てた利用者様の目標に対してどの程度デイサービスでのサービスを提供することで達成しているか把握する事です。
ケアプランにおいて、評価と次の計画は表裏一体のもので、
前のケアプランの評価がなければ次のケアプランを作成することができません。
しっかりと、利用者様のケアプランに対する評価をしましょう。

ケアプランとその評価は1セットのものです。
居宅サービス計画書やそれに基づいて作成された通所介護計画書に対してどの程度目標が達成されているかしっかりと評価しましょう。
担当者会議に出席する。

担当者会議の事前準備ができたら次は担当者会議の当日の話です。ここでも大切なのは、利用者様・家族様の意向です。
利用者様、家族様の意向を確認する。

デイサービスでサービス提供するにあたってその基となるケアプラン。
そのケアプランも利用者様、ご家族様の意向に基づいて作成されます。
担当者会議では
- 現状のサービスの量、内容で十分か?
- ご利用者様、ご家族様の生活状況に変化はあったか?
- 生活状況に変化があればどのような変化か?
- サービスの変更が必要か?
- 利用されている介護保険サービスに変更は必要か?
- 現状の生活で困っていることはないか?
- 利用者様、ご家族様から介護保険サービス提供者に要望はあるか?
主にこの内容で会議を実施します。
会議の進め方もその時の司会者(多くの場合はケアマネが司会をします)の進行の仕方によって、新しく立てたケアプラン案の読み上げから始めるときもあれば、緊急で解決すべき課題の議論から入る場合もあります。
いずれの進め方でも
利用者様、家族様の意向確認
「このプランでサービス提供をすすめますがいかがですか?」
と、意向確認があります。
サービスを抵抗する上での基本となるので確認しておきましょう。

もちろん、利用者様、家族様の意向に対してすぐに解決できないような課題もあります。
それでも、家族様、利用者様の意向の把握だけはしておきましょう。
デイサービスからの「こうしてほしい」という依頼を利用者様、家族様にお願いする。

少なくともご家族様はできるだけ利用者様にデイサービスに続けて通って欲しいというニーズがあります。
デイサービスに通うことで
- ご家族様の介護負担が軽減される。
- 利用者様のADLの低下を防げる。
- 利用者様が家族様以外の人と交流できる機会を確保できる。
- できるだけ長く在宅での生活を続けられる。
- 利用者様がデイサービスに行っている間、家族様は自分のことができる。(家事なども含めて)
しかし、利用者様がデイサービスをご利用するのにデイサービスの事業所として解決したい課題があります。
具体的には
- 朝の送迎で待たされることが多くなった。→送り出しのヘルパーをつけてほしい。
- 独居の利用者様で決まった時間に決まったお薬を飲めないことが多くなってきた(実際にデイサービスの利用中に体調不良を訴えられることが多くなってきた)→訪問看護の利用を検討してほしい。
- 帰りの送迎で指定された時間のお送りするのが職員の配置で難しくなってきている。→指定の送迎時間の変更を家族様にお願いする。
- 今までは、職員の見守りで一般浴で入浴していたが、最近は足元のふらつきがひどくなっている。→ご家族様から特浴での入浴の許可が欲しい。
- 最近、カラオケに参加されることが多くなった。→送迎時になかなかお会いできないご家族様に、昔利用者様本人が歌っていた曲を教えて欲しい。
課題を解決するためには、まずは課題を洗い出さなければいけません。
担当者会議の準備とはそのための準備なのです。

利用者様がデイサービスをご利用される限り、課題がなくなることはありません。
どんな些細な課題も掘り起こせるように、利用者様のどんな些細な情報も拾い上げて集めておきましょう。
利用者様の情報収集は貪欲にね💖
可能ならば、理由をつけて利用日を増やすことを提案する。
ここでは、デイサービスの稼働率アップに関する提案をします。
せっかく、担当者会議のために利用者様の情報を集めたのです。
つまり、あなたは利用者様・家族様のニーズを把握している状態です。
ならば、利用者様の利用日を増やすチャンスでもあります。
具体的な理由づけとして
- 夏場で汗をかきやすい季節になってきたので、清潔保持のために。
- デイサービスの利用に慣れてきたのでもう1日利用日を増やしませんか?
- くもん学習療法は週に3日以上やる必要があるので、週1日なのを週3回利用にしませんか?そうすれば、自宅での宿題をやる必要はなくなります。(くもん学習療法実施の事業所のみ)
- デイサービスでリハビリをしていて、車椅子での移動ですが立ち上がりがスムーズになりました。もう1日デイサービスの利用日を増やしてリハビリの回数を増やしませんか?
- ショートステイの利用をお考えであれば、まずはデイサービスの利用を増やして、ご本人の不安をできるだけ少なくしてみませんか?
- 最近、ご家族様がご本人の介護でお疲れが出ているとお聞きしています。もう1日利用日を増やしてみて休息の時間を増やしてみてはいかがですか?
なんて内容に思える情報も集まれば利用者様や家族様のニーズになります。
そのニーズを使ってデイサービスの利用日を増やす。
デイサービスだから使える稼働率アップのテクニックです。
利用者様の情報やニーズは持っているだけではダメということね。


そういうことね。
利用者様や家族様の情報やニーズを把握しているということは、利用日を増やすチャンスを握っている。
つまり、ビジネスチャンスがあるということ。
それを逃す手はないわね。
すぐに決めかねることは一度持ち帰る。

サービス担当者会議では、利用者様・家族様からデイサービスに対して要望を出されます。
もちろん、あなたの権限ですぐに対応できるものもあれば、できないものもあります。
すぐに返答できない要望があれば一度持ち帰って上司に指示を仰ぎましょう。
できれば当日か翌日にはケアマネ通してその結果をお知らせしましょう。
すぐに返答できない利用者様・家族様の要望の具体例
- 重介助の方の方の送迎(2人送迎)で送迎時間の変更。(送迎の応援が必要な場合)
- 通常の送迎時間とは違う送迎時間の希望。
- 胃瘻や導尿などの処置の依頼。

「あれ?これ、私が決めていいのだろうか?」と思ったら、すぐに返答はしないようにしましょう。
一度持ち帰って、上司に相談する要望です。
担当者会議で話した内容を夕礼で話そう。

担当者会議で話した内容を夕礼でデイサービスの職員に周知しましょう。
利用者様の自宅での様子や利用者様・家族様の意向。

担当者会議で初めてわかる利用者様、家族様の意向があります。
新しく知った利用者様、家族様の意向があれば夕礼で職員に報告しましょう。
ただ、その意向があったというのではなく、なぜその意向があったのか。
具体的なエピソードも交えて報告しましょう。

ベテラン職員になればなるほど、「why(なぜ)」という事を追求します。それが、行動を決める理由になるからです。
具体的なエピソードを付け加える事で、それが理由になる場合が多いし、職員に納得させやすくなります。
デイサービスとしての意向を伝えたこと。

担当者会議の事前準備で職員からデイサービスとしての要望を聞いています。なので、その結果を夕礼で報告しましょう。
- 朝の送迎で待たされることが多くなった。→送り出しのヘルパーをつけてほしい。
- 独居の利用者様で決まった時間に決まったお薬を飲めないことが多くなってきた(実際にデイサービスの利用中に体調不良を訴えられることが多くなってきた)→訪問看護の利用を検討してほしい。
- 帰りの送迎で指定された時間のお送りするのが職員の配置で難しくなってきている。→指定の送迎時間の変更を家族様にお願いする。
- 今までは、職員の見守りで一般浴で入浴していたが、最近は足元のふらつきがひどくなっている。→ご家族様から特浴での入浴の許可が欲しい。
- 最近、カラオケに参加されることが多くなった。→送迎時になかなかお会いできないご家族様に、昔利用者様本人が歌っていた曲を教えて欲しい。

デイサービスの要望が実現しても、しなくても
夕礼で結果を伝えましょう。
担当者会議での決定事項。

担当者会議では利用者様のサービスの利用に関していろんなことが決まります。
- 利用者様の利用曜日の増減
- 入浴サービスの変更
- 送迎方法の変更(時間指定の追加、送迎車の指定など)
- 送迎時、ヘルパーの送り出し、迎え入れの追加
- 福祉用具(車椅子や歩行器の追加など)
- デイサービスでの対応方法の追加、変更

担当者会議で決定した事項は必ず事業所で実行しなくてはいけないお約束ごとです。
必ず、デイサービスの職員に周知し、徹底させましょう。
まとめ


サービス担当者会議の流れ
1、利用者様の情報を集める。
2、デイサービスの利用で、利用者様の課題を整理する。
3、担当者会議に出席する。
4、担当者会議で話した内容を夕礼で報告する。
担当者会議を終わるまでの過程で、今まで知らなかった利用者様の一面を知ることができます。
今まで知らなかった利用者様の素晴らしい一面を知ることで喜びを感じられれば、あなたも立派な相談員の仲間入りです。
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