
結論:利用者様を
・「あだ名で呼ぶ」
・適切に敬語を使えない
・勝手に評価する
ことを許している介護施設はいずれ潰れます。

この記事の対象者は
・他のデイサービスと決定的な差別化を図りたい管理者
・介護士として専門性を高めたい新人介護士
です。

この記事を読むことで
選ばれるデイサービスを
作れるようになります。
利用者様に選ばれる介護施設にするのに、他施設との差別化を図る決定的な要因は
働く介護士の専門性
教科書や資格取得のためのテキストには「専門性」という言葉は嫌になる程私も目にしました。
でも、「そもそも、専門性とはなんだろうか」ということです。
結論から言うと、介護士の専門性とは
接遇力(利用者様、入居者様をおもてなしする力)
このことばにつきます。
仮にあなたの両親や祖父母がデイサービスを利用していて、
たまたま、そのデイサービスに用事でよったときに自分の両親や祖父母に介護士が
「●●ちゃん、ご飯早く食べて」
このように話されていてあなたは平気でいられますか?
少なくとも私はそこを利用中止させたいほど、嫌です。
家族様の施設に対するイメージの悪化は利用者様が利用中止になるきっかけを作ることになります。
そして、それは利用者様の利用中止の問題だけではなく「介護士が集まらない」という問題にも関わっています。
なぜなら、「接遇」の問題は利用者様や家族様だけではなく介護士自身も対象だからです。
利用者様への「接遇」ができていないのに、介護士へ「適切な指導」ができないのは当然ですね。
今この時代に介護士になりたいという10代、20代は非常に貴重な存在です。
「お給料がやすい」「重労働」「休みがとりにく」のに、介護士になるのです。
その決断をしただけで、とても立派です。
そんな意識の高い介護士は、施設の職員が利用者様にあだ名で呼んでいたら失望します。
接遇力を向上させれば、利用者様だけでなく介護士不足を解決することにもなります。
接遇力の乱れは、介護施設においては運営の乱れと言っても良いです。
今回は「接遇力」についてお話をします。
選ばれるデイサービスのポイントは接遇です。

接遇とは人をもてなす行為ことです。
接遇には5つのポイントがあります。
- 身だしなみ
- あいさつ
- 言葉遣い
- 表情
- 聴く姿勢(態度)

今回は「言葉遣い」を中心にお話しします。
接遇とは「おもてなしの心」です。
そして、おもてなしの心とは、利用者様に「また来てほしい」ということを示すことです。
私たちはみんな「自分を大切に扱ってほしい」と思っています。
それは高齢になっても変わりません。
あだ名で呼んだり、適切な敬語を使わなくても「特に怒らない」利用者様もいらっしゃいます。
でも、それは不快に感じていないという証拠にはなりません。
思っていることを、表情や言葉に出さない高齢者もいるからです。
デイサービスは利用者様にご利用してもらって、売り上げを稼いでいます。
さらに、介護士の給料はその売り上げから支払われます。
利用者様に利用されなくなったら売り上げは下がりお給料も下がってしまいます。
接遇とは、サービス業に関わる全ての人に求められるスキルなのです。

接遇はその介護士の毎日の「習慣」がでます。
「その時だけ」都合よくしようとしても、うっかり家族様のいる前で「利用者様をあだ名で呼ぶ」ということがあります。
普段から、言葉遣いを正さないと家族様からの評価が下がります。
接遇力を養う文化を作り上げる。


接遇力は文化です。
職員の介護ミスであれば、ミスを防ぐ仕組みを作れば介護ミスを防ぐことができます。
接遇は、一人一人の職員が接遇を意識する習慣がなくてはありません。
その習慣が積み重なったものを「文化」と言います。
接遇力のダメな介護施設の特徴
早速ダメな介護施設の特徴ですが・・・
- 利用者様を「あだ名」で呼ぶ。
- 適切な敬語を使えていない。
- 利用者様と喧嘩する(あるいは、感情的になる)。
- 職員同士でもあだ名で呼んだり、敬語を使えていない。
- 職員同士の私語が多い。(その間に利用者様は・・・・?)
- 「それをするんだったら(しないんだったら)家に帰れなくなるよ」と利用者様を脅す。
なぜ、介護施設でそんな文化ができるかというと
責任者(管理者)が職員を管理できていないから
あるいは、管理者自身が言葉遣いがハチャメチャな場合もあります。
管理者の職員の管理ができていなくて、言葉遣いがハチャメチャで「利用者様への言葉遣いを正しくしましょう」という張り紙を貼っていても効果はありません。

言葉の乱れは、利用者様や家族様の心象を悪くするだけでなく介護士自身の質の低下も招きます。
いつも使っている言葉が介護士自身に影響を与えるからです。
接遇力は人をつなぎとめておくための接着剤


どんなに斬新なサービスを提供していても、
どんなに新しい設備があったとしても、
その施設で働く介護士の接遇力が弱いと利用者様や人材が離れていきます。
利用者様をつなぎとめておく接遇
利用者様がそのデイサービスを利用し続けるいちばんの理由は・・・
「親切にしてくれる介護士がいるから」というのが一番です。
私は利用者様からの人気が高い介護士ですが、利用者様からは「あんたの顔を見られるから私はいつもここに(デイサービス)に来られるんよ。ありがとうな。」と言われます。
私が大切にしているのは「言葉遣い」。
たとえ認知症があろうとも、寝たきりで介護度の高い利用者様でも敬語でコミュニケーションをとっています。
そうやって利用者様とのコミュニケーションを積み重ねると利用者様や家族様の信頼を積み上げることができるのです。
職員をつなぎとめておく接遇
言葉遣いは、利用者様だけでなく職員間でも言えることです。
利用者様にすら敬語を使えないのに職員に敬語を使えるわけではないです。
今は、利用者様を獲得する以上に有能な介護士を確保することは大変難しいです。
言葉遣いもきちんとできていない介護施設は「職員の管理もきちんとできていない」とみなされても仕方ありません。
言葉遣いを適切にするだけで、介護士をつなぎとめておくこともできるのです。

管理者が言葉遣いをきちんとしていても、ベテラン介護士の言葉遣いが乱れると施設全体の言葉遣いも乱れることがあります。
管理者の皆様は
①自分の言葉遣いを乱れさせない。
②言葉遣いの乱れた職員があればきっちりと指摘する。
③定期的に接遇に関する施設内研修を実施
をしましょう。
接遇力が最低な施設は10年以上の介護士でも続かない

接遇力が低い施設はベテラン介護士でも続くことはありません。
私も一度接遇の最低な施設に派遣されて仕事をすることがありました。
その施設では
- 利用者様を「あだ名」で呼ぶ。
- 敬語を使えていない。
- 利用者様に感情的に怒る
という接遇力でした。
しかも、それを管理者がしているのです。
3ヶ月、4ヶ月そこで仕事をしていると
- 次の日の勤務時間が急によく変わる(1周間に1回は変わります。しかも知らされるのはいつも前日の帰宅前です。)
- 他部署に応援に行くのに当日の出勤時までどこの部署に応援に行くのかわからない。
- 仕事内容に対する説明不足。
私は6ヶ月辛抱しましたが7ヶ月目からは流石に別の派遣先に変えることにしました。

利用者様への言葉遣いが適切でない管理者の元へ、優秀な介護士が集まることは絶対ありません。
介護の人材が集まらないのは、求人が少ないからではなく「接遇力が弱いからではありませんか?」
接遇力を向上するためにおさえておくべき3つのポイント

毎日「接遇」について考える時間を設ける。

接遇は、すぐに改善できるわけではありません。
接遇は、仕組みの問題ではなく文化の問題だからです。
つまり、毎日接遇について考えて、実践することを習慣化して初めて接遇力が上がるからです。
ぜひ、毎日接遇の研修を実施しましょう。
接遇研修のポイント
- 毎日朝礼(難しければ夕礼でも可)で接遇に関する研修を行う。
- 司会は輪番制で、全職員がする。
- 日毎の研修の内容を事務所などに貼っておく。
- 研修時、他の職員が発言しているときは否定せずに聴く。
- 毎日続ける。
- 月1回、施設内研修でロールプレイを使った研修をする。
施設内研修でロールプレイを取り入れる。

接遇を向上させると入っても、利用者様がどう感じるかというのは利用者様の立場に立たなければ理解する事がむずかしいです。
利用者様がデイサービスに来られた時に、「今日も来ていただいてありがとうございます。」と声をかけても「この人本当にそう思っているのかな?」と思う方もいらっしゃいます。
つまり、利用者様がどう受け取るのかわからなければ、どんなに歓迎の言葉を言っても利用者様には伝わりません。
そこで、利用者様がどう感じるのか疑似的に体感するのが
ロールプレイ
という手法です。
ロールプレイとはいわば「寸劇」でこの場合、職員、利用者様の役を振り分けて実際に接遇に関する場面を演じる事で利用者様の気持ちを理解するものです。
接遇力の向上の初歩は言葉遣い

基本的には敬語を使う。
ベテランになればなるほど、介護士によくある事ですが
利用者様に敬語を使えない介護士が少なくありません。
たとえば、友達とご飯を初めていく焼肉店へ食べに行って、スタッフの言葉遣いがタメ口だったらそのお店にまたいきたいと思いますか?
多分、2度と行かないでしょう。
ご飯屋さんは、ご飯を食べにいくだけではなくそこで働くスタッフの「おもてなし」を味わいにいくのです。
デイサービスは尚更そうで、敬語の使えないデイサービスを利用者様は利用したいとは思いません。
あなたの職場では利用者様に「敬語」を使えない介護士はいませんか?
もしいてるとすれば、すぐに解決しないと利用者様が離れて行ってしまいますよ。

介護の仕事はボランティアではなく、ビジネスです。
ビジネスをする限り、利用者様を敬いましょう。
敬語すら使えない介護士はビジネスパーソンとして失格です。
ビジネスパーソンでない介護士は、もはやプロの介護士ですらありません。
介護の仕事も立派なビジネス

介護の仕事はボランティアではなく、「ビジネス」です。
特に今のデイサービスは、差別化を図らないと生き残れない時代です。
デイサービスの介護士は一介護士であっても「ビジネス感覚」がなければデイサービスで働く資格はありません。
利用者様に継続して利用していただかなれば、デイサービスは事業を続ける事ができないからです。
他のビジネスと違うところがあるとすれば、介護保険を使っているかどうかです。
私が知る限りにおいてビジネス感覚の薄いデイサービスの介護士は意外と多いです。
デイサービスの介護士は、介護技術がある介護士が立派ではなく、利用者様の集客をできる(また利用したいと利用者様に思わせる)介護士がデイサーービスという職場に必要なのです。
デイサービスで働くみなさんはぜひ、ビジネスとは何かを改めて考えましょう。

デイサービスでのビジネス感覚を養うために
・毎月の稼働率
・収支差額(利益額)
・平均介護度
・デイサービスの事業目標
・人件費率(全経費と人件費との割合)
を常に把握し、いつ上司から質問があってもすぐに答えられるようにならなければいけません。
接遇を向上させることは、ビジネス感覚を養うために必須のスキルとなります。
利用者様に対してやってはいけなこと

最後に利用者様が自分のところのデイサービスを利用していただくことで私たちはお給料をもらう事ができるのです。
たまに、「介護士の方が上」と思っているのか利用者様に対する言葉遣いや対応の仕方が適切ではない介護士が多いです。
最後に利用者様にやってはいけないNGなことをまとめておきます。
利用者様にやってはいけない接遇的にNGな事。
- 利用者様にタメ口で話をする。
- 利用者様をあだ名や「ちゃんづけ」で呼ぶ。
- 敬語を使わない。
- 命令口調。
- 子どもに話しかけるような話し方で話す
- 専門用語など利用者様が理解しにくい言葉を使う
- 利用者様の悪口を影でいう。

利用者様はお客様です。
利用者様に利用していただかなければ、私たちデイサービスの介護士はお給料をもらう事ができません。
言葉遣いの接遇(おもてなし)ができていないと、利用者様はあなたのデイサービスから離れてしまいます。
まとめ

選ばれるデイサービスになるための接遇力の注意点
・敬語を使おう
・利用者様をあだ名や「ちゃんづけ」で呼ばない。
・その言葉使いをすると利用者様はどう感じるのか考えてみよう。
・ロールプレイを実施すると、利用者様の気持ちを理解しやすい。
・毎日、最低10分はすべての介護士が「接遇」について考える時間を設ける。
接遇が最低なデイサービスは、利用者様だけでなく新しい介護職員を確保するのも難しくなります。
利用者様はお友達ではないのでその辺は勘違いしないようにしましょう。
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