
結論:熱中症を防ぐために利用者様にお願いすることは
①薄手の上着の持参
②水分をとってもらう
③食事をとってもらうことです。

この記事の対象者は
デイサービスの職員(管理者含む)
です。

この記事を読むことで
デイサービスの利用者様や家族様にも
熱中症を防ぐために協力をお願いすることができます。
熱中症とデイサービスの介護士に求められる専門性


デイサービスの介護士に求められる専門性の一つは利用者様を熱中症にさせないことです。
デイサービスでの熱中症発症は信用問題。


デイサービスで利用者様を熱中症にさせるのは信用問題につながります。
デイサービスの目的は利用者様の介護度を重くしないことだからです。
利用者様(高齢者)を熱中症で寝込ませると、いわゆる廃用症候群(寝込むことでADLなどが下がること)にさせます。
20、30代のときであれば1週間程度寝こんんだところで歩けなくなるとか、自分でトイレに行けなくなったりはしません。
それだけ、体に余力があるからです。
しかし、高齢になると1週間程度寝込んだだけで歩行されていた人が車椅子生活になることは珍しくありません。
高齢になると「暑い」という感覚が鈍くなり「寒い」という感覚を感じやすくなります。
27°設定で冷房を稼働させただけで「寒い」という利用者様は少なくありません。
このために、自宅で冷房もつけずに熱中症で亡くなる高齢者が多いのです。
高齢者にデイサービスを利用していただく目的の一つが熱中症を予防するためです。
デイサービスで利用者様を熱中症にさせるデイサービスは廃業したほうがいい
といっても過言ではありません。


デイサービスで利用者様を熱中症にさせるのは、デイサービス失格ですね。
高齢者が熱中症になる原因
高齢者が熱中症になってしまう原因は
- 「暑い」という感覚が鈍くなり、「寒い」という感覚を感じやすくなる。
- 喉が乾くという感覚を感じにくくなり、慢性的に脱水気味になる。
- 食事量が減る。(食事にも水分が含まれています)
です。
もちろん、利用者様が自分でこれらを意識してもらうのは介護士の声かけをしなくてはできません。
つまり、利用者様の熱中症を防ぐためにはこれらを意識してもらうことが重要です。
デイサービスで熱中症の発症を防ぐために利用者様にお願いしておくべき3つのこと


介護士が実施する熱中症対策で大切なのは
・室温を管理する。
・水分摂取を促す。
・食事量を確認するです。
利用者様に薄手の上着を持参していただく
どんなに利用者様が「寒いので冷房を止めて欲しい」と訴えても7月、8月。
場合によっては9月まで冷房を完全に止めることはできません。
8月で場合によっては最高気温が37℃、38℃になることが珍しくありません。
その環境で冷房をつけない選択をすることは、利用者様を熱中症にさせることになります。
そこで、私がよくやってるのが
薄手の長袖の上着を持参してもらう。
ことです。
常に来てもらう必要はありませんが、寒いと感じた時利用者様に薄手の長袖の上着を着てもらうことで冷房を止める必要性がなくなります。
7月、8月に冷房を止めることは他の利用者様だけでなく介護士も熱中症で倒れかねません。
上着を持参していただく依頼するベストなタイミングは
事前連絡のタイミングの時です。


絢音の相談室を読んでくださっている皆さんは当然、もうすでに事前連絡はしていますよね?
その事前連絡の時に「上着を持ってきてください」というだけでも熱中症対策ができるのです。
水分摂取をしてもらう。
熱中症対策のもう一つの水分摂取です。
ただ、高齢になるとほとんどの方は
「トイレが近くなるから飲まない」
「そんなに、お茶ばかり飲めるか」
「まだ、喉乾いていないよ」
と言われることが多いです。
もちろん、「お茶をもう一口でいいから飲んでください」と声をかけ続けることは大切です。
しかし、限られた介護士で水分摂取を促そうと思うと利用者様自身に水分摂取してもらえる手段を取らなければいけません。
そこで私の前の職場で実践している方法が
午後から喫茶店のサービスを始める
です。
高齢者って喫茶店の雰囲気が大好きなんです。
だから、デイサービスのフロア内に「喫茶カウンター」があるのです。
始めてきた来客の方でもわかるほどに
私もその職場に初めてきた日
「デイサービスの中に喫茶店があるって素敵やね。」
と思っていました。
しかもその喫茶店の一番素敵なところが
利用者様が自分でお金を出して食べ物、飲み物を買う
というスタイルで運営していたことです。
そう、利用者様はその喫茶カウンターでお金を出してコーヒーやメロンソーダーなどを飲むことで、最近はなかなかいけていない喫茶店の雰囲気を楽しんでいるのです。
雰囲気が変われば、利用者様って意外とコーヒーやジュースで水分を自分で飲んでいただけるのです。
でもうちのデイサービスは、改築するお金がないから喫茶店できないな。


もちろん、喫茶カウンターがあれば雰囲気が引き立つのですがなくても問題ありません。
ランチョンマットと喫茶店用のエプロンがあれば可能です。
大切なのは利用者様に「喫茶店に来ている様だ」という雰囲気を醸し出すことです。
なので、喫茶店のマスター(ママ)役になる職員さんはしっかり喫茶店の店員さんがどんな言葉遣いや態度で接客しているか見ていてください。
毎日喫茶店をするのが難しい場合は週に1回からレクリエーションとして初めても良いでしょう。
あるいは、おやつを配る時に喫茶店員風にお配りするのも面白いです。
もし、施設内に簡単な喫茶店を作る余剰資金があるところは
シルバー人材センターから喫茶のマスター(ママさん)を雇う
という方法もあります。
私の前の職場では実際にシルバーさんに来てもらいました。
喫茶店と言っても、作業としては業務スーパーで買ってきたコーヒーや紅茶を温めてお出しするだけの簡単なものですしね。
利用者様に水分摂取をするには、自然と飲んでしまう雰囲気づくり
水分を提供しているのではなくて、コーヒーやクリームソーダーを飲んでリッチな気分になれる雰囲気づくりが水分摂取を促します。


コーヒーの好きな高齢者は割と多いです。
それに、自然とコーヒーが飲みたくなる雰囲気が合わさればより水分摂取が促されます。
喫茶店の様な環境にしたいけど、喫茶カウンターを増築できない時は、喫茶店に置いている様なものをデイフロアに置くことで喫茶店に近い雰囲気を出せますよ。
食事をしっかりとってもらう。
毎日しっかりと食事を取ることも熱中症予防には大切です。
基本的にはバランスよく栄養の取れる食事がベストです。
夏場になると汗と一緒にナトリウムも排出されます。
水分だけでなく、塩分も摂ることが必要です。
夏場は利用者様も食欲が落ちやすい季節です。
介護士の方は、夏こそ利用者様の食事の量を確認しましょう。


熱中症を防ぐには、利用者様の食事量も把握しなければいけません。
熱中症を予防するためにデイサービスでできる工夫
事前連絡で利用者様、家族様に薄手の上着を持参をお願いする
利用者様は「暑さ」を訴えることは少なくなり、「寒さ」を訴えらえることが多いです。
デイサービスは利用者様のニーズを満たすのが第一優先にすべきことです。
しかし、「寒い」と言われたからと、冷房のスイッチを切るわけにはいけません。
冷房のスイッチを切ることで利用者様本人だけでなく他の利用者様も熱中症にさせかねません。
そこで事前連絡の時に、家族様あるいはご本人に薄手の上着を持参の声かけをしましょう。
とりあえず、「寒い」と感じても冷房を止めることはありません。
上着を切ればいいからです。
夏場に冷房を止めるのは
利用者様を確実に熱中症にさせるリスクがあります。
一声かけるだけで、熱中症のリスクを下げられるのであれば「上着持参」をしない手はありません。
水分摂取はコーヒーやジュースで水分摂取しやすくする。
主治医からの制限がなければ、水分摂取はコーヒーやジュースでもOKです。
ただでさえ、高齢になると喉の渇きを感じにくくなります。
水分摂取の声かけをしても
「もういらない」
「そんな喉乾いていない」
「トイレ行きたくなるから行かない」
と言って水分を取らなくなります。
制限がなければコーヒーやジュースなど利用者様が取りやすい水分摂取の方法で促しましょう。
お茶以外で水分摂取を取る時の注意点
- 主治医から制限されている成分がないかどうか
- 水分制限がないか(水分制限のある人の水分摂取が一番大変です)
- 糖尿病の方で禁止されている飲み物はないか
- トロミをつけるべきかどうか。
嚥下状態の悪い人にはイオンサポートゼリーで代用。
嚥下状態が悪い方の水分摂取のためにトロミをつけるのが一般的です。
しかし、トロミを嫌がる利用者様もいます。
そこで私の施設でも使われているのがサポートゼリーです。
作り方は
- イオンサポートのスティック1本(75g)に対して1Lの熱湯にかき混ぜて混ぜる。
- 冷蔵庫で冷やす。
これだけです。
私が働いていた介護付有料老人ホームでも仕事の合間に作っていたぐらい誰でも簡単に作れます。
食欲が不振の方には栄養補助食品という選択肢もある。
夏場になると食欲がなくなる利用者様もいます。
食欲がないままにしておくと熱中症のリスクは上がってしまいます。
そこで、よく使われるのが栄養補助食品です。
まとめ




デイサービスで利用者様が熱中症にならないために
ご本人、家族様に依頼する3つのこと
・薄手の上着を持ってきてもらう。
・水分摂取
・食事をとってもらう。
イオンサポートゼリーや栄養補助食品を使うという手段もあります。
コメント