結論:自立支援で重要なのは「様子観察」と「声かけ」です。
私たち介護士の専門性ってなんだろう??
それは「自立支援」と「生活リハビリ」です。
えっ、生活リハビリ!?リハビリは、うちの柔道整復師や理学療法士の先生に任せておけばいいのでは?
確かにリハビリの先生のリハビリも大切です。
「人の動き」を医学的な観点から専門的に勉強、訓練してきたからです。
でも、介護士は利用者様の生活において最も身近な存在です。
日常生活の習慣にリハビリの観点を取り入れるだけでリハビリのチャンスは広がります。
例えば、トイレに行くだけでいろんな動作があります。
- トイレに行くのに膝や足首を動かす。
- トイレットペーパーを取るのに手首や手指を動かす。
- 手すりをつかむのに指に力を入れる。
「今からリハビリしますよ」と言うと利用者様は身構えられます。
しかし、「トイレまで歩く練習しませんか?」と伝えると、利用者様にとって日常生活の延長線上の話になるので、気軽にリハビリを行える。
これが生活リハビリの魅力です。これができるのは、利用者様の様子を一番近くで見てきた介護士のあなたなのです。
ここで大切な観点が自立支援。
自立支援とは利用者様のできることを介護士が取らない介助のことです。
そのポイントとなるのが「声かけ」と「様子観察」です。
【介助は最小限度で!】トイレの時にもできる生活リハビリと自立支援
介護施設で働き始めるとよく聞く言葉「自立支援」、「生活リハビリ」。
特にデイサービスで、自立支援や生活リハビリは利用者様の目的の一つです。
「ジリツシエン」、「セイカツリハビリ」…。漢字ばかりで何のこっちゃ?
自立支援を簡単に説明すると「何でもかんでもやらない介助」のことです。
- 本当は歩けるのに、ご本人が「しんどいから」と言う理由だけで車椅子を使う。
- 業務を終わらすことだけを考えて、ズボンやリハビリパンツなど衣服の着脱を全て介護士がやってしまう。
- 本当は自分できるのに陰部や肛門部を介護士が清拭してしまう。
これらの介助は自立支援とは程遠い介助になります。
利用者様ご本人ができることまでやってしまう介助のことを過剰介助と言います。
- 自立支援・・・利用者様ができないところだけ介助する。
- 過剰介助・・・本当は利用者様ができることまで介助してしまう。
自立支援の難しいポイントは「日々、利用者様の状態が変わる」ところです。
同じ利用者様でも、今日は杖でふらつきなく歩いていたのに明日は急に歩けなくなって車椅子ということがよく起こります。
そこで、重要なのが様子観察です。
利用者様のできることできないことを日常生活の動作から判断します。
次の生活リハビリの基本も様子観察なぐらい、基本的で重要なことです。
前回のご利用時と比べて、何ができてて何ができないか?利用者様の様子から判断します。
【生活リハビリ】トイレまで歩行を促すのもADLを低下させない秘訣
利用者様がデイサービスに来る目的の一つは「リハビリ」です。
リハビリを受けることで、歩けなくなったり、座位が不安定になるのを予防します。
リハビリというと、柔道整復師や理学療法士の資格を持っている「リハビリの先生」がやるものを想像される方が多いです。
でも、実は介護士もリハビリすることができます。
それが「生活リハビリ」です。
利用者様が「トイレまで歩くのがしんどい」と言ってるからと言って安易に車椅子を使用しないのも自立支援の一環です。
本当に利用者様の状態が悪くて歩けないこともあるので様子観察と見極めが大切です。
生活リハビリって何?
自分の生活に置き換えてみても、寝たきりでない限り1日過ごすだけで体を動かす機会だらけです。
日常生活で体を動かす機会
- トイレまで歩くのに膝や足首を動かす。
- 歯磨きをするのに肘や手首、手指を動かす。
- ものを取るのに肩や肘を動かす。
日々、無数の体の動きがないと私たちは生活できません。
これらの動きに着目して、日常生活もチャンスと捉えて意識的にリハビリ訓練にしていくことを「生活リハビリ」と呼びます。
生活リハビリはどこのデイサービスでも取り入れられている手法で、これがないとデイサービスの経営が破綻してしまうほど利用者様や家族様から求められているものです。
生活リハビリのメリット
一般的にリハビリというと理学療法士や柔道整復師といった「リハビリの先生」が行うものというイメージがあります。
しかし、生活リハビリは日常生活の動作も一つのリハビリの機会と捉えて、利用者様に「これもリハビリだ」と意識させるところにポイントがあります。
だから、介護士のようにリハビリを専門的に学んでいなくても実施できるリハビリです。
生活リハビリのメリットはトイレ行くついでにでも、できるので利用者様にあまり身構えさせなくて済むことです。
【一般的なリハビリの場合】
今から平行棒で歩く練習をしましょう!!
あー、今からリハビリか・・・。
【生活リハビリの場合】
トイレ連れて行って!!
承知いたしました。今日は足の調子がいいみたいなので、トイレまでこの歩行器で歩いてみませんか?
あんたがそう言うんやったら、やってみようかな?
長距離は歩けないけど、トイレまでの短い距離なら介助したら歩ける方などは生活リハビリにうってつけです。
やっぱり、ほとんどの利用者様は「自分でできることは自分でしたい。」と思っている方が強いですから、生活リハビリをしてもらうことで目的意識が明確になります。
介助拒否のない利用者様でも本音の部分は「本当は自分でしたいけど、今はできないから手伝ってもらうしかない。」と思っているのです。
生活リハビリは利用者様の今ある習慣にリハビリの意識をプラスするので、利用者様にとって継続しやすいリハビリです。
なんでトイレに行く時にリハビリの一環で歩行をしてもらうの?【1日で一番頻度の多い動作だからです】
高齢者のリハビリの場合、一般的な方のリハビリと大きく異なっている点は「体の機能が完全に回復することを目的としていない。」ことです。
一度、足を骨折・入院された方が再びフラつきなく歩けるようになることは稀です。
また、骨折がなくても老化現象で少しずつ足の筋力は衰えるものです。
高齢者のリハビリのゴールは「現状維持」もしくは「衰えを遅らせる」ことです。
高齢者のリハビリは一生続けていかないといけません。
日常生活の中で最も多い動作は「トイレに行くこと」です。
これを使わない手はありません。
普段は車椅子の方でもトイレまでの距離ならば歩けるのであれば、声かけにて歩いていただくことでそれがリハビリになります。
普段車椅子の方にトイレまで歩いてもらう場合、様子観察と声かけが必要です。
歩ける方だとトイレまでの歩行訓練(生活リハビリ)は必要ないのか?というとそうではありません。
- 歩行時のふらつきの度合い。
- 歩行転換。
- 歩くスピード。
- 姿勢。
- 杖の使い方
声かけしながらトイレまで付き添うだけで、利用者様が勇気づけられることがあります。
リハビリを続けてもらえるかどうかは利用者様の意欲があるかどうかにかかっています。
職員から褒めてもらうと利用者様も嬉しいのです。
デイサービスでは介護士が利用者様にとって一番身近な存在です。
その身近な存在から「見てもらえてる」という感覚があるのは、利用者様にとって嬉しいものです。
【生活リハビリ】歩行以外の動作もリハビリのチャンス‼︎
高齢者のADLはすぐに落ちます。
本当はズボンを下ろすのは利用者様自身でできるのに、あなたが介助してしまうとそのうちできなくなります。
ついやってしまいがちな過剰介助
- 手すりを持てば自分で立てるのに、お尻を思いっきり上げてしまう。
- 膝までズボンやパンツを上げたら自分で上げられるのに、上げてしまう。
- 時間をかければ、できるのに介護士が陰部の清拭を介助してしまう。
過剰介護になってしまう原因は利用者様のADLを十分に把握していないこと。
つまり、様子観察ができないのです。
実はトイレに行くのに、歩行だけじゃなくてそれ以外の動作のリハビリもまとめて一気でできるのが生活リハビリの特徴です。
トイレに行くというのは生きている限り、絶対になくならない習慣です。
しかも、トイレに行って帰って来るまでにいろんな動作をしています。
トイレに行って帰って来るまでにやっている動作
- 立ち上がる
- 歩行する
- ドアを開ける
- 手すりをつかむ
- ズボン、下着を下ろす
- 便座に腰を下ろす
- トイレットペーパーで陰部、肛門の清拭
- ズボン、下着をあげる
- トイレの水を流す
- 手を洗う
- 席まで歩く
これだけの動作を「リハビリ」と考えて利用者様に動作してもらうと、利用者様ができることを減らさずに済みます。
リハビリはスポーツと一緒で普段の動作が練習になります。
自立支援を促すポイントは「様子観察」と「声かけ」です。
介助者が全てやってしまうのは、利用者様のためになりません。利用者様は何ができて何ができないのか見極めましょう。
ズボンの上げ下ろしを促す
「手が思い通りに動かない・・・」
そんな利用者様は少なくありません。
手は動くけで足先までは届かない。
でも、膝までならどうでしょうか?
足先までは届かなくても膝までなら手が届く。下着、ズボンを膝まではご自分で降ろしていただいて膝から下はあなたが介護する。
これが自立支援です。
山田さん、ズボンと下着を下ろせますか?
膝までしか降ろされへん・・・。
では、膝までは降ろしてくださいますか?その先は私がお手伝いします。
素晴らしい!!膝まで下ろせたじゃないですか♪
ありがとう♪
利用者様の中には本当は自分でできるのに、「やってもらいたい。」気持ちが強くてあなたに頼る方もいらっしゃいます。
そんな方は声かけで、できるだけご自分でしていただけるようにします。
その日の体調などで、本当にできない場合もあるのでその辺の見極めも必要です。
これは、入浴介助で衣類の着脱の時にも必要です☆
水を流す
意外と多いのが「水の流し忘れ」。わざと流さないのではなく、本当に忘れている場合があります。
あるいは、どれが水を流すボタンなのか分からない場合もあります。
そんな時は、流すボタンを手差ししながらお伝えしましょう!
どこのボタンを押したら水が流れるか分からへん。
これを押したら水が流れますよ!(手差ししながら)
ああ、こっちやったんか。ありがとうな。
特に利用されて間もない方は、自宅のトイレと違うので混乱されることが多いです。
そんな時でも慌てさせずに、声かけしましょう。
できれば言葉だけでなく、ジェスチャーも交えると伝わりやすくなります。
清拭を促す
手が動きにくくて、トイレットペーパーを取る方が難しい場合があります。
確かに、トイレットペーパーをあなたが取って利用者様に渡す必要があります。
ただし、拭くのは利用者様の役割。
臀部の後ろの方までは手が届かないかもしれません。
でも陰部や肛門までは手が届くかもしれません。
介助している利用者様の手がどこまで届くか様子を見てください。
どうしても手の届かない部分や汚れが残っている部分はあなたが介助します。
他にもこんな場合は介助が必要です。
- 少ないトイレットペーパーで肛門を拭き取ろうとしている。
- 排便困難で自己摘便しようとしている。
- 認知症状で、やたら陰部や臀部を触っている。
- 座位が安定しない。
- 便失禁で下半身がほぼ全て汚れている。
転倒や長時間トイレに閉じこもっている可能性があるなど、危険が伴う場合は利用者様ができても介助する場合があります。
トイレでの自立支援を促す場面まとめ
このようにトイレ介助の際もこれだけの自立支援を促すチャンスがあります。
自立支援を促す方法は声かけと様子観察。
同じ利用者様でも、日が変われば状態が変わます。
【間違えると逆効果】トイレまでの歩行訓練で見るべきポイント
自立支援は介護士に一番求められるスキルです。
今日の利用者様に何ができるのかを見極めて、声かけして動作を促す。
そうすることで、住み慣れた自宅で暮らし続けられます。
自立支援、特に歩行訓練で注意すべきは「様子観察」です。
ただ見るだけは「様子観察」じゃないよ!!
自立支援を促す際、利用者様の状態を確認します。
普段の状況との違いを見ます。
いつもより、歩くペースがゆっくりだったり、立位の際に顔が歪んだら「足の調子はいかがですか?」とご本人に状態を確認しましょう。
声かけした時に利用者様の反応を見る
全て、最初の介助は声かけです。
できるだけ利用者様の意欲を引き出す声かけをします。
時には強引に声かけして歩いていただく場合もあります。
- トイレまで歩く練習をしませんか?
- ○○さん最近足の調子が良さそうですね。今日も歩行器で歩いてみませんか?
- (歩行器などを持ってきて、歩くのが当たり前かのように)さあ、歩きましょう♪
利用者様の拒否が強いときは、無理に歩いていただかずに車椅子を使用します。
声かけをしたら利用者様の反応を見ます。
見るべき利用者様の反応
- 利用者様の表情
- 声の高さ
- 反応までの間
- 反応自体があるか
- 目線
- 体の向き
- 返答の内容
利用者様に歩く意欲があっても、立位の瞬間顔を歪めたり、足や腰をさする場合があります。
「もしかして、今日は足の調子が悪いのかな?」と予測することができます。
そんな時も声かけをして、利用者様自身に状態をお聞きしましょう。
トイレまで歩きましょう!
うん、歩いてみるわ。
・・・‼︎
今日は足の調子が悪いですか?
今日は膝が痛いみたい。
歩行器で歩けそうですか?
トイレまで遠くないからちょっと歩いてみるわ。
私が体を支えているのでゆっくり歩きましょう。
一度、立位していただいても痛みで足が全く動かない状態が続いたら車椅子を使用します。
できることをしてもらうことは大切ですが、利用者様に無理をさせないことも必要です。
基本的にはお席からトイレまでの動線が一番短くて、幅広いルートに利用者様を誘導していきます。
立位時、歩行中の様子を見る。
痛みがなくても、歩行状態が悪い時があります。
- 足を引きずっている。
- 膝が上がっていない。
- 腰がいつもより伸びない。
- すぐに椅子に座ろうとする。
- いつもよりふらつきが強い。
あなたの介助で転倒しなければ、段差など転倒しやすいポイントで声かけしながら歩行していただきます。
一人介助では転倒しそうな場合は、他の職員に協力を依頼して二人介助で歩行していただきます。
二人介助でも転倒しそう、協力してもらえそうな職員がいない場合は車椅子を使用します。
歩行が不安定ならば車椅子を使用するときもあります。
利用者様の歩行状態は一定ではありません。
昨日は、ふらつきなく歩いていた方でも今日はフラフラで歩行されている場合があります。
歩行が不安定な理由
- 体調が悪い
- 足が痛い
- 実は怪我をしていた
- 血圧が下がっている
- 水分不足
ふらつきが強くて転倒の危険が高い場合は、利用者様に歩く意思があっても念の為車椅子で移動していただきます。
シルバーカーや歩行器を使用すると歩行が安定することも・・・
利用者様の中には、杖や歩行器などにも様々な種類があって使うことで歩行が楽になるということを知らない方がいらっしゃいます。
もし、あなたの職場に歩行器の備品があれば、利用者様に使用を提案してみましょう。
使う前に使い方を説明して下さい。
LIFULL介護HPより引用(https://kaigo.homes.co.jp/manual/homecare/basic/walker/)
歩行器の使い方に関しては以下のリンクを確認して下さい。
使用していただく歩行器や杖の種類が決まったら、使用していただきます。
使用する前に、利用者様の身長にあった高さに調節します。
歩行中に利用者様が痛みや違和感を感じたり、更に歩行が不安定になるようであれば使用を中止していただきます。
歩行が安定するようであれば、継続して使用していただきます。
歩行器は介護保険でレンタルできる場合があります。使用する場合があれば、上司や相談員に報告しましょう。
【どれがベスト?】知ってるだけで利用者様が楽になる歩行介助の種類
歩行介助の種類は1つだけではありません。
いろんな歩行介助の仕方があります。
これら全ての介助ができるようになっておきましょう。
どんな利用者様が来られても安全に介助するためには、できる介助方法を増やす必要があるからです。
ゴールへ辿り着くために、一つの道だけだと塞がれた時にそれで終わりです。
複数の道を知っておくことで、ゴールにたどり着ける可能性が高くなります。
できる介助方法を増やす前に、それぞれどんな介助方法か見ていきましょう。
付き添い介助
付き添い介助は、利用者様の横に付き添う介助です。
見守りだけが必要な利用者様にも有効です。
- 麻痺側(利き手ではない方)に立つ
- 利用者様の腋の下と手を下から支えるように支える。
- 利用者様の進行方向を合わせる。
- 利用者様のペースに合わせる。
お互い前を向いて移動できるので、ストレスなく介助できます。
利用者様がバランスを崩してもすぐに支えることができます。
歩行が安定している方であれば、側についてるだけでOKです。
手引き歩行介助
手引き歩行解除とは介助者と利用者様がお互いに向き合い、両手を取って歩行を介助する方法です。
両腕を支えるので、利用者様が安心して歩行することができます。
- 進行方向の障害物を確認
- 利用者様と向き合う
- 利用者様の両脇に手を置き、利用者様には介護者の肘を持っていただく。
- 利用者様に前へ体重移動しながら立位していただく。
- 利用者様の表情を確認しながら歩く。
- 利用者様のペースに合わせる。
手引き歩行は介護者の後方が全く見えません。
短距離の移動に適した介助方法です。
お席からトイレまでの距離であれば問題ありません。
ただし、膝折れの可能性が高い利用者様に手引き歩行は転倒の可能性が高くなります。
後ろから歩行介助
二人介助や腰が伸びない場合の補助的な形で介助する場合に有効です。
近くの距離まで素早く歩行介助したい、でも腰が伸びない方に手引きで二人介助をするときに一方の介助者がお尻を支えます。
あるいは、腰を伸ばさないと利用者様の重心が前にいきすぎてしまいます。
歩行時、仙骨部が重心移動の中心になるので仙骨部を支えることで歩行がスムーズになります。
現場ではあまりやらない介助方法です。でも、知っておくべき介助方法ではあります。
杖歩行の介助
歩行にふらつきがある方に適した介助方法です。
比較的長距離を歩いていただくのに適した介助方法です。
杖だけでも、転倒の可能性がある方に介護士が付き添って介助します。
- 杖は、肘が30度程度曲った長さに調節します。
- 介護士は利用者様が杖を持っているのとは反対側のやや後ろに立つ。
- 利用者様の脇の下と肘を支える。
- 利用者様に「杖→患側→健脚」の順で歩いてもらう。
- 利用者様のペースに合わせて歩く。
杖にもいろんな種類があります。
LIFULL介護HPより引用(https://kaigo.homes.co.jp/manual/homecare/basic/walker/)
介助を行う際、利用者様の杖の持ち方や使い方、杖のゴムがすり減っていないかも見ながら介助しましょう。
歩行器の介助
歩行器で上半身を支えながら歩行していただく介助方法です。
廊下など床が平坦な場所に適している介助です。
- 歩行器の高さを調節する。ひじが軽く曲がり、少し前傾姿勢になるように調節する。
- 介護士は利用者様の斜め後ろに立ちます。
- 利用者様の脇の下に軽く手を添えておきます。
- 歩行の手順は「歩行器」→「患脚」→「健脚」の順に出してもらいます。
利用者様には、歩行器から遠すぎず、近すぎない距離で使用していただくように声かけしながら歩行していただきます。
歩行器や利用者様のADLによっては方向転換が難しいものもあります。
必要時に方向転換の補助をします。
シルバーカーの介助
比較的歩が安定している方で、物を持って歩けない場合や膝や腰に疲れや痛みを生じやすい利用者様の歩行を助ける手押し車です。
- ハンドルの高さを調節する。ひじが軽く曲がり、少し前傾姿勢になるように調節する
- ブレーキが掛けれるか、操作を確認する
- 介護士は利用者様の斜め後ろに立つ
- 必要であれば、利用者様の脇の下に軽く手を添える
- シルバーカーに上半身の体重を乗せ過ぎないようにする
椅子に座るとき、立位するときなどにシルバーカーが動くと転倒の危険性が高くなります。
ブレーキをかけていただくように声かけをしましょう。
まとめ
利用者様がデイサービスに来る目的の一つが「リハビリ」。
デイサービスでリハビリを受けることで
- 自宅での生活を続けたい。
- 車椅子生活になりたくない。
- 自分でトイレに行けるようになりたい。
そんな利用者様の希望を実現することができます。
利用者様が自宅で生活できなくなる理由の一番は体の衰え。
特に歩けなくなると利用者様自身の自身の喪失になりますし、同居の家族様の負担が大きくなります。
そうすると、本当は自宅で生活し続けたいのに施設に入所しなければならなくなります。
トイレ介助時の生活リハビリや自立支援の考え方は、利用者様に「これからリハビリ」と身構えさせないで日常生活での動作をしながら「リハビリ」を意識させる絶好の機会です。
生活リハビリが利用者様の生活を支えることになるかどうかはあなたの様子観察と声かけ次第です。
あとは、介護士の経験を積んでいろんな介助方法を身につけていくことで利用者様がより楽になる介助サービスを提供することができます。
あなたの現場での介助の場面と当てはめて振り返っていただくと、より適切な介助方法を選べるようになります。
トイレ介助で自立支援するためには、他にも知らないといけない介助があります。
こちらの記事でトイレ介助をざっくりと理解して下さいね。
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