結論:ほかの人が読んでもイメージできるケース記録を書こう!!
介護士として就職して避けては通れない業務が
「ケース記録」です。
- なんで介護をした後で疲れているのにケース記録も書かないといけないの。
- 上司から「何書いているか分からない」と書き直しを指示された。
- 昔から作文が苦手で、しかも書き方が分からないのでケース記録を書くのが億劫だ。
こんな風に思っていませんか?
実は、ケース記録を書く理由と注意点をおさえればすぐに解決することができます。
そもそも「なぜ、ケース記録をかかないといけないか」というと
- 介護サービスを提供したという証拠になるから。
- 利用者様の様子を振り返るため。
- サービスを変更するときの根拠になる。
からです。
日中介護をして、ケース記録を書くからこそ介護士はお給料をもらえるのです。
そして、わかりやすくケース記録を書くコツは3つあります。
明日からでも実践できる内容となっています。ぜひ、参考にしてください。
【なぜ書くのか?】ケース記録はサービス提供の証拠
物は買えば後に残りますが、介護サービスは提供している「その時」にしかないので後に残りません。
極端の話をすると、実際には介護サービスを提供していないのに「提供した」と国や都道府県、市町村に届け出ることもできます。
実際に、サービスを提供したかどうかの証拠の一つが「ケース記録」なのです。
ケース記録を書く理由
- 介護士が仕事をしている証拠を残すため
- 利用者様のデイサービスでの様子を振り返る事ができる。(サービス担当者会議や施設内のカンファレンスで必要になります)
- 通所介護計画書を更新するときに必要になる。
さらに、利用者様の様子を振り返ることにより良いサービスを提供するためのヒントになります。
介護士が仕事をしている証拠
なぜ、介護の仕事にはケース記録があるのかというと・・・・
介護はサービスを提供した後では、介護サービスを提供しているかどうかわからないから
極端なことを言うと
全く、利用者様に介護サービスを提供していないのに「介護サービスを提供した。」と保険者(市町村)に言うこともできるのです。
体がしんどい思いをしてしごとしたのに、なんで疑うのよ!!
なぜそうなるのかというと、「介護サービス」を提供した後は何も残らないからです。
たとえば、
お花屋さんが売っているものは「お花」です。
八百屋さん(最近はほとんど見かけなくなりましたが)が売っているのは野菜です。
あるいは、
書店で売っているのは本です。
これらは、買うと実物が手元にあるので「お金を払ったのに商品がない」という事が起こりづらくなります。
しかし、介護サービスは提供した後だとサービスを提供したという証拠が消えてしまいます。
そこで、「確かに介護保険サービスを提供しましたよ」ということを証拠として残すためにケース記録を残すのです。
介護保険は国や都道府県、市町村から介護サービス
つまり、ケース記録がないというのは「介護サービス」を提供していないのと同じことになってしまうのです。
介護保険の報酬の約9割は介護保険の保険料から出ています。しかも、介護保険サービスは提供された後は証拠が残りません。その証拠をして扱われるのが「ケース記録」です。
利用者様の様子を振り返る事ができる。
現場レベルでは「利用者様の様子を振り返る事ができる」というのがケース記録を書く一番大きな理由です。
高齢になると、急にADLの低下する時があります。
- ADLって何??
- ADLとは日常生活動作と呼ばれています。例えば、移動であれば「杖歩行なのか?それとも、車椅子移動なのか?」。下肢筋力の低下(足が弱ってくること)であれば「ふらつきがある程度」、「週1回の頻度で転倒している」。認知症状であれば、「物忘れが多いだけ」、「実の息子の顔も分からない」など、利用者様は何ができて何ができないか?を表す目安です。ドライブする時の地図と一緒です。どの介護施設で働いても利用者様のADLが分からないと介助できません。介護は利用者様それぞれに合ったやり方をしなければ怪我をしたり、さらにADLが悪化したりするからです。なんとなく「体がどれだけ不自由か?」を示すものと認識していただいて間違いありません。
いざ、そういう申し送りがあると「なんで急にそんな状態になったの?」と思いますが、実は少しずつそのサインが出ている事がよくあるのです。
ADLの低下??しているかもしれないサイン
- 最近、すり足状態での歩行が増えてきた。
- 歩行時、膝が上がりにくくなってきた。
- 利用者様同士の会話がかみ合わない回数が増えてきた。
- 好きだったレクリエーションのカラオケに参加する回数が減ってきた。
- 入浴拒否で入浴中止する回数が増えてきた。
1日だけADL低下のサインがあれば、「たまたまだったのかな?」ということになります。
それが、1か月、2か月と続くと「ADLが低下しているかも」と判断することができます。
利用者様の様子で「いつもこんなんだったけ?」と気づいたことを申し送る。
日々の申し送りをケース記録に記載する。
そんな申し送りが積み重なったケース記録を振り返ることで、利用者様の状態変化を振り返ることができるのです。
ケース記録を書いているときに、利用者様の状態の変化に気づかなくても後から振り返って「この時から状態が変化してたんだ」と気づく事ができます。
通所介護計画書の更新をするときにも必要。
デイサービスは事業所と利用者様と契約をすればすぐに利用できるわけではありません。
「通所介護計画書」というものを利用者様本人・家族様の承認、交付して初めてデイサービスを利用することができるようになります。
さらに、デイサービスの利用中も「入浴は一般浴のままでいいのか?」、「使っている車いすで不都合はないか?」など今のサービスのままでよいのかを定期的に見直さなければいけません。
最低でも、介護保険の更新される前に見直しをしなければいけません。
その際に、状態が変化していれば通所介護計画書を再度作成して、サービスの変更を決定することになります。
これらのサービス変更の判断材料も「ケース記録」です。
利用者様の状態の変化を時間を追って確認することができます。
ケース記録をめくって確認することで1日単位で気づけなかった状態変化にも気付けるようになります。
ケース記録から分かる利用者様の状態変化
- ズボンまで濡れるほどの尿失禁が増えてきた。
- 血圧が安定しないことが増えてきた。
- ベット静養されている時間が伸びている。
- 食事量が減ってきた。
- 入浴拒否が増えてきた。
「どうすれば利用者様が『今日も楽しかったなー』と思えるか」は日々変化しています。
その変化に気づかなければ、今日も利用者様を気持ちよくさせることはできません。
通所介護計画書は気づいたことを「サービスの変更」で利用者様・家族様に提案していくための書類なのです。
【何を書くの?】デイサービスのケース記録の内容
ケース記録には利用者様がどんなサービスをどんな様子で利用したのか(利用中止したのか)を記入します。
その他、その日の利用者様の出来事でいつもとは違う出来事(特記事項)があればそれも書きます。
事業所によってはもっと詳細に書かないといけない場合があります。
新しい職場で働くことになったら、早速ケース記録をみてみましょう。
日中の活動や過ごされ方
日中の活動や過ごされ方は利用者様のADLを把握に必要な情報です。利用者様の意欲や清潔保持に関わるものだからです。
ここでは、具体的な数字や実施したかどうか、いつごろに実施したのかを記載します。
- 入浴(特浴or一般浴、入浴したor中止)
- 食事量(主食 割、副食 割)
- 参加レクリエーション(午前、午後)
これらは、どこのデイサービスでも毎日サービス提供を実施しているので、ケース記録の用紙にこれらの項目を印刷し、実施できたら○をつけるようにすると良いです。
連絡帳のあるデイサービスでは、ケース記録を印刷したものを連絡帳に挟むようにすると2度手間を減らす事ができます。
これらは、実施しているか実施できなかったかのどちらか記入する、あるいは数字を記入するだけなのでこれは最初から印刷していたほうがスムーズに記録する事ができます。
その他の特記事項
特記事項は頻繁には書かない?のですが、「その日、特に記録しておくべき利用者様の出来事」を記入します。
その利用者様にとって衝撃的なことや大きな出来事など普段ではあまり起きないような特別なできごとを記載していきます。
特記事項に書くこと
- 利用者様の入浴拒否が強くて、職員の髪を掴んだり、血が出るまで職員の手を摘んだりしたので、入浴を中止する。
- 昼食後のトイレ時、多量の便失禁あり。持参のリハビリパンツ、パットと交換する。
- カラオケ参加時、利用者B様に「あなたの歌、音程外しまくってるよ。」と言われる。利用者B様は落ち込まれた様子で「私、音程外しまくっているんか」と話される。
特記事項であがるようなことが起こった場合、申し送りにも上がる内容です。
特記事項は普段は書かないようなことを記載するので文章量が多くなりがちです。
文章が多くなりすぎると、他のスタッフが読みにくい記録になるので一文をできるだけ短く。実際に起こった事実だけを記載します。
その日あった利用者様の変わった出来事は全て特記事項としてケース記録に記入します。基本的には申し送りに上がってくる内容です。
バイタルなどの利用者様の体の状態
ケース記録には、その日の利用者様の様子だけではなく、利用者様の健康状態も記載します。
デイサービスでは、利用者様の健康状態の把握も仕事の一つです。
ケアマネや家族様からも頻繁に問い合わせのある内容なので、間違いなく記載する必要があります。
ケース記録の情報で、利用者様の主治医が治療方針を決定する場合もあります。
冬場で血圧が安定しなくて再度測定する場合があります。そんなときは、再度測定した数字も記載します。その際、何時に測定したのかも記載しましょう。
【現場をイメージできるか?】分かりやすいケース記録の原則
ケース記録は他のスタッフも現場をイメージできるようなわかりやすいものでなくてはいけません。
情報共有としても側面もあるからです。
しかし、自分では分かりやすいって思っていても他のスタッフが見ると意外と分かりにくかったりします。
なぜ、分かりにくいケース記録になるの?
- 現場にいなくてイメージするには、情報が不十分。
- 誤解されてしまうような言葉が使われている。
- 1文(。~。までの間)が長すぎて何を書いているのか分からない。
- スタッフの感想が入っている。
- 字が汚い、達筆すぎて読めない。
分かりやすいケース記録を最短で書けるようになるコツは、前のページをめくって他のスタッフの書き方を参考にすることです。
マネをするのが誰が読んでも現場をイメージできる文章力を上げる近道です。
ケース記録を記入する時の注意点
ケース記録は介護保険的に正式な記録になります。
なので、誰が見ても分かる書き方で書き、改ざんされているかもと疑われる書き方をしないのが鉄則です。
これはかなりオーバーですが、全く可能性がないわけでもありません。
ケース記録の書き方を無視するだけで減算(介護報酬が減らされる)の可能性もあります。
このルールを守らないと「もう一度書き直し」となり兼ねません。
デイサービスにとってケース記録は利用者様に介護サービスを提供したという証拠になるからです。
介護士になりたての人がやってしまいやすいミスなので注意してください。
特記事項は簡潔に客観的事実だけを書く。
せっかく書いたのに他の人が読んでも伝わらないケース記録になる原因の一つが「主観」が入っているからです。
主観とは自分の気持ちや感情のことです。
主観が入っていると、実際にどんなことが起こったのか分からなくなるから注意してください。
特記事項は文章が続くのでわかりにくくなりがち。
他人が読んでも理解できる文章を書きましょう。
他人が読んでも理解できる文章になっているかどうかのチェックポイント
- 事実だけを書いているのか
- 主観が入っていないか
- 一文が長すぎないか
- 誤解されるような表現になっていないか
- 内容に矛盾はないか
- 利用者様の話している内容に「」がつけられているかどうか
ここで具体的な文章例を見ていきましょう。
どんな文章がよくて、どんな文章がいいのか?その違いを見極められたら、だれが見ても理解できるケース記録の完成です。
あれ?改善したほうも主観が入っていない?
実は、ケース記録を書いていて主観的な言葉を入れないと書けない場合があります。
そんな場合は主観的な言葉の末尾に「~な様子」と入れればOK。
実際にどうかは分からないが「介護士である私にはそのように見えた」という事実になります。
ちなみに、「」の中に主観的な言葉が入っても構いません。
利用者様が実際に口に出した言葉は客観的事実になるからです。
むしろ、「」内の表現は利用者様が言った言葉を変えずにそのままを記載しましょう。
利用者様が発した「」内にある主観的な言葉はむしろ、利用者様の理解につながります。
現場を知らない人でも理解できますか?
ケース記録の書き方のイメージは、「現場を知らない」施設長や利用者様の家族様が読んでも分かるなようになっているかどうかという事です。
しかし、現場で働いていると「誰が読んでも分かる内容」で書いているつもりでも意外とそうなっていないものです。
私自身も「状況が全然わからない」と上司に指導される事がよくありました。
現場では普通に通じる言葉が、現場から離れている上司やケース記録の閲覧請求した家族様からしたら「何を書いてるかわからないぞ」という書き方なっています。
自分では「他の人が読んでも理解できる文章になっているかどうか」分からない場合は、上司や先輩にチェックしてもらいましょう。
自分で書いた文章は「これで完璧」と思ってしまいがちなので、わかりにくい表現に気づきにくくなっています。
自分一人でもできる誰が読んでも分かりやすいケース記録を作るコツは「声に出して読む」ことです。
声に出して読むことで、わかりにくい表現に気づきやすくなるからです。
しかも、誤字・脱字にも気付けるようになります。
プロのライターやブロガーでも「声に出して読む」ことで、文章を見直しています。
今すぐに実践できるので、明日からやってみましょう。
現場で働いているからこそ、省略している言葉がありますが現場を知らない人が見ると全くイメージがつきません。
まとめ
デイサービスのケース記録は行政の役人も見る公式文書であるという理解と利用者様に寄り添った介護サービスの提供のためには欠かせない書類です。
利用者様が「今日も楽しかった」を思わせたうえで、サービス提供した利用者様の様子を記録に残すことで私たち介護士はお給料をもらえるのです。
その前提で、他の人が見ても理解できる文章を書くことでケース記録の役割を果たすことができます。
他のスタッフがどう書いているのか見ながら書くのが、理解しやすいケース記録を書くコツです。
とはいえ、なにをどうかいたら伝わるのかは書く回数を積み重ねるしかありません。
それでも、「分かりにくい」と指摘されるようであればケース記録を書いたら上司や先輩に確認してもらうのが確実です。
「櫻 絢音のゆる~い相談室❤」では、デイサービスでゆる~く働けるようになるための仕事のスキルを公開しています。
デイサービスで働き始めたばかりの人、これからデイサービスで働きたいと思っている人の悩みが解決できたらうれしいです。
デイサービスの大まかな仕事については以下の記事を参考にしてください。
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