結論:当て方を間違えると尿失禁になります。排泄用品の正しい使い方をマスターしてください。
排泄介助で一番メインになるのが排泄用品の交換です。
排尿でズボンや下着類が汚れるのを防ぐ排泄用品。
付け方を間違えると、結局ズボンや下着類を汚してしまいます。
排泄用品の付け方を間違って失禁してしまうと・・・
- 上司や先輩に怒られる。
- 排泄介助したのに無駄になる。
- ズボンの替えがなくて困る。
少しパッドがずれているだけで、あなたは頭を抱えることになります。
あなたの介助が原因で利用者様のズボンを濡らすことのないようにするには正しい排泄用品交換の手順が必要です。
排泄介助が遅いのも手順が違うか抜けてしまていることがあるから。
正しい手順を意識して排泄介助に取り組むことで、利用者様に快適なデイサービスの時間を提供することができます。
どっちを前に当てればいいの!?尿取りパッドの使い方。
尿取りパッド要介護高齢者のいるお家や施設では必需品です。
尿取りパッドは使いやすいだけでなく、コストも抑えやすいのでデイサービスでも使われています。
時間内に「トイレ誘導」を終わらせないと利用者様の帰宅が遅れてしまうデイサービスでは、パッドを使用することで排泄介助の時間を大きく短縮できます。
デイサービスで尿取りパッドが使われている理由。
- 多量に持参してもかさばらない。
- すぐに交換できる。
- リハビリパンツや布パンツにも取り付けることができる。
- 少量の尿失禁だったら、誰にもバレずに交換できる。
- リハビリパンツや紙おむつと併用するとコストを抑えられる。
デイサービスでパッド交換=排泄介助と言っても差し支えないほど使用されている排泄用品です。
パッドは使いやすい反面、使い方を間違うと利用者様のズボンを排尿で濡らしてしまうことになります。
パッドの使い方は、吸水体に利用者様の陰部と肛門部が当たればOK。
基本的にはリハビリパンツや紙おむつなどの他の排泄用品と併用するのが一般的です。
尿取りパッドは「当て方」が重要です。
今更聞けない・・・。男女で違う尿取りパッドのつけ方。
ほとんどの尿取りパッドは矢印や「前」というように、どちらを前に当てればいいわ分かるようになっています。
たまに、全くどちらが前か分からないものもあります。
そんな場合、「男女によってつけ方が変わる」を覚えてください。
男女によって体の作りが変わるからです。
基本的に尿取りパッドの広い方が、排尿を一番多く吸収します。
男性の場合、陰部が長く出ているので排尿は前に出てくる傾向があります。陰部を中心に給水する必要があります。
パッドだけでは吸収しきれない場合は、陰茎を巻く「巻きパッド」もあります。
女性の場合は、パッドの広い方を後ろにセットします。
男性と比べて排尿が後ろの方へ伝え漏れしやすいからです。
女性のパッド交換の際に、もう一つ注意しないといけないのが「立位時の排尿」です。
立位時排尿ってなに??
女性は男性に比べて尿道が短くなっています。そのため、腹圧(お腹に力を入れること)がかかると排尿してしまうのです。立位の際もお腹に力が入るため排尿が出てしまいます。トイレまで誘導してリハビリパンツ、パッドを外した瞬間に排尿。そのまま、下着やズボンを濡らしてしまいます。特に二人で排泄介助を行う利用者様に関しては、トイレの便座にお尻が触れる直前にパッドを抜かないとズボン、下着を濡らしてしまいます。
私の経験として、歩行状態が悪くなっていたり寝たきりで座位が保てない利用者様に多く見られる傾向にあります。
「やってしまった」尿取りパッドをつけたのに尿失禁させてしまう失敗例。
尿量の多い利用者様でもリハビリパンツ、パッドを使うことで下着やズボンを汚さなくて済むアイテムです。
パッドだけが濡れている状態だと、少しズボンやリハビリパンツをおろして素早く交換することができます。
パッドは使い方を間違えると全く排尿を吸収せず結局下着やズボンを濡らしてしまうことになります。
よくあるパッド交換のミス
- パッドが裏表逆。
- パッドの吸収体が陰部や肛門部に当たっていない。
- パッドの端が折れてしまっている。
- 利用者様が便座に座る動作をする前に抜いてしまって排尿。ズボンと下着が汚れる。
- トイレの声かけが遅すぎてパッドが排尿でボトボト。リハビリパンツを通り越して下着、ズボンも汚れる。
この中でも一番多いのが「パッドが折れている」。
パッドの外側の端にマジックテープのついていないものは、リハビリパンツを上げた後に折れていないかどうかの確認をしましょう。
パッドが折れて尿失禁は、介護士として恥ずかしい。
下着と一緒って知ってた?リハビリパンツ介助の基本。
利用者様にとって、リハビリパンツはパンツと同じ下着なんです。
- 中途半端に上がりきっていない。
- サイズがブカブカ
- リハビリパンツの前後ろが逆
- 微妙にズレてはかされている
パンツがこんな状態だったら、あなたはどう感じますか?
気持ち悪い・・・。
しかし、私たちがパンツをはくのと全く同じ感覚で介助すると気持ち悪いだけでなく隙間から排尿が漏れることもあります。
ここでのポイントは「高齢者はお肉が垂れる」です。
実はリハビリパンツは上げるのに一手間かける必要があります。
リハビリパンツの介助は知っているだけで大幅に時間短縮できるテクニックもありますよ!
下着と同じ感覚。気持ち悪くならないリハビリパンツ介助の手順。
リハビリパンツを上げるだけの介助では、利用者様は違和感を感じます。
高齢者はお肉が垂れていて、垂れているお肉もリハビリパンツの中に入ってしまってるからです。
リハビリパンツを上げるのに一手間加えると「違和感」を感じさせなくなります。
【手順1】リハビリパンツを上げる
ここに関しては私たちがパンツを上げるのと同じです。
注意してほしいのは、一気にあげすぎてリハビリパンツが破れること。
特に体が大きい方は上げた際にリハビリパンツが破けやすくなります。
リハビリパンツをあげて・・・
破けてしまった。
【手順2】股関節部分を引き上げて垂れたお肉を整える。
この一手間を加えることで、利用者様の違和感を解決できるだけでなくリハビリパンツからの隙間漏れを防ぐことができます。
実は高齢者のお肉は垂れています。そのままだと垂れているお肉の部分にスキマができます。
これが「違和感」や「尿もれ」の原因。
脚の付け根部分のリハビリパンツを上に上げることで、垂れて余ったお肉を外に出すことができます。
【手順3】もう一度リハビリパンツを上げる。
垂れたお肉をリハビリパンツの外に出たら、再度リハビリパンツを上げると利用者様の体にフィットさせることができます。
リハビリパンツの隙間を作ってはいけないのが鼠蹊部。
ここに隙間がないか、再度確認します。
隙間がなければパッチやズボンを上げます。
気持ち悪いところはありませんか?
ないよ、ありがとう。
最後に違和感がないか確認します。
これで気持ちのいい介助を実現。やっぱりゆるゆるパンツは気持ち悪いですね!!
知ってるだけで超絶早くなる。リハビリパンツ交換時短術。
リハビリパンツ交換の基本を学んだところで、今すぐ使える「時短術」をお伝えします。
例えば、排泄介助に時間がかかりすぎて怒られたことはありませんか?
自分では一生懸命にやっているつもりなのに、やる気のなくなる瞬間ですよね?
とは言っても、そんな難しいことをするわけではありません。
ズボンやパッチを全て脱がすのではなく、片方の足だけ脱がします。
この手順を使えば、最大で1/2の時間でリハビリパンツの交換をできます。
介助力が上がれば、お局様も指摘する材料がなくなります。
ズボンを膝まで下ろす
ここまでは、普通にズボンを下ろすだけです。
もちろん、ズボンやパッチなどが濡れていれば全て脱がします。
リハビリパンツを破く
実は、リハビリパンツの両サイドに破けるように線が入っています。これを上から下に向かって破くと簡単にリハビリパンツを脱がすことができます。
ただし、便失禁の場合は要注意!!
リハビリパンツは排尿を吸収することはできても、排便を吸収し切ることはできません。
リハビリパンツ内の排便がそのままズボンに落ちて結局汚すことになります。
便失禁の場合は一旦便座に座ってリハビリパンツを破いてから汚れたものを抜き取るのも一つの手段です。
片方だけの脚を脱ぐ。
ここからが時短術のポイント。
両脚を脱がせなくていいんです。
片方の足だけズボンを脱がせればOKです。
ズボンを脱いでない方の脚からリハビリパンツをはかせる。
これは逆にすると、訳が分からなり時間短縮になりません。
必ずズボンを脱いでない方の脚からリハビリパンツをはかせます。
ズボンを上げる。
リハビリパンツを上げたらパッチやズボンをあげます。
この時短術はリハビリパンツとパッドが両方とも濡れてしまっている時にも使えます。
リハビリパンツとパッドを両方使ったときに介助方法については【デイサービスで最も使われている】リハビリパンツ、パッドの気持ちいい使い方で詳しく解説しています。
本当だ〜、こっちの方が早い!!
でしょ!!
どうすればいいの?おむつ交換の手順☆
オムツ交換って介助の手順が多すぎて何から手をつけていいか分からない。
でも、やらないといつまで経ってもオムツ交換ができない。
最初の方は、先輩や上司をつかまえて手順を見てもらいましょう。
特養などの入所施設だと9割が紙オムツ交換のユニットもあります。
しかし、デイサービスの場合は多くても2〜3人程度です。
オムツ交換が一番時間がかかるので、最初にオムツ交換の介助を済ませておくとその後の排泄介助の管理がしやすくなります。
少しレベルは高くなりますが排泄介助の管理に関してはこちらで詳しく解説しています。
オムツ交換の手順は、動画が一番わかりやすいです。
ブログでお伝えしきれないのが残念(泣)
こちらの動画で詳細を確認してください。
おむつ交換は動画で勉強するのが一番わかりやすいです。
とは言っても、情報量が多すぎて何のこっちゃ分からないでしょう。
今回は、ざっくりとオムツ交換の流れを解説します。
動画の情報を思い出しながら現場で実践してくださいね。
オムツ交換の流れ
- おむつ介助の準備をする。
- 古いおむつを広げて陰洗してから水分を拭き取る。
- 利用者様を側臥位(横向きに寝かせる)にする。
- 側臥位にしたら、肛門やお尻を濡れティッシュや失禁用のタオルで拭き取る。
- 古いおむつを外して新しいおむつを当てる
- おむつを体にフィットさせて装着する。
ここでのおむつ交換の手順はざっくりとした流れです。動画を思い出しながら頭の中で整理してください。
おむつ介助の準備をする。
準備が一番重要ポイントです。
いざ介助をし始めてから足りないものを取りに行けないからです。
利用者様の下半身を裸にしている時間をできるだけ短くします。
オムツ交換の時に必要な準備物
- 新しい紙おむつ、パッド類
- 濡れティッシュとトイレットペーパー(または、失禁様タオル)
- 古新聞紙
- ゴム手袋
- バケツ
- 陰洗ボトル(お湯はぬるめで)
パッドはギャザーを立てておき、紙おむつのギャザー内にセットしておきます。
準備物は手の届く範囲に置いておきましょう。
準備物はできれば利用者様の足元へ、バケツは床に置いておきます。
ゴム手袋はあらかじめ2重にしておくと、排便等で汚れても外すだけで介助を続けられます。
できれば消臭スプレーも用意しておき、排便の時は介助後に消臭しておきます。
オムツ交換に時間がかかってしまう1番の原因は準備不足です。
古いおむつを広げて陰洗してから水分を拭き取る。
古いオムツを広げるときにテープの部分を折り返します。利用者様の肌を傷つけないためです。
ちょっとして刺激でも表皮剥離することがあります。
ズボンを脱がした後、利用者様に少し腰を上げてオムツを下に下げます。排泄物で利用者様の体を汚さないためです。
陰部洗浄は片手でボトルを持ち、もう片方で陰部や陰部の周囲を綺麗にしていきます。
陰部洗浄後、失禁様のタオルもしくはトイレットペーパーで水分を拭き取ります。
この時、必ず面を変えて拭き取ります。
特に女性の場合は、汚染物が尿道に入ると尿路感染するリスクがあります。
利用者様を側臥位(横向きに寝かせる)にする。
側臥位にする際、膝を三角にします。
手は仙骨部と肩甲骨に置いて自分の方に引くと簡単に利用者様の体を動かすことができます。
側臥位にしたら、肛門やお尻を濡れティッシュや失禁用のタオルで拭き取る。
排便などで肛門部やお尻が汚れていたらウエットティッシュや失禁タオルで拭き取ります。
この時も、同じ面を使いません。
拭き終わったら、古いオムツは丸めておいて引き出しやすいようにしておきます。
ゴム手袋は古いおむつと一緒に包めておきます。
古いおむつを外して新しいおむつを当てる
古いパッドや紙おむつを引き出す際、股の間から出すと陰部が汚れてしまします。
側臥位で引き出します。
おむつ交換の際も、排尿されることがあります。シーツが汚れないように新しい紙おむつやパッドを体に入れ込んでおきます。
お尻の割れ目とオムツの中心ラインが合うようにセットします。
おむつを体にフィットさせて装着する。
内股からパッド、紙おむつを引き出します。
ギャザーを鼠蹊部に合わせるようにオムツを当てておきます。
鼠蹊部に隙間があるとそこから排尿が漏れ出すのできっちり当てておきましょう。
テープは下から順につけます。
オムツの中心がお腹の中心にきているか確認します。
オムツを強く締めすぎるとキツイです。
オムツを締めすぎるときついです。目安は人差し指がオムツに入る程度です。
まとめ
排泄介助のメインは排泄用品の交換です。
排泄用品はズボンを汚さないためのものというだけでなく、パンツなどの下着そのものです。
正しい手順で介助しないと、ズレたり尿失禁したりして利用者様に「気持ち悪い」と不快な思いをさせます。
排泄用品を交換する際に注意する3つのこと
- 過不足なく準備してから介助に入る
- 体にフィットさせる
- 清拭する際、同じ面を使わない
排泄介助に関して、短時間で終わらせることは利用者様にとっての「快適」につながります。
排泄介助を早く終わらせられるようになると、入浴介助のスピードも上がります。
私たちと利用者様の体の特徴の違いを理解しながら介助してください。
今日からあなたも排泄介助マスターです!
排泄介助は一度マスターすれば、どんな利用者様がご利用されても難なくできるようになります。
確かに利用者様のADLに合わせて介助方法を応用する必要がありますが、全ては介助の基本がベースになっています。
介助のスピードは上がっているのに、排泄介助がなかなか終わらない時は排泄介助の流れで何らかの問題が生じています。
こちらの記事を参考に、もう一度排泄介助の流れを再確認していただければと思います。
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