結論:送迎時間を短縮するポイントは新しい道の開拓、介護技術の向上、時間のかかる送迎の事例を参考にすることです。
デイサービスの業務で最も大変な業務の一つが送迎。すべての利用者様の送迎がスムーズにいけば良いですが、自宅に到着してから乗車するだけで10分以上かかる利用者様もいらっしゃいます。予定よりも時間がかかると車を飛ばしがち。
そのままだと…
送迎時間がカツカツだと
- 次の送迎先まで時間の余裕がないのに・・・どうしよう。
- いつも遅刻気味。利用者様や家族様に申し訳ない。
- 急いで運転してヒヤッとした。安全運転したい。
送迎で焦ってしまったり、イライラしたりする原因にもなります。焦れば焦るほど、車の量が多くなったり子供の飛び出しが多く感じたりするようになる。
つまり、あなたの判断力が落ちてしまいます。
そこで送迎をスムーズにする方法が「3つの送迎の時短術」です。
これを実践すれば、多少のイレギュラーがあっても時間通りに送迎を行うことが可能になります。ただし、これには一つ問題点があってそれは一朝一夕ではできない点。
毎日の習慣として積み重ねることで少しずつ送迎の時間の短縮できるようになります。
「時は金なり」
送迎の「何もしてない」スキマ時間を減らすのがこの記事の目的となっています。
送迎の時間短縮は「経験値」をためてレベルアップすると使えるスキルです。
【時短術①】送迎で使う道を開拓する。
使える作戦は多ければ多い方が「時間短縮」に成功する確率が高くなります。道路状況が予測とは違う結果になることもあります。使える道が増えると「時間短縮」に使えるルートが増えます。
使える道が増えるということは選択肢が増えるということです。
一つの道しか知らないより、複数の道を知っておくことで送迎ルートの選択肢が増えます。道の開拓はすぐに時間を短縮できる方法です。新しい道の開拓方法は3つあります。
すぐに取り組めるものを3つに厳選しました。調べた道を実際に通ってみて使えるかどうかを検証しましょう。
道を開拓する際、通り慣れない道なので事故に注意しましょう。
【道の開拓方法1】気になった道をGoogleマップで調べる。
送迎に出るといろんな道があります。「この道はどこに繋がっているんだろう?」と道もあります。そんな道は送迎で使えるかもしれません。ただ、その道は行き止まりだったり事故の危険が非常に高い場合もあります。
使えそうな道は使えるかどうか調べた上で「道の開拓」をすることができます。
施設から利用者様のご自宅前の道は一つではありません。もちろん、広くて大きな道だけを使って時間通りに到着することに越したことはありません。
- 雨天などの気象条件
- だんじり祭りなどの地域のイベント
- 通勤ラッシュの時間帯
片道二車線以上ある大きな道路は混雑しやすくなります。1つでも多く使える道があると混雑を回避できます。このように、「道の開発」をしておくと道路状況によって使い分けできるようになります。
新しく送迎で使う道を開発するのは、利用者様宅へ時間通りに送迎に行く選択肢を増やすことです。
【いつ道の開拓をするの?】帰りの送迎で予定時間より早く利用者様を送ってスキマ時間ができたときに。
「道の開発」にはそれなりの時間がかかるので、それだけのために運転するのは効率が悪いです。そこでおすすめするのが「スキマ時間」の活用です。
スキマ時間とは予定と予定の間の時間。つまり、「微妙に予定のない空白の時間」です。
「道の開発」はこのスキマ時間を活用すると時間の節約になります。
送迎の「スキマ時間」ってどんな時間?
- 「少し寄り道」しても目標時間に戻れる時間。
- 予定より5〜10分早く利用者様を全てお送りして浮いた時間。
予定時間より早く送迎が終わって事業所に帰るときに寄り道をするという感じです。
朝の送迎はできるだけ事業所に帰らないといけません。
でも、夕方の送迎終了後ならば多少時間的に余裕があるので事業所に帰るついでに「道を開発」するのが効率的です。
新しい道の開拓とは、実際に気になっている道を使うことで時間短縮になるかどうかを検証することなのです。
微妙に空いた時間の「スキマ時間」は「お宝の時間」です。
【道の開拓中に迷わないために】事前にGoogleマップ、ストリートビューで調べてね❤︎
予定より早く全ての利用者様をお送りしてスキマ時間ができたら、「気になる道」を通りたくなるところです。
でも、すぐに「気になる道」を通るのは危険です。
気になる道を見つけたら一旦持ち帰って、その道がどんな道か調べます。
よくも知らない道を通るのは想定外のことが起こりやすく事故リスクが上がります。
気になる道をよく調べもせずに通ると・・・
- 私道で通ってはいけない。
- 道が狭すぎて、通行するのに苦労する(車体を擦りそうになる)
- 道路で遊んでいる子供が多すぎて危険。
- 近くに踏切があって余計に時間がかかる。
- 人や車の飛び出しが多い。
- 実は事故多発地点だった。
使える道を開発するために通ったけど、事故をしたり事業所に帰るのが大幅に遅くなってしまっては本末転倒です。
よく知らない道は危険と隣り合わせなのです。
知らない道を通るときのリスクの回避方法は「事前に調べること」です。
そこで、使えるのが「Googleマップ」です。
さらに、ストリートビューを使うと道の雰囲気まで事前に調べることができます。
紙の地図だけだと、道周囲の風景まで調べることができないのでストリートビューは重宝します。
【開拓するタイミング】施設に到着する時間を逆算してから新しい道を開拓する。
これも結論から言うと
Google マップを使えと言う話で
道を開拓して、業務終了時間までに帰ることができなければそれは本末転倒です。
なので、Google マップである程度の予想時間を確認しておきましょう。
もちろん、時間帯や使う道路の周辺状況によって混雑具合は変わってきます。
したがって、その時間予測が必ずしも正しいとは限りません。
なので、私の場合はGoogle マップででた時間予測+10分を目安に時間予測をしていました。
さらに、もし渋滞していた場合の抜け道やUターンできるポイントを調べてから新しい道の開拓を行っていました。
送迎で使う道の開拓って、事前のリサーチも重要ってことなのね。
そういうことね。道の開拓をして、就業時刻までに戻られなかったり、交通事故を起こしては意味がないからね。事前に調べれることは徹底的に調べようね。
【時短術②】介護技術を向上させる。
送迎で全ての利用者様がすぐに車に乗っていただけるわけではありません。
寝たきりの方や車椅子での移動の方などの送迎では介助しないと車まで乗っていただくことができません。
介助力を上げることも送迎の時間短縮に欠かせません。
送迎の時に必要になる介助
- 歩行、車椅子介助
- 移乗介助
- 人間の体の動きの把握
送迎時間の短縮は、運転や道の開発だけではありません。介護技術の向上も送迎時間の短縮につながりますよ。
歩行、車椅子介助の技術を向上させる。
自宅から車まで移動する時間も送迎時間に含まれます。
利用者様のADLが上がって、今までゆっくりだったのが急にスタスタ歩けるようにはなりません。
介護士が慌てて介助をすると転倒して、余計に時間がかかってしまいます。
適切な介助で時間のロスを減らすのがポイントです。
車椅子の介助方法を一から勉強し直すのも送迎の時間短縮になります。
これを応用できるようになれば、団地の狭い階段でも車椅子のまま介助で登り降りすることができるようになります。
腕力だけで介助するのではなく、あなた自身の体重を上手く活用してください。
移乗介助を向上させる。
新人介護士にとって大きな通過点の一つが
ベットから車椅子への移乗介助。
車椅子からベットへの移乗介助。
送迎に出ると避けては通れない介助ですね。
移乗介助のやり方についてはこちらの動画をご覧ください!!
移乗介助。
できるようになると「私介護士としていけてるやん」ってなります。
移乗介助は一度、コツをつかめば忘れることはありません。
なんか車椅子の部品外したり、座る位置変えたりしてたけどここまでの動作覚えれるかな?
覚えれるよ。でも覚えるのに少しコツがいつの。
いきなり、利用者様を介助するのってハードルが高かったりします。
「(腕の力が足りなくて)落としてしまったらどうしよう」って。
同じ介護士同士が移乗介助の練習をすれば床に落としてしまう可能性はありません。
【移乗介助応用の極意】人間の体の動きを研究する。
まずは下のイラストをご覧ください。
これは、動画でもあったように「介助の基本」です。
これだけでは利用者様個別の状況に応じた介助をすることはできません。
そこでポイントとなるのは
人間の動きを研究です。
基本的な介助も応用の介助も「人間の体がどう動くか」を利用しています。
これらの動きって、自分で試して知ることができるんです。
例えば、頭をさげずにベットに座っている状態から立てるか?とか。
立つときに、頭、お尻、足のカカトがどこにあるのかを見るだけでも移乗介助を直感的に理解することができます。
【時短術③】なぜ送迎の時間が遅れたのかを分析して改善する。【予想時間より遅くなった時の原因を見つける】
送迎が遅くなってしまうのには理由があります。
もちろん、自分ではどうしようもないようなことが原因の時もあります。
でも、「なぜ、遅くなったか?」を分析して改善してください。
「自分では何もできない」と思っていても、実はできることがある場合もあります。
よくある「送迎が遅くなってしまう」事例
道の選択も移動・移乗介助も完璧だったのに思っていた以上に時間がかかると焦ってしまいますよね。
今から車が出発するのに利用者様からトイレの訴え。
この場合の最大の解決策は
高齢者の行動パターンはほぼ固定化されています。
乗車前にトイレに行かれる利用者様はトイレに行かないと乗車していただけません。
万が一、トイレに行かずに乗車したとしても結局送迎途中でトイレの訴えがあることに・・・
トイレの時間も含めて送迎時間に含めておくのが最善です。
琴音さん、それでは車に乗りましょうか?
はーい。
・・・・
足が止まってますが、どうされました?
おしっこ行きたくなってきた。
次の送迎まで、余裕ないのにな。
一回「トイレに行きたい」と思ったら、終わるまで車には乗ってもらえません。
送り出しの家族様がいれば苦笑いする状況ですね。
ただし、定例会議や夕礼などで都度申し送りを上げる必要はあります。
出発前のトイレの訴えが日常的でしかも時間のロスが10分以上になるなど送迎に支障が出るレベルであれば送迎職員だけでは解決できません。
トイレが近い利用者様に関しては、出発前にトイレの声かけをしましょう。
急激な歩行状態の悪化
高齢者はある日突然、歩行状態が悪くなることがあります。
送迎職員自身の介助方法が悪くても歩行状態が悪くなることがあります。
家族様から連絡があるなど、事前に分かっている場合は職場の車椅子を持参することで解決できます。
もし、自宅に到着してから利用者様の歩行状態が悪いことに気づいたら・・・
ここで恐れないといけないのが焦って事故をすることです。
遅れる時間を予測して、次の送迎先に遅れる連絡を入れましょう
参考までに、歩行介助の時に知っておくべき知識を確認しておきましょう。
杖やシルバーカーを使用したり、歩幅を大きくして歩いてもらうとこの支持基底面が大きくなって歩行状態が安定しやすくなります。
歩行状態が悪いと感じる場面が増えたら、利用者様自体の健康状態やADLの低下があるということです。
もし、2人介助で何とか移動できる状態で家族様がいれば、家族様にも移動介助を依頼しましょう。
家族様があまり協力的でない
理想としては、自宅に到着したタイミングですぐに乗り込みできる状態がベストです。
時間通りに送迎を行うには家族様の協力が不可欠です。
基本的には、家族様は送迎の時に乗り込みを手伝っていただけます。
しかし、そうでない状況もあります。
家族様の協力がない時は、いない時の段取りで送迎に望みます。
家族様の協力が得られない時は、事前にケアマネから連絡してもらえることが多いです。
事前に分かっていれば朝食後薬を飲んでいただいている間に、荷物を車に積み込む。
送迎車内で利用者様を検温している間に玄関を施錠するなど、うまくスキマ時間を活用してください。
送迎時間が遅れることが多くなってきたら、家族様へ何らかの支援が必要です。
同居の家族様が仕事をされていたり、病院通いであったりと、家族様自身「協力したいけどなかなかできない」という状況もあります。
送り出しのヘルパーがポンコツ
送り出しのヘルパーがみんな「段取りがいい」わけではありません。
「とりあえず、入っているだけ?」と思われるヘルパーもいます。
あるいは、初任者研修取り立て仕事の流れを把握し切れていないヘルパーもいます。
ヘルパーの動きが悪い時は、デイの職員で指示だし(お願い)をして何をしないといけないのか教えてあげましょう。
新人であろうが、段取りが悪かろうがヘルパーは時間内に利用者様を送り出すのが仕事です。
また、デイ職員は時間通りに送迎をするのが仕事です。
時間通りにというところで利害が一致している以上、協力して送迎業務を行わなければいけません。
送り出しのヘルパーがポンコツであれば、送迎業務に係る範囲内で、ヘルパーに指示を出してあげましょう。
利用者様が行方不明になっている
この場合に時間短縮できる方法はありません。
もちろん、次の送迎先には遅れる連絡を入れておきます。
まずは、探せる範囲で探しましょう。
ただし、利用者様が自宅の中にいるかどうかわからない状態で自宅に入ると「不法侵入」で訴えられる可能性があります。
まずは、自宅の外から利用者様を探しましょう。
いないと思っていたけど、実はトイレに入っていたということもあります。
上記をやっても、利用者様の姿を見つけられなければ・・・
デイサービスの送迎は利用者様の安否確認も含まれています。
もし、探しても見つからなければあなたの権限で解決できることはありません。
まずは、上司に連絡します。
上司からの指示通りに動きます。
タイミングのすれ違いから、利用者様の深刻な状態まであります。
利用者様が行方不明の時は早めに「行方不明」と判断して、次の手を打つのが時間短縮のコツです。
まとめ
送迎は運転、介助、事例の分析の3つの組み合わせで時間短縮ができます。
いきなり5分、10分と大幅に時短できるわけではありません。
道の開拓をして10秒早く。
介助方法を改善して15秒早く。
時間が遅くなった送迎を分析して対策する。
毎日の積み重ねで実現できます。
送迎時間を短縮することで
- 時間の余裕ができる。
- 事故の原因を素早く見つけることができる。
- 事故原因を排除できる。
- 利用者様に「安心して車に乗れる」という気持ちをプレゼント。
- 余った時間でさらに道の開拓をする時間ができる。
まさに「時は金なり」です。
過ぎてしまった時間を取り戻すことはできない。
だからこそ、時間の節約はあなたにとって大きな財産になります。
今すぐ「3つの送迎時短術」を毎日の習慣にして快適な送迎ライフを過ごしてくださいね!!
送迎で何をすればわからなくなったら、大まかな送迎の仕事を勉強し直しましょう。
送迎マニュアルをまとめてみたのでそちらで確認してください。
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