
結論:送迎時間を短縮するポイントは新しい道の開拓、介護技術の向上、時間のかかる送迎の事例を参考にすることです。

この記事の対象者は
デイサービスで送迎業務に携わっている職員
送迎の時間短縮をしたいと思っている職員
送迎に時間のかかる利用者様の対策を考えている職員
が対象です。

この記事を読むことで
送迎時間の短縮をすることができます。
デイサービスの業務で最も大変な業務の一つが送迎。
すべての利用者様の送迎がスムーズにいけば良いですが、自宅に到着してから車に乗車するだけで10分以上かかる利用者様もいらっしゃいます。
デイサービスの送迎は多くの場合、複数の利用者様をお迎えに行くので
「次の利用者様のお迎えにも行かないといけないのに時間に遅れる。」
と運転中にイライラすることは送迎に関わったことのある職員ならばよくある経験です。
しかし、運転中のイライラは交通事故を誘発し利用者様に
「安全で安心な送迎サービス」
の提供を妨げます。
イライラしないで送迎業務に携わるのには、送迎時間を短縮することがその対策になります。
とはいえ、そんな簡単にはいかないのも送迎業務です。
今回は13年デイサービスの送迎業務を担ってきた絢音が送迎時間を短縮する3つのポイントを解説します。
明日から実践できる方法を厳選しました。
送迎業務に携わる時に、自分のイライラ感を少なくし利用者様に安心・安全な送迎サービスを提供しましょう。
送迎で使う道を開拓する。


スキマ時間で知っている道を増やしましょう。
- グーグルマップなどで、今まで知らなかった道を調べる。
- 新しく発見した道がどのみちにつながっているか調べる。
- 実際に「知っているけど、使ったことのない道」、Googleマップ上で新しく発見した道を車で通ってみる。
- 実際に車で通ってみて、狭さ、人通りの多さ、車の流れ、路面がガタガタしていないかなどを体感して送迎で使えるかどうかを考察する。
- 送迎で使えそうなら、時間的に余裕のある送迎で使ってみる。
- 事業所でNGな送迎ルートになっていないか上司に確認する。
- 時間や利用者様の安全・快適さ的に問題なければ正式に送迎ルートに加える。
施設から利用者様のご自宅前の道は一つではありません。
もちろん、広くて大きな道だけを使って時間通りに到着することに越したことはありません。
しかし
- 雨天などの気象条件
- だんじり祭りなどの地域のイベント
- 通勤ラッシュの時間帯
など、広くて大きな道路が混雑している場合があります。
この時、使える道が一つだけだと利用者様のご自宅に到着するのが遅れます。
知っている道が3つ以上あると、道路の混雑状況に応じて道を使い分けすることができます。
道を使い分けつまり選択肢があるとする・・・・
より送迎車がスムーズに進める方の道を選ぶ
ことができるのです。
では、どうやって送迎で使う道を開発すればいいか?
そのポイントをここでは解説します。

新しく送迎で使う道を開発するのは、利用者様宅へ時間通りに送迎に行く選択肢を増やすことです。
【時短術①】新しい道を開拓するタイミングは帰りの送迎で早めに利用者様を送ってしまった時

まずは、どのタイミングで新しい道を開拓するのかという問題についてです。
結論から言うと
スキマ時間
です。
つまり、帰りの送迎ですべての利用者様を送って施設まで真っ直ぐに帰ると就業時間より10分以上前に到着する状況になった時です。
なので、あえて寄り道をすると言うよりは違う道を使って帰ってみると言うことです。
送迎で運転をしていると

この道ってどこにつながっているんだろう?
と気になる道が出てきます。
もしかすると、
その道を使うことで2〜3分の時間短縮につながるかもしれません。
もちろん、結局今まで使っていた道の方が早いじゃん
と言うこともあります。
新しい道の開拓とは、実際に気になっている道を使うことで時間短縮になるかどうかを検証することなのです。

車で休日出かける方は、外出の帰りに新しい道の開拓ができますね。2~3分の時間短縮でも、ケース記録を1名分書き切るぐらいに時間にはなります。スキマ時間は「お宝の時間」です。
【開拓前のの下準備】新しい道の開拓は事前にGoogleマップ、ストリートビューで調べてから行う

新しい道の開拓は「スキマ時間」を有効に活用するための手段です。
実際に、時間短縮になるかどうかを検証することです。
ただし、新しい道の開拓する時にも一つ注意点があって
事前に見つけた道を調べる
ということが大切です。
新しい道を見つけたけど
- 私道で通ってはいけない。
- 道が狭すぎて、通行するのに苦労する(車体を擦りそうになる)
- 道路で遊んでいる子供が多すぎて危険。
- 近くに踏切があって余計に時間がかかる。
- 人や車の飛び出しが多い。
- 実は事故多発地点だった。
ということはよくあります。
私も実際に新しい道の開拓をしている時に、狭い道を通って送迎車を縁石に擦ってしまうということがありました。
そうならないように
Google マップなどで徹底的に調べてから道の開拓をしましょう。
特に
ストリートビューは優れものです。
地図上では決してわからない。
- 道の狭さ
- 公道かどうか
- 道の雰囲気
- 目印となるもの
- 印象的な建物
などを確認することができます。
Google マップと合わせて使いましょう。
【開拓するタイミング】施設に到着する時間を逆算してから新しい道を開拓する。

これも結論から言うと
Google マップを使えと言う話で
道を開拓して、業務終了時間までに帰ることができなければそれは本末転倒です。
なので、Google マップである程度の予想時間を確認しておきましょう。
もちろん、時間帯や使う道路の周辺状況によって混雑具合は変わってきます。
したがって、その時間予測が必ずしも正しいとは限りません。
なので、私の場合はGoogle マップででた時間予測+10分を目安に時間予測をしていました。
さらに、もし渋滞していた場合の抜け道やUターンできるポイントを調べてから新しい道の開拓を行っていました。
送迎で使う道の開拓って、事前のリサーチも重要ってことなのね。


そういうことね。道の開拓をして、就業時刻までに戻られなかったり、交通事故を起こしては意味がないからね。事前に調べれることは徹底的に調べようね。
【時短術②】介護技術を向上させる。


送迎時間の短縮は、運転や道の開発だけ
ではありません。
介護技術の向上も送迎時間の短縮につながりますよ。
移動介助を向上させる。

利用者様の移動介助に関して、ほとんど変わらないと思っていると大変なことになります。
たしかに、利用者様の移動速度自体は介助しても大幅に変わることはありません。
しかし、介助ミスで転倒させたり、利用者様に負担がかかる移動介助をしていて骨折などの怪我をさせてしまうとそれ以上に時間がかかってしまいます。
移動介助は時間短縮ではなく、
それ以上時間をかけないように、利用者様の体への負担を少なくする
という観点で介助をしましょう。
つまり、利用者様の安全な移動の確保ということです。

急ぐあまりに利用者様を転倒させると、
余計に時間がかかります。
移動に関しては、安全に介助をして利用者様の
ADLの変化を把握しましょう。
移乗介助を向上させる。

移乗介助に関しては、移動介助と真逆です。
つまり
素早く介助をするです。
特に車椅子で移動される方の場合、一時的にとはいえ立位の状態になります。
普段、車椅子の方が立っている状態を続けるのは負担が大きいです。
言ってみるなら、普段筋トレとかしていないのに腕立て伏せや腹筋をやているようなものです。
- 頭の動き
- 足の位置
- 腰の動き
- 介助者と利用者様の位置
- 助手の介助は必要か?
- 利用者様の理解力
- 介護者と利用者様の重心の位置
移乗介助は練習量が物をいいます。
実際に、先輩介護士や上司にお願いして移乗介助の練習に付き合ってもらいましょう。

ここ重要!!

移乗介助はすべての介助技術の基本です。
移乗介助ができないと、その他の食事、入浴、排泄、移動介助はできません。
移乗介助に不安を持っていたらすぐに解決する必要があります。
苦手な介助方法をなくす。

介護施設で使われている介護技術は
人間の動きを研究したもの
です。
- 立つときの、頭、足、腰の動きはどうなっているのか。
- 頭を押さえらえれたら立てない。
- 服の素材によってどの程度まで伸びるのか。
- 服を脱ぎ着するのに、肩をどの程度まで上げないといけないのか
- 座る時の、頭、足、腰の動きはどうなっているのか
挙げればきりがないですが
介護技術は人間の体の動きに基づいて研究されています。
たとえば、立位の時に利用者様の腰が伸びにくいので、腰に手を当てることで、利用者様に「腰を伸ばす」という動作を意識してもらう。
など、利用者様が忘れているあるいはできない動作を介護士が補助するのです。
苦手な介助がある時って
利用者様の体の動きを把握できていないのです。
苦手な介助があるときは、その利用者様の動きをしっかりと観察しましょう。
そして、利用者様は何の動きができないのか、意識が薄いのか明確にしましょう。
あるいは、先輩介護士や上司などに相談をするのも良いでしょう。

膝や肘が完全に固まってしまっていて、
デイサービス全体で介助方法を模索している利用者様もいます。その場合は、上司やデイサービスとして決まった介助方法に従いましょう。
【時短術③】過去に送迎で時間のかかった事例を分析し、対策を立てる。【予想時間より遅くなった時の原因を見つける】

対策していても、思った以上に送迎に時間がかかる場合があります。それは、一つの事例として今後の参考にしましょう。
よくある事例と対策
出発直前のトイレの訴え

琴音さん、それでは車に乗りましょうか?
はーい。

・・・・


足が止まってますが、どうされました?
おしっこ行きたくなってきた。


次の送迎まで、余裕ないのにな。
はい、出ました。
乗り込む直前で「おトイレ」攻撃w
しかも、移動がゆっくりな利用者様に限って割とよくあるんですよね。
ただし、車に乗り込む直前でよくトイレを訴えらえる方は頻尿である方が多いです。
自宅の玄関を出る前にトイレの声かけをしましょう。
送り出しの家族様がいないため、トイレに時間がかかる場合はヘルパーの導入も考えましょう。

自宅の玄関を出ていただく前に「トイレ行きましょう」って声かけしましょう。(家族様の送り出しがない場合)
急激な歩行状態の悪化

急激な歩行状態の悪化は、予想がつかない時もあります。
そんな時は焦って歩行介助をせずに、送迎時間が遅れることを次の送迎先の利用者様に連絡をしましょう。
もし、歩行困難で送迎車に乗ること自体が難しい場合は車椅子が必要です。
自宅に車椅子がなければ、他の職員にお願いして持ってきてもらうか一度施設まで戻ってから施設の車椅子を持参して再度利用者様の宅まで行きましょう。

もし、2人介助で何とか移動できる状態で家族様がいれば、家族様にも移動介助を依頼しましょう。
家族様があまり協力的でない

中には、利用者様ご本人以外誰が一緒に住んでいるのかお顔すらわからない家庭もあります。
もちろん、何の問題もなくスムーズに送迎ができていれば問題ありません。
しかし、そのようなお家は利用者様ご本人の認知症状の出現やADLの低下で送迎職員が支援しないといけないことが増えてきます。
そのようなお家の送迎で、いつもとは違うことがあれば都度申し送りをあげましょう。
送迎職員が支援しないといけないことが増えてきたら、送り出しのヘルパーを検討するタイミングです。

ご家族様が非協力的なお家は私の経験で、
全体の3割程度あります。
同居の家族様が仕事をされていたり、病院
通いであったりと、家族様自身「協力したいけど
なかなかできない」という状況もあります。
送り出しのヘルパーがポンコツ

送り出しのヘルパーがみんな「段取りがいい」わけではありません。
「とりあえず、入っているだけ?」と思われるヘルパーもいます。
あるいは、初任者研修取り立て仕事の流れを把握し切れていないヘルパーもいます。
ヘルパーの動きが悪い時は、デイの職員で指示だし(お願い)をして何をしないといけないのか教えてあげましょう。
新人であろうが、段取りが悪かろうがヘルパーは時間内に利用者様を送り出すのが仕事です。
また、デイ職員は時間通りに送迎をするのが仕事です。
時間通りにというところで利害が一致している以上、協力して送迎業務を行わなければいけません。

送り出しのヘルパーがポンコツであれば、
送迎業務に係る範囲内で、ヘルパーに指示を出して
あげましょう。
利用者様が行方不明になっている

まずは、探せる範囲で探しましょう。
そして、もう一つ注意しないといけないのが
利用者様が自宅にいるかどうかわからない状態で自宅には入らないということです。
もし、自宅に利用者様がいない状態で勝手に自宅に入ると住居不法侵入で摘発される可能性があります。
なので、まずは自宅の外から探せる範囲で探しましょう。
自宅に電話をする。
それでも、利用者様の行方がわからなければ、
施設に連絡して指示を仰ぎましょう。
さらに、
ケアマネにも連絡をしておきましょう。
実は、この事例は意外と多い。
送迎職員が訪問したが、ご本人お買い物や病院受診に言ってしまった
という事例は私も嫌というほど聞きました。
まとめ




送迎時間を短縮する3つの方法
・新しい道を開拓する
→帰りの送迎終了後、時間に余裕のあるタイミングで。
・介護技術を向上させる
→特に移動、移乗介助に利用者様にとって負担の少ない介助を心がける。
・過去に送迎で時間のかかった事例を分析し、対策を立てる。
→長くても自宅到着から出発までに10分以上時間がかかればその送迎は「時間のかかる送迎」です。
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