結論:利用者様の食事の様子の変化に気づいて食事形態の変更を検討しよう。
この記事の対象者は
・利用者様の食事摂取の状態が悪くて悩んでいるデイサービス職員
・利用者様のむせこみを解決したい介護士
・少しでも利用者様のQOLをあげたいと考えている介護士
です。
この記事を読むことで
利用者様の食事形態を変更するポイントに気付くことができます。
食事は、利用者様にとって少なくなってきた楽しみの一つです。
食事形態の変更の見極めは利用者様のQOLを向上させるの必須です。
まず初めに、この記事は
利用者様のQOL(人生の質)を向上させたいと思う介護士専用の記事です。
そうでない方はここで離脱してください。
最近、うちのデイサービスの利用者様で食事量が減ってきている方がいるのだけれど・・・
しかも、体重まで落ちてきて・・・・
それは大変ね。
人間食べられなくなってくると弱るのも早いわ。
なんとかしたいところね。
そうなのよ。
元々、食べるのが好きな方だけに、体重まで減ってきてるってとても心配だわ。
なんで、食事量が減ってきたんだろうね。
食事量が減ってきた理由については
・単純に食欲が減ってきた
・入れ歯(義歯)があっていない。
・固形のものでは食べにくくなっている。
などが挙げられるわ。
食事量が減ってきたときの対策の一つは
食事形態を変える
ことがあるわ。
もちろん、食事形態の変更だけでは食事量の改善ができるとは限らない。
でも、様子観察しながら再度、食事形態の変更をすべきか検討しながら利用者様の食生活を支援することはできるわ。
どっちにしても利用者様が食事をするときの「様子観察
」がないとダメってことね。
そうよ、様子観察は食事においても大切よ。
それはそうと、今日は他にもどういうときに食事形態の変更を検討すべきか一緒に理解を深めていこうね。
はい!!
お願いします。絢音先生!!
先生はやめレ。
恥ずかしいじゃないの。
「やめレ」って、おっさんくさっ!!
食事形態とは
食事形態の種類
まずは簡単に食事形態について簡単におさらいしましょう。
普通食・・・全く刻んでいない食事です。
刻み食・・・副食を刻んだ状態の食事です。咀嚼(噛む)力が弱くなった方に提供する食事形態です。
ミキサー食・・・ミキサーにかけてペースト状にした食事形態。咀嚼(噛むこと)や嚥下(飲み込むこと)状態が弱くなった方に提供する。それだけだと水分が多くなるのでトロミをつけたりします。
治療食・・・施設では管理栄養士さんが管理しています。心臓疾患や腎臓の疾患があると特定の成分を制限しないといけなかったりします。それを計算して食事メニューを考える特別食です。
最近はどこの施設でもこれぐらいの食事形態の種類があります。
基本的には、利用者様の食事に関する問題(食事量が減るなど)→食事形態の変更を検討→食事箋の変更→栄養士に提出→食事変更の実施
という流れで食事形態が変更されます。
利用者様の食事形態を変更するときは早めに検討して変更しましょう。
食事形態の変更することで、利用者様の食事量が増えることは私の職場でも良くありました。
ただし、利用者様の食事摂取量は変化しやすいので継続して様子観察をする必要はあります。
食事形態をミスると誤嚥や食事摂取量の更なる悪化に繋がる
誤嚥や食事摂取量の減少は避けたいところです。
様子観察しながらなので、むせこんだり結局食事量が少ない時もあります。
なので、食事形態を変更する際は、家族様からの同意ももらえるようにすると良いでしょう。
同意のもらい方としては、家族様に利用者様の最近の自宅での食事の様子を聞いてデイサービスでは食事形態の変更(例えば、ミキサー食にするなど)を提案しましょう。
家族様も利用者様の食事の問題にはとても関心があります。
誤嚥や食事摂取量の悪化が介護状態の悪化を意味していることを知っているからです。
食事形態に関して、すぐに明確な答えが得られるわけではないからこそ様子観察が必要になります。
食事形態の変更は、利用者様にとって一生のテーマと言って差し支えありません。食事形態を間違えることで誤嚥や食事摂取量のさらなる減少につながることもあるのです。
食事形態の変更で利用者様の食生活の改善を図る3つの場面
では、どういう時に食事形態を変更するのか見てみましょう。
食事量が減ってきている
食事量が減ってきている原因として
- ほぼ老衰状態。
- 義歯があっていない。
- 運動量が減っている。
- 間食が多い。
- むせ込みが多くなっている。
- 寝ている時間が多い。
- そもそもデイサービスの食事が利用者様の舌にあっていない。
- 食事が食べにくい。
もちろん、この原因の中には食事形態を変更することで改善されないものもあります。
ただ、義歯やむせこみ、食事が食べにくいという問題であれば食事形態の変更はとても有効です。
食事量が減っている時の食事形態の変更はあくまでも手段の一つです。食事量の改善に関しては他の手段も併せて検討しましょう。
むせこみの頻度が多くなっている。
嚥下状態(飲み込むこと)が低下するとむせ込みが多くなります。
まだむせこんで吐き出せるうちはいいのですが・・・・
むせ込むことさえ困難になることがあります。
そうなると、一般的に「誤嚥性肺炎」の原因にもなるとされています。
むせ込みが多くなってきたら、刻み食やミキサー食などの食事形態に変更するのを検討しましょう。
家族様に自宅で、利用者様がむせ込みを防ぐためにどのように工夫されているかも聞いて、それも参考にしましょう。
新人介護士には食事をするだけでむせこむ状態を想像しにくいですが、高齢になればなるほどむせ込みやすくなります。この場合も食事形態変更を検討の対象ですね。あとはトロミもつけて様子をみましょう。
食事を終えるのに時間がかかっている。
食事に時間がかかる理由は
- ほぼ老衰状態。
- 義歯があっていない。
- 運動量が減っている。
- 間食が多い。
- むせ込みが多くなっている。
- 寝ている時間が多い。
- そもそもデイサービスの食事が利用者様の舌にあっていない。
- 食事が食べにくい。
もちろん、この原因の中には食事形態を変更することで改善されないものもあります。
ただ、義歯やむせこみ、食事が食べにくいという問題であれば食事形態の変更はとても有効です。
食事量が減ってきてる時と理由がかぶってんじゃん。
そうです。
私が変なおじさんなんです・・・・
ではなくて、食事に時間がかかるから疲れて食事量が少なくなっているのです。
つまり、原因と結果の関係ですね。
なので、食事に時間がかかっている場合も食事形態の変更はあくまでも改善策の一つですが検討する手段でもあります。
食事にかかる時間と食事量の減少は、原因と結果の関係です。なので、その大元の原因も重なります。
食事形態の変更以外で利用者様の食事の問題を解決するポイント
利用者様の食事に関する問題は「食事形態の変更」以外にもあります。
食事チェック
食事チェックとは、利用者様の食事摂取量を記録して残すというものです。
そうすることで、利用者様の食事摂取量の変化を分析することが可能になります。
利用者様の食事状態の悪化にたいする対策をするためには利用者様の現状把握が前提です。
利用者様の支援に関する対策は全て
利用者様の現状が根拠
になります。
介護業界においては、入所施設はもちろん、小規模の通所施設でも利用者様全員の食事チェックを徹底しています。
(入所施設で食事チェックを全員していないのは絶望的です)
ただし、大規模のデイサービス(定員数40名以上)に関しては全利用者様の食事チェックをするのは現実的ではありません。
最低限
- 利用者様の食事量が減ってきている。
- 利用者様が食事を終えるのに時間がかかっている。(目安は1時間ですが職場で話し合って決めましょう)
- 家族様からの依頼がある。
- 利用者様が認知症で、デイサービスでの話をできない。
- 主治医からカリウム制限の指示があり治療食(特別食)で食事を提供しないといけない。
- 初回利用。
- 退院後、初めてのご利用。
の時は食事チェックをしましょう。
そして、食事チェックをしたら
- 家族様に報告する(連絡帳に記載する)
- ケース記録に記入する。
- 急激な食事量の変化があればケアマネに報告する。
をしましょう。
食事チェックは利用者様の「食事摂取量」の観点からアプローチをします。食事量の変化を分析することで利用者様の食事の支援をする対策が立てられます。
トロミをつけてみる
むせこみ=トロミをつける。
これは基本的な対策です。
しかし、トロミを嫌がられる利用者様もいます。
そんな利用者様に私がとった対策は
- コーヒーやジュースを凍らしてトロミを入れてシャーベット状にする。(介護が必要です。)
- むせ込まない程度の少ない量のトロミをつける。
- 保水ゼリーで水分を摂取していただく(これが一番現実的です)
保水ゼリーであれば、水分と同時に糖分もとっていただけます。ほとんどの介護施設では定時で保水ゼリーを摂取してもらっています。
食事介助をする
食事摂取に時間がかかるとそれだけ利用者様は
食事をする=苦痛
になります。
あるいは、手や腕が動きにくくなると疲れてきて食べることを諦める利用者様もいます。
基本的には自立支援で利用者様ご本人に食事を自分で召し上がっていただくのがベストです。
しかし、食事が苦痛になるようであれば食事介助をするべきです。
食事介助をする基準は施設や家族様によって違うのでその判断は難しいところです。
私個人的な意見としては
- 食事に1時間以上かかっている。
- 急激に食事量が減った(ほぼ全量召し上がっていたのに、今は全体に7割以下)
- 1ヶ月で1kg以上体重が減ってきている。
- 退院後、点滴から食事に変わって間もない。
- 明らかに食欲がない様子。
の時は食事介助をします。
ただし、食事介助をするかどうかの判断は施設の方針や家族様の意向変わるので事前に確認をしておきましょう。
私の場合はどちらかというと過剰介護気味な感覚です。
食事介助をするかどうかは自立支援の方針もあるので、施設の方針や家族様の意向を事前に確認をしておきましょう。
栄養補助食品の導入
食事介助をしても、あまり食事量が増えない時の対策として栄養補助食品を使うという手段があります。
最後にデイサービスや入所施設で使われている栄養補助食品をご紹介します。
この栄養補助食品はいろんなタイプの味があり高齢者にとって飲みやすくなっているのが特徴です。
ただし、「エンシュア」と呼ばれるものは医師の処方がないともらえないものなのでここでは紹介しません。
そういえば、おじいちゃんが飲んでいるからっておばあちゃんまで飲んでいたな。
それ、めっちゃ太るじゃない。
そうね。
ちゃんと食事の取れてる人は飲んではダメなものね。
少し飲んだからと言って、すぐにどうにかなるものでもないけどね。
まとめ
食事形態の変更を検討するポイント
・食事量が減ってきている(以前の7割以下)
・ムセコミの頻度が多くなっている。
・食事を終えるのに時間がかかっている。(1時間以上)
食生活は利用者様のQOL(人生の質)を左右するものです。適切な食事形態を検討しましょう。
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