
結論:実習生は将来、一緒に仕事をするかもしれない人です。囲い込みをしない手はありません。

この記事の対象者
実習生を指導することになった介護士
です。

この記事を読むことで
デイサービスに実習生が来たときに「ここで働きたい」と
思ってもらえる最低限の指導方法が身につきます。
実習生は将来の介護あるいは関連職種の担い手(実習生を受け入れる理由)

まずは、なぜ実習生を受け入れるのか。
施設側のメリットを理解しましょう。
今回は
人材確保という切り口で解説します。
人材の囲い込みをする。

介護施設はどこも慢性的な人材不足に苦しんでいます。
社会福祉法人のような大規模な事業所が求人をかけても問い合わせすらないということは珍しいことではなくなっています。
現在、介護保険サービスを提供している事業所で人材を確保する事ができずに廃業してしまう所も出てきているぐらいです。
つまり、介護業界で
人材を確保することは事業を続けるのに必須条件
そこで、最も効率的な人材確保の対象が「実習生」なのです。
確かに、実習生はあくまで「勉強」しにきてるのであって仕事をしにきているわけではありません。
なので即人材になるわけではありません。
しかし、実習生は
介護業界に興味があって実習に来ている
のは間違い無いです。
私自身、社会福祉士になるための実習を受けたときは福祉の業界に働く前提でした。
つまり、求人広告の媒体を見て問い合わせをする人よりはるかに「モチベーションが高い」状態で実習に来ているということです。
もし、実習生があなたの施設で働きたいと思わせた人数だけ人材を確保で来ます。
逆に、「こんな施設には絶対働きたくない」と思わせたら人材確保はできません。
なので、実習生は「将来の介護士」と思って指導に当たりましょう。

実習生を大切にするとは
「実習生をほったらかしにしない」
ということです。
実習生をほったらかしにすると、「私はいらない人なんだ」と認識されてしまいます。
ほったらかしにすることは、将来の介護の担い手を手放すことになります。
口コミの効果をねらう。

ここでの口コミは、実習生同士の口コミという視点で解説します。
実習生は他の実習生が集まると・・・・
実習先で体験したことを話したくて仕方がないのです。
もちろん、実習生は学校の先生から「施設で体験したことは他言しないように」と指導されています。
私も、社会福祉士の実習の前には学校の先生から口酸っぱく言われました。
しかし、そんなものは
何の抑止効果もありません。
つまり、あなたのデイサービスに来た実習生はあなたのデイサービスのことを評価して別の実習生に間違いなく話しています。
しかも悲しいことに、
施設の残念な情報が話されやすいです。
具体的には
- 実習先でほったらかしにされた。
- 職員によって言っていることが違って困った。
- 職員の態度が悪い。
- 職員がセクハラまがいなことをしてくる。
- 雰囲気が怖い。
- 挨拶をしたけど、返してくれなかった。
- 職員に質問したら嫌な顔をされた。
しかも、実習生のネガティブな感想というのは職員にとってはちょっとしたすれ違い、あるいは気付いてさえいない職員もいるのです。
実習生は介護に関する勉強をしてはいても現場に入るのは初めてです。
なので、「職員さんが親切に指導してくれるのだろうか?」、「自分でも介護の仕事ができるのだろうか?」と不安を持ちながら実習を受けています。
実習生のそんな気持ちに寄り添うように指導しましょう。

私も初めて介護の仕事をするときは仕事ができるかどうかとても不安でした。でも、指導してくれる先輩が「ここまでで困っていることはない?」と気にかけてもらったおかげで介護の仕事を続けることができました。
実習生を指導するときは、「自分が初めて介護の仕事をした時のこと」を思い出して指導しましょう。
実習生が施設のボランティアに来てくれたら脈あり

実習生に施設のボランティアに来てもらえるようにお願いしてみましょう。
一番とっておきのボランティアは「納涼大会」のようなイベントのボランティアです。
実習生も楽しんでボランティアに参加してもらえる上に、施設での仕事の楽しさを味わってもらえるからです。
また、実習生にとって施設のボランティアは「就職活動」と同じ意味を持ちます。
しかも、現場の雰囲気を感じることのできるこれ以上ない就職説明会です。
もし、お願いしてボランティアを受けてもらえるのであればその実習生は脈ありです。

ボランティアを受け入れる場合は、ボランティアを担当している部署あるいは上司に打診してみましょう。
実習生の学校の先生を通じてボランティアを依頼することで、費用を低く抑えて採用活動ができるまたとない機会です。
実習生にデイサービスの概要を知ってもらう。(オリエンテーションで説明する内容)


実習生に「ここの施設で働きたいな」と思ってもらえるためには、最初のオリエンテーションが重要です。
実習生向けにオリエンテーションをするのとしないのとでは実習生のモチベーションが違います。ここでは、オリエンテーションで何を話せばいいのか解説します。
デイサービスの1日の流れ

1日で実習生にデイサービスの仕事を理解してもらうのは不可能です。
でも、なんとなくでもデイサービスの仕事を理解してもらうことが大切です。
介護施設でも、入所施設か通所施設かで同じ介護サービスでも提供の仕方が異なりますし、利用者様とのコミュニケーションの取り方も変わります。
まずは、ざっくりとデイサービスの1日の流れを説明することで、デイサービス仕事のイメージをしてもらいましょう。
デイサービスの1日の流れの具体例。
8:30 朝礼。
その日の申し送りをします。しっかりと聞き漏らしのないようにメモを取ります。
8:40 送迎開始。
利用者様宅にお迎えに行きます。
9:30 利用者様、デイサービスに到着
到着された方から、うがい・手洗いをしていただきお好きなテーブルについていただきます。
テーブルのついた方から職員がお茶を提供します。
※水分摂取量を毎回測っている利用者様がいるのお茶の提供に関しては、職員の指示に従ってくださいね。
10:00 体操。入浴介助。
利用者様全員で体操をします。職員1名が指導員となって体操を進めてきます。
その間に、バイタル確認をできた方から入浴していただきます。
10:45〜11:20 トイレ誘導。
昼食前に利用者様にトイレの声かけをし排泄介助を行います。
11:25 昼食準備。昼の申し送り。
ここから順番に職員の休憩に入ります。休憩は1時間で休憩の5分前にお昼の申し送りをして、午前中までに利用者様の情報を職員に申し送ります。
休憩の後半組は昼食の準備をします。
※実習生は昼食の準備をしてもらいます。昼食の準備に関しても、「食事チェック」ということで、利用者様が昼食を召し上がった量を確認している対象の方がいるので配膳、下膳に関しても職員の指示に従ってください。
12:30 後半組の休憩。午後の入浴開始。トイレ誘導。
1日の中で最も忙しい時間の一つです。
昼食の後片付けと昼食後のトイレ誘導が終わり次第、順次のこりの利用者様に入浴していただきます。
13:30 後半組のお昼の申し送り。
前半組と同様に、午前中の申し送りをします。
13:35 午後のレクリエーションの開始。
●●デイサービスでは、午後のレクリエーションは選択式となっています。
- その日の日替わりレクリエーション
- 手芸
- 施設内喫茶店
- カラオケ
の中からお好きなレクリエーションを選ぶことができます。
15:00 午後のレクリエーション終了。おやつ。
おやつも飲み物に関しては選択制で、
- 牛乳
- コーヒー
- お茶
の中からお好きなものを選択していただけます。
15:20 帰宅前のトイレ誘導
おやつを済まされた利用者様からトイレの声かけを行います。
16:00 帰りの送迎開始。
17:20 帰りの送迎終了。
17:30 夕礼
夕礼後、振り返りをします。今日の目標をどの程度達成できたか。
質問や実習での感想を職員にお話ししてください。
デイサービスの規模数(1日あたりの定員数)
規模数(定員数)が違うとデイサービスの雰囲気も違います。
私の元職場は定員数が50名の大規模事業所だったので常に活気のある状態でした。
今の職場は定員数11名の小規模の事業所で利用者様と職員がマンツーマンで対応できる事業所です。
同じデイサービスでも規模が違うと雰囲気やサービスの提供の仕方が異なります。

この程度の規模のなので、こんな感じの雰囲気ですとなんとなく伝わればいいです。
経営理念

経営理念で大切なのは、経営理念をのものを読み上げるというよりは、あなたのデイサービスでは何を大切にしているのかを要約して実習生に伝えましょう。
そうすることで、実習生が実習を受ける「目的」が明らかになるからです。
なんとなく、実習するよりもデイサービスの目標知ることで、実習生自身の目標にも影響を与えます。
ちなみに、私の前の職場で大切にしているものは
利用者様の自己選択
を大切にしていました。
そのために、午後のレクリエーションは複数から利用者様が参加したいものに参加するスタイルをとっていました。
また、おやつも飲み物に関しては3種類から選べるという仕組みにしました。
施設が変われば一番大切にしているものも変わります。
「接遇を大切にしています。」という施設もあれば、
「昼食に力を入れています。」という施設もあります。
経営理念はとても抽象的な表現なので「わかりにくい」のです。
なので、1日の流れの一つの場面を例として取り上げて説明してください。
そうすることで、実習生は「このデイサービスはこれを大切にしているんだな。」と理解しやすくなります。

経営理念を日々の業務の中で意識しましょう。
この介助の仕方や利用者様の声かけの仕方は適切なのか?
日々、自問自答しないと、実習生に理解できる説明はできません。
平均介護度

これは、そのデイサービスの利用者様の層を実習生がイメージするのに役立ちます。
平均介護どと、どのような利用者様が多いのかも併せて実習生に伝えるとあなたのデイサービスの特性を理解してもらいやすくなります。
たとえば
「寝たきりの方が多い」
「体は動くが認知症の方が多い」
「ほとんど自立だが、怖い病気を持っている方が多い」
ここはあなたの見解でいいので、デイサービスの利用者様のイメージを伝えましょう。

平均介護度+利用者様のイメージを伝えることで、
「ここのデイサービスは寝たきりの方が多いから平均介護度が高いのか」とあなたのデイサービスのイメージが分かりやすくなります。
実習を受けるにあたっての注意事項

具体的な注意事項
- 利用者様の介助はしない。
- お茶の提供や昼食の配膳は必ず職員と一緒にする。
- 無断で持ち場を離れない(実習中にトイレに行く場合は職員に声をかけてから行く)
- 利用者様から依頼ごとがあれば職員に伝える。
- 利用者様に敬語を使う。
- 実習中に得た情報を他の場所で話さない。
- 何か疑問等が生じた場合は職員に質問する。(ただし、すぐに解決する必要のない質問については振り返りの時に質問の時間をとります。)
- 実習中、腕時計やアクセサリー類は外す(利用者様を傷つける可能性があります)
ここで、実習生に伝えて欲しいのは注意事項を守らないと利用者様を怪我させる可能性があるということです。
実習生は「どんな時に介護事故が起こるのか」まだ経験がありません。
自習中の注意事項を守ることは、利用者様だけでなく実習生自身も守ることにつながるのです。

実習中に介護事故があると実習生はその後、介護の仕事に就くことを諦めてしまうかもしれません。
利用者様や実習生自信を守るために注意事項があることを強調して伝えましょう。
実習生の気づきを増やすために振り返りをしましょう。


実習の目的は、実習生の「気づき」を増やすことです。
自己成長は「気づき」「言語化し」「改善」することで可能となります。
ここでは、実習生の気づきを促すポイントを説明します。
実習生にその日の目標を確認しましょう(ただの時間潰しは実習する意味がない)

朝のオリエンテーションの時に、実習生担当者が絶対にしなければいけないことが
その日の実習の目標を確認することです。
とは言っても、実習生なのでありきたりな目標が多いですがそれでいいです。
- デイサービスの役割を知る。
- 利用者様とのコミュニケーションを取る。
- 利用者様の支援のあり方を理解する。
こんなところでしょう。
そこで、実習担当であるあなたが一言アドバイスをしましょう。
たとえば
- 「今日は認知症の利用者様が多いので、職員がどのように関わっているか気にしてみましょう。」
- 「今日はレクリエーションで運動会をします。普段はあまりレクリエーションに参加されない方も笑顔で参加されるので、皆さんも盛り上げてみてください。その時に、盛り上げ方を自分なりでいいので盗んでください。」
- 「デイサービスで利用者様とお話しするのは初めてで、正直何を話せばと思うでしょう。今日は、比較的お話しするのが好きな利用者様とお話ししてもらって傾聴することの大切さを学びましょう」
私が実習生の担当をした時は、このように実習生にアドバイスをしていました。
実習生と実習生担当も信頼関係で成り立っています。
実習生にとって、安心して指導を受けられる存在になれるようには、朝のオリエンテーションが重要です。

朝のオリエンテーションは
・背筋を伸ばして
・笑顔で
・実習生が聞き取りやすい声で
お話ししましょう。
背筋が伸びていなかったり、笑顔でなければ実習生は朝から不安に感じてしまいます。
その日の最後で実習の振り返りをする。(目標が達成できたかどうかは絶対に確認する。

なぜ、実習の振り返りが必要なのかというと・・・
実習生に実習で得た気づきを言語化させるためです。
どんなに素晴らしい気づきを得たとしても・・・
どれだけ沢山気づきを得たとしても・・・
職員でも気づきにくいようなことに気付いても・・・
言語化しなければ気付いていないのと同じです。
しかし、気付いたことは記憶なので時間が経てば忘れてしまいます。
「鉄は熱いうちに打て」の言葉もあるように、
実習生のその日の出来事はその日のうちに言語化させてあげましょう。
その日の振り返りをしている中で、実習生が疑問が出てくることがあるので、最後に質問の時間をとって、実習生の質問に答えましょう。

言語化=考えることです。
1日の最後に実習生にその日の出来事を言語化させることで、気づきを学習にすることができます。
実習生のことを考えるなら、必ず1日の終わりに振り返りの時間を確保しましょう。
実習日誌にコメントを書こう。

実習日誌のコメントって多忙な業務の合間に書かなければいけないので、日によってはかけないことがありますよね。
でも、実習日誌のコメントは実習生にとってなくてはならないものです。
なぜなら、実習生をエンパワメント(励まし)になるからです。
ただ、実習日誌のコメントをかけない日があるのは仕方のないこと。
その旨を実習生に伝え次の日には必ずコメントを書きましょう。
私自信、実習生で「もう、実習を続けるのが嫌だ」と思っている時に担当者から「あなたが利用者様と話していると、利用者様はいつも笑顔になります。その調子で実習を続けてください。」とコメントをもらって「もう一回、実習を頑張ろう。」と思ったものでした。
ちなみに、コメントとして具体的に何を書かなければいけなかというと
- 実習生の実習で良かった点
- 改善するとより良くなる点(悪かった点とは言ってはいけません。)
- 実習生からの質問の回答
- 自習日誌の内容で実習生が誤解している点の修正。
- 利用者様とコミュニケーションを取る上で、補足事項。
などです。
あなたの実習担当者のコメント次第で将来、その実習生が「有能な介護士」になるか「介護士の道を諦めることになる」のかが決まると言っても過言ではありません。

コメント欄に実習生に「指摘」しないといけないことがあります。
そんな時は、否定語は使わずにその日の良いところを褒めてから「でも、ここはこうした方が利用者様とのコミュニケーションがもっとスムーズになりますよ。」とコメントしましょう。
「それを改善するとさらに介護士としての能力がアップする」というニュアンスでコメントすることで、否定語を使うよりも実習生のやる気を損なわずに育てることができます。
まとめ


実習生のオリエンテーションのポイント
・朝に実習生のその日の目標を確認する。
・目標に対して一言アドバイスをする。
・1日の最後に振り返りの時間を取る。
・実習日誌のコメントはなるべく早めに書いて実習生に返却する。
実習生の信頼を得られれば、長期的に有能な介護士を確保することにつながります。
多忙な業務に携わりながらになりますが、実習生の指導もできてこその介護職です。
有能な介護士を確保できるかどうかはあなたの指導の仕方次第です。
コメント