結論:広報誌の作成で最初にやらないといけないのが「読者の限定」です。そのために、「介護施設の広報誌」を作成する目的を明確にしましょう。そうすることで、読者に価値ある情報を提供できる広報誌を作ることができます。
この記事の対象者
・介護施設の広報誌作成に関わる人
・広報誌を作成するために「何から始めればいいか分からない」広報誌作成の関係者
・自分の作った広報誌がどんな使われ方をするのか興味のある広報誌の編集長
この記事を読むことで
・広報誌の対象読者がどんな人か想像しやすくなります。
・あなたの作った広報誌の読者が「この施設に一度問い合わせてみよう」と思える記事を作ることができます。
・読まれる広報誌を作るときの考え方を理解することができます。
介護施設の広報誌作りに関わっているあなたは
- 何から手をつけていいか分からない。
- どんな記事を作れば、「読まれる記事」になるのか?
- どうせなら稼働率アップや人材確保など自分の働く施設の運営につながる広報誌を作りたい。
そんな悩みを持っていませんか?
ここで問題になるのが
広報誌のコンセプトを決めているかどうかです。
広報誌のコンセプトとは、読者にどんなメッセージを伝えるかということです。
コンセプトが決まっていないとあなたの施設の特徴を伝えるだけで、読者はあなたの作った広報誌を読んだとしても「これは価値ある情報」と受け取ってもらえません。
そこで、5年間介護施設の編集長を経験した私が考える重要なポイントは
読者を限定することです。
広報誌で読者の悩みを解決しつつ、その悩みを解決する手段の一つとして
「自分の施設に関係してもらう」という手段の提案があります。
ただ、あなたの介護施設を知ってもらうためだけの広報誌作りでは読者には読んでもらえません。
広報誌作りには多くの時間と労力を必要とします。
苦労して作った広報誌が誰にも読まれずにホコリをかぶっている状態だと悲しくなってきますよね?
あなたが作ろうとしている広報誌は誰がどんな悩みを解決するために読むのか想像できていますか?読者の悩みを解決できない広報誌は「読む価値のない広報誌」と一緒です。読まれる価値ある広報誌を作るために広報誌の目的を理解しましょう。
なんのために介護施設の広報誌を作るのか?【介護施設の広報誌の3つの目的】
介護施設が広報誌を作成する目的は3つあります。広報誌を誰に配布するのかを定めるヒントになります。
介護施設を継続的に運営するためには、利用者獲得、地域の理解、人材の確保が必要です。
人を集めるためには「情報発信」して、まずは自施設を知ってもらわないといけません。
広報誌は人に興味を持ってもらうきっかけになります。
目的を明確にして今回の広報誌のコンセプトを決めよう。
- 利用者獲得
- 地域の理解
- 人材確保
広報誌の目的はいずれかです。
いずれの目的で広報誌を作るのか決めましょう。
そうすることで方向性を決めることができます。
その前に誰に対して情報発信をするのかを決めておくと、コンセプトを決めやすくなります。
【理由】コンセプトによってあなたの広報誌の読者が求める「価値ある情報」が変わるから。
コンセプトは広報誌の方向性を決めるいわば「ナビアプリ」です。
読者にどんなメッセージを伝えるかを決めるためのものです。
あなたの読者は状況に応じて広報誌に求める情報は違います。
- 対象者(利用者様になる可能性のある人)のデイサービス拒否が強い。家族の介護負担が大きい→利用者様の興味を持つレクリエーションをやっている施設。
- 親に介護サービスを利用させたいが、近くにどんな介護施設があるかわからない。→法人の関連施設がどこにあるかどこにあるか地図上に示されている。
- 介護士をやりたい求職者→新人介護士一人が半年働いての感想。
- 定年退職して時間を持て余している人が活躍できる場を探している。→ボランティアで活躍している人の紹介。
コンセプトを決めるためには記事ごとに対象の読者を絞って、読者が「価値ある」と思ってもらえる情報を提供する必要があります。
誰にでも読まれる記事は「誰にも読まれない記事」になります。誰にでも読まれる記事は広く浅い記事だからです。読者は価値ある情報に触れないと広報誌に書かれているメッセージを受け取れなくなります。
【具体例】一般的な新聞や雑誌とあなたの興味がある雑誌。どちらがワクワクしますか?
なんでも書かれている新聞とあなたが興味・関心のある趣味に特化した雑誌。
どちらの方を読みたいですか?
おそらく後者の方です。
私たちは、興味・関心のあることの情報に価値を感じます。
もちろん、一般的な新聞も価値のある情報があります。
でも一般的な新聞には、あなたの興味がない記事もたくさんあります。
【結論】読者を絞ってのコンセプトを決めよう。
コンセプトを決めるために読者を限定しましょう。
そして、限定した読者があなたの介護施設のどんな情報を求めているか想像しましょう。
介護施設の広報誌は読者の悩みを解決することで
- 地域の高齢者があなたの介護施設を利用する。
- 介護士になりたい就職活動をしている人があなたの施設を選ぶ。
- 地域住民にあなたの施設を理解してもらうことで協力を得る。
という結果を得られます。
悩みを解決する一つの手段として「あなたの施設に関係すること」を読者に提案することで介護施設の広報誌を作る目的を達成しやすくなります。
【目的①】営業で持参される介護施設の広報誌を作る。
デイサービスやショートステイの相談員が営業活動をするときに広報誌を持参されます。いわば「営業の参考資料」になっています。
ブログやSNSが発達している今でも、紙媒体である「広報誌」は高齢者によまれやすい「介護施設の情報」を見ることができる媒体です。
高齢者の中にもスマホやPCを使いこなせる人が増えてきていますが、まだ少数派です。
また、介護施設もコロナ後に一部でリモート会議が始まっているぐらいIT化が進んでいない業界です。
なので、デイサービスやショートステイの営業で「広報誌」を持参して相談員がケアマネに自分の施設を売り込むのがまだ一般的です。
相談員の説明しやすい広報誌作りを心がけましょう。
まずは伝えたいメッセージと紙面全体の見やすさを工夫することが営業で使われる広報誌の第一歩です。
介護施設周辺の地域の方に見てもらって「利用者様」にする。
4人に一人が高齢者の日本では、高齢者施設の倒産が年々増えています。
つまり、普通にしていただけでは介護施設は倒産してしまう時代になってきています。
特にデイサービスはコンビニの数より多く、やや供給過多な傾向がみられます。
しかも、介護保険の介護報酬は下げられている傾向にあります。
このため、新規利用者様を獲得しない事業所は経営が厳しい状況です。
a以外は、あなたの介護施設を知らないか、正確な情報を知らないために利用されていないかもしれません。
私の元職場のデイサービスでも最初は乗り気でなかった利用者様が
ここのデイサービスは車椅子の私でも楽にお風呂に入れるわ。しかも、カラオケは毎日やっている。もっと早くここに来ればよかったわ。
- デイサービスに行くには抵抗がある。
- デイサービスで何をできるか知らない。
- 近所の人や知り合いからの口コミの情報しかない。
つまり、あなたの施設のことをよく知らないためにあなたのデイサービスを利用していないだけの方もいます。
そんな地域の方にあなたの介護施設の情報を提供するのが
介護施設の広報誌です。
現在、介護保険サービスを利用したいと思っている潜在的な利用者様でスマホやPCでGoogle検索をして調べれる人はまだ少数派です。
地域の潜在的な利用者様にあなたが作る魅力的な広報誌を目に触れさせることで、本当に利用者にする機会を確保することができます。
あなたの介護施設の正しい情報を発信するのが広報誌を作る目的です。
ケアマネの事業所に持参して自分の介護施設の強みを説明する。
営業で持参される広報誌の特徴の一つが「施設の強み」が載っている広報誌です。
ただ、介護施設の特徴を書いただけでは強みにはなりません。
う〜ん、車椅子のまま入れるお風呂。確かに車椅子の人も楽に入れそうだけど本当に楽に入浴できるんだろうか?
あなたの施設を知らない読者は広報誌に書かれていることが本当なのかあまり実感できません。
そこで、各記事に必ず入れて欲しいのが
利用者様の感想です。
利用者様の感想の具体例
- 初めてチェアー浴で入られた利用者様は「家で入るより、ここで入らせてもらったほうが楽やし気持ちいいわ。また、お願いね。」と笑顔で話されていました。
- 理学療法士のリハビリを始めました。最初、利用者様Aさんは「私、リハビリ頑張れるかな」と不安な様子でした。3ヶ月たった今では、「毎日頑張ったおかげで、短い距離なら歩けるわ。家の者にも褒めてもらって毎日がワクワクだわ」と朗らかな顔で話されていました。
- 今日は、お餅つきを実施しました。利用者様のBさんは「昔よく餅をついた。今日はわしが餅つくよ」と目を輝かせながら餅つきに参加されていました。
利用者様が実際に言っていたことを「」で伝えると施設の強みが伝わりやすい記事になります。
広報誌の主役を利用者様におくと、施設の強みを伝えやすくなります。
ショッピングモールで実施する「介護相談会」で配布する。
社会福祉法人などの大きな法人であれば比較的実施しているところが多いのが「ショッピングモール」での「介護相談会」です。
足が弱っているため外出することが少なくなった高齢者が出かける数少ない機会です。
ここで、介護相談会をする事業所も少なくありません。
その場で、広報誌を配布することで、問い合わせにつながることがあります。
私の元職場でも、ショッピングモールでの「介護相談会」で広報誌を受け取った方が利用につながったことがあります。
【目的②】自分の施設の理念を地域に情報発信をする。【「私の施設はこんな施設です」とアピールする】→社会福祉法人としての役割です。
社会福祉法人の役割は
社会福祉事業を行う民間団体
社会福祉法人は、社会福祉事業を行うことを目的として社会福祉法にもとづいて設立されている法人です。公益性の高い、非営利法人であり、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ公正に行っています。
全国社会福祉法人経営者協議会より引用(https://www.keieikyo.com/about/whats.html)
つまり、社会貢献(世の中に役立つこと)です。
地域住民に自分の介護施設の考え方や活動を理解してもらう。
経営理念とは、社会福祉法人が目指す目標。
どんな目的であなたの介護施設が介護サービスを提供しているかを指し示すものです。
この理解がないと介護施設は経営を続けることはできません。
例えば、近くに「何をしているのか分からない会社」があったら警戒しますよね?
同じように、あなたの介護施設が何をしているのか知ってもらうことは大切です。
ただ、経営理念はただの文章なのでそれだけでは地域住民にあなたの介護施設が「何をしているのか?」を伝えることはできません。
なので、経営理念と介護施設が提供している具体的なサービスと結びつけて情報発信します。
私の元職場では
「エンターテイメントな施設を創造するために常にフロンティアであり続けます」という経営理念がありました。
抽象的な言葉すぎて良く分からないな。
それを具体化したものを広報誌の記事にします。
具体的には
- ボランティアによる楽器演奏や日本舞踊を楽しんでいる利用者様の様子。
- アニマルセラピーで緩んだ利用者様の顔。
- リハビリで理学療法士から褒められて笑顔になっている利用者様。
利用者様に楽しんでもらっている様子を情報発信することで、地域住民に経営理念を理解してもらうことができます。
他施設に自分の介護施設を紹介する。
一つの介護施設がどんな利用者様でも受け入れられるかというとそうではありません。
- 人員の数
- 施設の設備
- 提携している医療機関の有無
- 施設の規模
- サービスの提供時間
で、自分の施設では受け入れが難しい利用者様もいます。
例えば、利用者様で認知症の周辺症状で暴言・暴力のひどい方がいたとします。
このままだと他の利用者様を傷つけかねません。
大規模なデイサービスだと、その利用者様だけに時間をかけてケアすることはできません。
そこで、小規模なデイサービスへサービスの以降をケアマネに打診します。
その際に、小規模のデイサービスの情報があればその利用者様にあったサービスに繋げることが可能です。
このように、一つの施設でどんな利用者様でも受け入れられるとは限りません。
どこにその利用者様にあったサービスがあるのか。
他施設にあなたの施設を広報誌で伝えるメリットはここにあります。
他施設からも愛される介護施設にするために、広報誌で情報発信をしましょう。
【目的③】新しい介護士を獲得する。【広報誌で就職活動生にアピールする場面】
介護士として働きたい人にとって、「広報誌」はあなたの施設で働くかどうかを決める判断材料になります。
福祉職合同説明会で配布する。
各都道府県で毎年1回行われている福祉職に特化した就職説明会。
私が就職活動時にも利用しました。
最初の職場で働くことを決めたのも「広報誌」でした。
- 利用者様が笑顔で写っている写真が多い。
- 介護士がどんな仕事をしているのかイメージしやすい。
- 自分が介護士になった時のことを想像しやい。
- 他の介護施設の広報誌と見比べられるので面接試験を受けるかどうかを判断しやすい。
- 施設へのアクセスがわかるので施設見学しやすくなる。
就職活動性がいきなり介護施設へ見学するのはハードルが高いです。
でも、「福祉職合同説明会」で広報誌を事前に見てもらうとあなたの施設に興味を持ってもらえます。
介護施設の広報誌の中に「ある介護士の1日」という記事があると面白いですよね。ネタに困った時の参考にしてください。
ホームページで紹介する【いつでもプリントアウトできる】
広報誌も新しい介護士を獲得するための有効な手段です。
とは言っても、就職活動をしている介護士、特に20代の人にとってホームページを観れるかどうかも重要です。
広報誌であなたの施設の名前を覚えてもらって、ホームページで詳細を知ってもらう。
そのために、広報誌にはあなたの施設のホームページURLを必ず載せておきましょう。
乗せる場所は一番目立つ場所。
あなたの施設の広報誌名の下に記載しておくのがベストです。
広報誌を作るなら、同時にホームページの運営もしましょう。できれば、各事業所の利用者様の日々を発信しているブログも公開すると就職活動をしている人はあなたの施設に興味を持ってくれますよ。
施設見学の時に参考資料として使う。
就職活動している人があなたの施設に興味を持ちました。
そうすると、あなたの施設を見学したいと思うようになります。
なぜなら、施設の雰囲気を肌で感じることで
ここで、本当に働けのかしら?
という疑問を解決することができます。
そして、その時に役に立つのが「広報誌」です。
施設見学でも全ての場所を見てもらえるわけではありません。
たとえば
- 利用者様が入浴している途中の入浴場、脱衣場
- トイレ介助中のトイレ
- 重要な会議をしている際の会議室
- 施設内の厨房(衛生管理上、厨房職員以外は立ち入り禁止にしている施設が多いです。)
- 職員の更衣室
こう言った場所はタイミングによっては見学してもらうことができません。
その場合に、役立つのが広報誌です。
(ある介護施設の職場見学にて)
次に入浴場ですが・・・
今は、残念ながら利用者様が入浴されているので見ていただくことはできません。
代わりにこちらの広報誌で説明します。
施設の入浴設備はあちらになります。
お風呂が3つもあるんですね。
そうなんですよ。うちは特浴と一般浴に分かれています。さらに、特浴もチェアー浴とリフト浴に分かれています。
特浴とチェアー浴。それぞれどんな方が入浴されるんですか?
一般浴はほとんど職員の声かけと見守りだけで入浴できる人が利用されます。
それに対して、特浴は個別で介助しないといけなかったり車椅子移動で歩行してもらうのが困難な方が利用されます。
特浴の方も寝たきりか、座っている状態は安定いているかによってチェアー浴かリフト浴かを検討します。
リフト浴はこの台に利用者様に乗っていただいて入浴されるんですか?
おっしゃる通り、リフト浴は主に寝たきりなど座位つまりご自分では座っている姿勢を保てない方が入られます。
今回の見学で入浴設備を見れなかったのは残念だけど、この資料(広報誌)でどんな入浴場か分かって良かったわ。
広報誌は施設の強みを記載している媒体です。
なので、読者にとって見やすくて、知りたい情報のある広報誌があれば就職活動をしている人の施設見学の際に参考資料として使ってもらえるようになります。
あなたが読者にとって有益な情報の広報誌を作ることで、施設見学の時の担当者の説明がしやすくなります。つまり、仕事を助けている事になります。「読者がどんな情報を求めているのか?」想像しましょう。
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