バイステックの7原則とは、介護士が利用者様との信頼関係を築くための心構え。
はい、今日はバイステックの7原則について掘り下げるよ。
バイステックの7原則なに?
バイステックの7原則というのはもともと社会福祉士が心がけておくべき姿勢のことよ。
社会福祉士はクライエント(利用者)との信頼関係がきずかれてはじめて、クライエント(利用者様)が日常生活で困っていることを相談という形で手助けすることができるわ。
介護士も利用者様の日常生活の支援をするという点では社会福祉とやっていることは同じなの。
だから、介護士にとってもバイステックの原則の考え方利用者様との信頼関係を築くうえでとても重要な考え方だわ。
なるほど。そんな考え方があるのね。
バイステックの7原則ってどういうものがあるの?
も・く・じ・💖
- 個別化の原則
- 意図的な感情表出
- 統制された情緒関与
- 受容
1、個別化の原則
クライエントを個人としてとらえる
利用者様はそれぞれ体格やADLが違うように、考え方や何を大切にしているか(価値観)が違います。
長く介護士を務めていると、価値観の違いを認められなくなる人もいます。
たとえば、「(この人は)認知症だから・・・」と決めつけてしまうことが多くなってしまいます。
この考え方は利用者様を個人としてとらえているとはいえません。
認知症があったとしても、その利用者様が生活してこられた歴史そのものは変わりません。
つまり、認知症の利用者様でも「認知症」という枠組みで考えるのではなく、認知症のある●●さんというように個人として捉えていきましょう。
利用者様の状況の変化を見極める
利用者様の状況というのは日々変化し続けています。
ADLや身体的な特徴はもちろん、考え方や価値観も少しずつ変化しています。
たとえば、デイサービスを利用するまで外出するのが億劫だった利用者様がデイサービスを利用し始めてから、外出を楽しめるようになったということはよくあることです。
大切なのは、現在どのように変化しつつあるのかを見極めることです。
高齢者といえども人間は常に変化し続ける生き物です。
これまでの利用者様の生活歴(どのように生活されてきたのか)というのも参考にしつつ、これからどのように変化するのか注意深く観察していきましょう。
高齢者の生活歴から理解する。
高齢者にとって一番大切なのは「現在」ですが、高齢者の「過去」について理解することも「現在」を理解するのに必要です。
昔されていた仕事や家事、歴史的な大事件など、利用者様とコミュニケーションをとる時のキーワードとなるものも含まれているからです。
その人を「個別的に理解する」というのは、その人の使っている言葉に注意を向けることで、その方を点ではなく、線で理解することができます。
2、意図的な感情表出
クライエントの感情表現を大切にする。
利用者様の感情を大切にするとは、利用者様の感情を理解し共感することです。
利用者様の感情を大切にするためにはまず利用者様の話を傾聴しましょう。
感情表現はその人の価値観が現れる。
価値観というのは、その人が何を大切にしているのかということです。
たとえば、お金を大切にしている人であれば、財布がなくなることは恐怖ですし、友達同士の会話を楽しみに生きている方は友達が誰かに困らせられていたら、怒りを感じます。あるいは、仕事を最優先に生きている方は仕事以外のことを聞かれてもそれほど関心は高くないでしょう。
特に「怒り」や「悲しみ」という感情はその人にとって大切なものを傷つけられたり失ったりしている時に現れる感情です。
利用者様の感情の動きを理解することは実は個別化の原則にもつながることなのです。
価値観を認めることが共感
ここで注意しないと池なのが、共感と同情の違いです。
- 共感→相手(利用者様)との価値観の違いを理解し、認めること。
- 同情→相手(利用者様)の感情に同調すること。
共感は、プロの介護士として利用者様を理解するために必須のスキルです。共感がなければ、利用者様との信頼関係を築けないからです。
それに対して、同情はプライベートな関係であれば、必要になる時もありますが、介護士−利用者様という専門職–クライアントという関係においては致命的です。
なぜなら、同情は利用者様の感情に流されています=介護士自身の感情をコントロールできていないだからです。
共感をするためには、自分の価値観を理解する必要があります。
3、統制された情緒関与
援助者は自分の感情を自覚して調整する。
感情のコントロールは介護士にとって、利用者様に最高の介護サービスを提供するのに必須の能力です。
なぜなら、感情に流されやすい介護士は利用者様に「安心」を提供することができないからです。
たとえば、入浴拒否の強い利用者様に入浴の声掛けをするときに「なんで、入浴してくれないねん。」と心の中で思うとそれが感情となります。
そして、利用者様には入浴したいくない理由があります。
- 体調が悪い?
- 体に手術後の傷があるので見られたくない?
- 昨夜、寝不足で眠たい?
- 男性でないと、あるいは女性でないと話を聞く気にもなれない。
- あるくのがめんどくさい。
入浴してもらうためには、利用者様が入浴したくない感情を分析することが大切になってきます。
「なんで入浴しないんだ」という感情に介護士が流されてしまうと、分析することが制限されてしまいます。
なので、感情コントロールできているかどうか常に意識しましょう。
たとえ初心者の介護士であったとしても、利用者様やご家族様から見るとプロの介護士です。
介護士が自分の感情をコントロールできていない状態では、利用者様、ご家族様、他の職員はあなたのことを信頼することはできません。
たまに、利用者様の言っていることに感情的に反応される方がいらっしゃるのですが、プロの介護士としては失格です。
感情をコントロールできているかどうかについては
感情の→は自分?or利用者様?
という視点で分析すると分かりやすいです。
体調と心がともに万全でないと自分の感情をコントロールできない。
体調が悪い時は、自分の感情をコントロールすることがむずかしくなります。
心と体は表裏一体の密接な関係だからです。
風邪で38度の高熱の時に、つねに笑顔で入浴介助をするのはむずかしいです。
なので、感情コントロールをする基本は体調管理です。
アンガーマネジメントについて
人をお世話する仕事をしていると利用者様あるいは、他の職員に対して「怒り」の感情を抱くことがあります。
もし、「怒り」の感情を抱いたときは「6秒間」なにも考えないようにしましょう。
怒りの感情は長く持っても6秒だと言われています。
怒りの感情を一度やりすごすことで、冷静な判断ができるように感情をコントロールしましょう。
4、受容
クライエントのありのままを受け止める。
勝手に利用者様を判断しないということです。
介護士側が利用者様を勝手に判断してしまうと、利用者様が抱いている本当の感情が見えなくなるからです。
ここで、ポイントとなるのが「主訴はなんなのか?(なんと言っているのか」ということです。
利用者様が発する言葉は抱いている感情の裏返しです。
利用者様が発した言葉から、利用者様の感情を導き出すためには、利用者様の姿をいったんありのままを受け入れることが必要です。
利用者様の話を途中で止めない。
人間は自分のことを話した生き物です。
利用者様のはなしを途中で止めると、利用者様は「この人私のはなしをきいてくれない。」と介護士に対して不信感を抱きます。
不信感を抱くと、利用者様との信頼関係をきずくのがむずかしくなってきます。
介護者(あなた)と利用者様との価値観の違いを受け入れる
受容とは共感との裏返しです。
つまり、共感することが利用者様のありのままを受け入れることなのです。
しかし、利用者様と介護者は価値観が違うのでお互いに理解できない部分があります。
価値観が違うからと言って否定してしまうと、利用者様は二度とあなたを信頼することはありません。
自分の価値観を否定されて喜ぶ人はいないからです。
私のもと職場で、男性の利用者様で奥様に養ってもらっていた人がいました。いわゆる「ひも」というやつですね。
人の価値観はそれぞれ違うし、その生き方がいいか悪いかを判断するのはご本人です。
「そういう考え方があってもよい。」ということを受け入れる心を持ちましょう。
これは、介護士としてだけでなく、プレイべートでの人間関係でも生かせるコミュニケーション技術です。
次回に続く
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