結論:送迎の仕事の9割は確認作業です。送迎の流れをおさえてどの場面で何を確認しないといけないのか整理しましょう。
私、来週から送迎デビュー。
不安だわ・・・。
初めて自分の送迎で出る前って
- 迷わずに目的地までいけるのか?
- 車まで自分だけでも介助できるのか?
- 何が足りないのか不安・・・。
一つ間違えると大事故になりかねない送迎の仕事を始めて自分の力でやらないといけないと思うと不安で胸がいっぱいですよね?
そんな不安を解決する方法が一つだけあるよ!!
えっ、本当に!?
それは、徹底的に確認作業をすることです。
送迎で確認する3つのこと
- 出発直前に車の状態を確認する。
- 前日までに利用者様の基本情報(アセスメントシート)を確認する。
- 利用者様の送迎場所を把握する。
3つの確認作業の目的は「利用者様を安全にデイサービスまで車も使って移動する」です。
実は、事故なく安全に送迎できるかどうかは出発前までにほぼ決まります。
知らない道を行き当たりばったりで運転していると交通事故を起こすのは当然のこと。
目的地まで安全に送迎するための行動が「確認作業」だからです。
いつもと違う状況があっても冷静に判断できるかどうかは事前の確認にかかっています。
送迎に出る前に徹底的な確認が不安を軽減する対策になる。
送迎を怖いと思うのは事前の確認不足が原因。
初めての送迎で不安なら事前確認でカバーしましょう。
出発前に車の状態を確認する
出発前に車の状態(ブレーキランプがつくかどうか)確認は交通事故のない安全な送迎をするのに必須です。
それと、送迎出発前に必ず車の周辺に傷やへこみがないか確認しましょう。送迎で使う車は、職員複数人が使用しています。
もし、確認をしていなくて車の傷やへこみが見つかればあなたの責任を追及されかねません。
車の状態を確認するのも準備の一つ。
出発前に確認すべき送迎車の周囲
- 車の周囲に傷やへこみがないか。
- ブレーキランプが点灯するかどうか。
- ウインカーは出ているかどうか。
- タイヤの空気圧は適切か。
- タイヤがすり減っていないか。
- ガソリンの量(一定量を下回ったら申し送る)
- 車の下や周囲に猫や子供がいないかどうか。
送迎車両は利用者様をお迎えするための商売道具。
ないと営業することはできません。
出発前に商売道具の手入れは念入りに。
送迎車両の管理方法については以下の記事をご覧ください。
送迎車に傷があるのに確認や上司への報告をしないとあなたがどこかで「送迎車の接触事故を起こした」とみなされます。どんなに細かい傷も上司に報告しましょう。
利用者様の基本情報を確認する
利用者様のADL(お体の状態)や家族様の協力状態を知らなければ、安全に乗り込み、降車の介助ができません。
最近は独居は昼間独居、主介護者が高齢などで送迎時の協力が難しいケースも珍しくありません。
送迎前に確認する基本情報
- 利用者様の持参する荷物(入浴の準備物、昼食後薬、連絡帳、その他利用者様が常時必要とするもの)
- 自宅の戸締りが必要かどうか
- 利用者様のADL(身体状況)
- 送り出しのヘルパーが入っているかどうか(入っていたら、送迎時間に指定があります。)
- ご家族様の送り出しがあるかどうか。
- その他、注意事項(これは通常、特記事項で説明されています。)
場合によっては、入浴の下着類や朝食後薬の服用確認をしないといけない利用者様もいます。
基本情報を知らないままで送迎に出てしまうと、利用者様の命に関わる事態にも発展しかねません。
利用者様の送迎場所を確認する
送迎場所の住所が分からなければ送迎できません。
なんとなく「いけるだろう」と施設から送迎先へのルートがわからない状態だと迷子になります。
初めていく送迎先、久しぶりに送迎に行く場所は送迎ルートを調べておきましょう。
ここで注意しないといけないのが自宅と送迎先が異なる場合です。
自宅と送迎場所が違う場合
- 主介護者(メインで介護しているご家族)が2人以上いて、日替わりで帰る場所が変わる。
- サービス付高齢者向け住宅に住んでいおられる場合。
- 退院後、そのままデイサービスを利用される場合。(たまにあります)
- 自宅前の道路が自動車も入れないぐらい狭い場合
- 病院受診後、デイサービスを利用される場合(基本的には🆖です)
※5つ目の病院受診後に病院まで送迎するは、基本的には🆖です。なぜなら、送迎はタクシーではないからです。安易に、病院まで送迎する依頼を受けると「私も」と対応しきれなくなるので避けましょう。
ただし、利用者様にやむを得ない事情がある場合は、担当の上司(管理者)に相談をして許可をもらったらその上司の責任で送迎をしている場合があります。
旧村地域は急に番地が飛んだり不規則になっていたりします。Google検索で分からなければ、行ったことのある送迎職員に送迎先の場所を確認しましょう。
クレームにつながらないように自宅到着までにやっておくべきこと
利用者様の中には1時間前から車の到着を待っている方も少なくありません。
実際に、予定時間どおりに到着したのに「だいぶ待った。今日はもう迎えに来ないと思った」と言われる方も・・・
そこでクレームにつながらないようにやっておくべきことは2つあります。
- 到着予定時刻のお知らせ
- 到着予定時刻が遅れるかどうか都度予測を立てる(そして、フォローする)
どれぐらい待てばいいのか分からないものを待つのは非常に長く感じますが、ある程度目安となる時間が分かれば利用者様も待てるようになります。
出口の分からない迷路ほど辛いものはないですよね?
到着するまでに利用者様に今から出発することを連絡しておく(職場のルールに従う)
これは利用者様に到着時間をお知らせするということです。
どれぐらい待てばいいのか、目安となる時間があれば利用者様も「それまでは待ってみよう」という気持ちになります。
理想としては、前日と出発直前に到着予定時刻を連絡するのが理想です。
しかし、業務の都合上難し場合がほとんどです。
そこで・・・
- 基本的には前日に到着予定時刻を連絡する。
- 家族様の都合や利用者様が独居などで時間の感覚がない場合は、出発するまでに連絡する。
これで対応しておくと利用者様も何時に送迎の車が来るか把握しやすくなります。
ただし、送迎の到着時間の連絡に関して契約時に細かくルールが決められている場合があります。
また、職場での決め事もあります。
- 職場のルール(業務)の確認
- 利用者様個別で連絡のルールの確認(アセスメントシートなどで)
- 送迎出発までに連絡できてるかどうかの確認
この3つができて利用者様への連絡ができていると判断します。
送迎時の利用者様宅への連絡するタイミングは施設によってルールが違います。あなたの施設の送迎ルールがどうなっているか把握しておきましょう。
到着時刻を予想しておく。【遅れそうになったら自分でフォローできる】
自宅到着時刻を予想しておくことは大切です。
なぜなら、必ずしも送迎で使うルートが常にスムーズに車が動いているとは限らないからです。
たとえば
国道〇〇線の△△交差点付近がいつも16時ごろはスムーズ。山本さんのお宅までは10分ぐらいで到着できるかな。
国道〇〇号線に入って
今日は国道〇〇号線混んでるなー。このままだと、〜〜通りはこの時間から混み始めるから後14分はかかるなー。
脇道を使うのもいいけど・・・
あそこは事故多発地帯で使いたくないから・・・
脇道を使うのもいいけど・・・
あそこは事故多発地帯で使いたくないから・・・
家族様に連絡して、送迎の時間が遅れることを伝えておこう。
このように送迎までに実際の到着予定時刻より移動が遅くなるかどうかを予測しやすくなります。
予測していた利用者様宅到着時刻より遅くなるのであれば家族様に連絡します。
利用者様や家族様の不安や不満は軽減。
到着時刻が遅れる連絡をするメリット
- 「まだ、お迎えが来ない・・・」と利用者様の不安を軽減させる。
- 連絡することであなたが焦らずに運転できる。(交通事故の防止)
- 「丁寧に連絡してくれて」と家族様の信頼を保つことができる。
最初は出発から自宅到着までの時間予測をするのは難しいです。感覚的にわかるようになるまで、信号待ちや次の送迎先への出発前などのタイミングで現在の時間を確認することを習慣づけましょう。
時間通りにいかないこともあるからこそ、連絡は必要なんです。
自宅到着時の確認事項
自宅に到着したら、利用者様にそのまま乗車していただいたらいいといううものではありません。
乗車前に利用者様の状態確認と申し送り確認をしないと利用者様が安全にデイサービスをご利用することができません。
利用者様の健康状態を確認しておく。【乗車前検温は必須】
自宅到着後にまず確認しないといけないのが利用者様の健康状態です。
特にインフルエンザ、ノロウイルスが流行る季節は検温は鉄則です。
感染している状態での利用はクラスターを引き起こす原因になるからです。
高齢者の身体的特徴
- 基本的には何らかの疾患を持っている。
- 体の変化で怪我のしやすい状態。
- 一度インフルエンザやノロウイルスに感染、発症して1週間程度寝込むと足の筋力も落ちる。
一言で「衰えている」状態です。
私たちが「ちょっとしたこと」でも、利用者様にとっては「大きなこと」になります。
たった一度インフルエンザに感染しただけで寝たきりになることもあります。
送迎時の健康状態で具体的に確認すること
- 前回、利用された時とどこが違うか。
- 咳や倦怠感、ふらつきはないか。
- この利用者様の通常の体温は何度だったか。
以前、前の職場で送迎で私がお連れした利用者様が施設到着後、発熱されたことがありました。その利用者様はすぐにご家族が迎えに来られて、病院受診後帰宅されて「インフルエンザを発症していることがわかりました。」
今考えると、自宅到着時にいつもより顔が赤かったなと思い自宅到着時に検温していればデイサービスに来ていただかなったのにと後悔しています。
利用者様の体調がよくない時はデイサービスをお休みしていていただくのが原則です。
ご家族様、送り出しのヘルパーからの申し送りを確認しておく。
ご利用者様の中には、独居されていたり、家庭の事情で昼間は独居で送迎で自宅に到着した時に、ご家族様の送り出しがない方もおられます。
そして、そのために、送り出しのヘルパーが派遣されている場合があります。
家族様の代わりに「自宅での様子」を申し送ってくれます。
ヘルパーの中には全てを申し送ってくれるわけではない方もいます。
あなたからアプローチをかけないといけないこともあります。
ヘルパーに確認すべき申し送り。
- 朝食の摂取状況
- 家族様からの申し送り
- 朝食後薬が服用済みかどうか
- 利用者様の健康状態
- その他、いつもと変わりない様子かどうか
家族様の送り出しがない分ヘルパーが家族様の代わりです。
なお、送り出しのヘルパーがある場合「この時間に迎えに来てほしい」と到着時間が指定されます。
指定された時間より遅くなっても早くなってもいけません。
ヘルパーも時間まで決められた仕事をしないといけないからです。
交通渋滞などで遅れる場合、ヘルパーやケアマネに連絡しておきます。
独居の方には自宅の施錠確認も忘れずに。
利用者様本人だけ、あるいは日中ほぼ本人だけというご家庭も珍しくありません。
ご本人で施錠をできる場合がありますが、あなたも念の為施錠の確認をしておきましょう。
もし、施錠を忘れてしまって空き巣被害にあるとあなたの責任を取られる可能性があります。
施錠後の鍵の保管場所は個人ケースファイルで確認しておきましょう。
【慣れてきたら確認しよう】独居の方は施錠確認や荷物(特に服薬の持参)の確認【薬の管理が破茶滅茶になっているかも】
独居の方全員に送り出しのヘルパーが派遣されているとは限りません。
経済的な状況やご本人の意向あるいは介護保険の制約(※単位数の制限)で、独居でも送り出しのヘルパーがいない場合があります。
ご自分で、デイサービスの準備ができる方もいらっしゃいますが、送迎職員で準備をしないといけない場合があるので、これに関しては送迎出発前にしっかりと事前に確認をしておきましょう。
基本的には、利用者様の個人ケースに情報が入っていますが、利用してあまり時間が経っていなかったり、作成されたのが利用者様の情報が1年以上前に作ったきりで更新されていなくて、送迎の対応が大きく変わっている場合もあります。
プラスで最近送迎に行った職員にも送迎時の注意事項を確認しておきましょう。
単位数ってなんだろう??
介護保険の単位数の話
介護保険って全てサービスによって「単位数」というのがあります。介護保険は使えるサービスの量に上限があります。上限の単位数を超えて介護保険を利用してしまうと、利用者様は実費負担(介護保険を利用しない時の料金)になってしまいます。
例えば、1日1000円の自己負担の場合、介護保険が適用されなくなると10000円になってしまいます。ケアマネは単位数が超えないように介護保険サービスの調整をしています。
4、自宅出発から施設到着までの確認事項
無事、利用者様に乗車してもらったら次の送迎先の確認です。また、高齢者は急に体調が変化することがよくあります。送迎車中でも都度、声かけやルームミラーで利用者様の健康状態を確認しましょう。
次の送迎先の確認で迷子にならないようにする。
多くの場合、1人だけの利用者様を迎えに行って送迎が終わりということはありません。
デイサービスの送迎では、1回の送迎で少なくとも2から3人お迎えに行きます。
次の送迎も同様に、
- 送迎場所の確認
- 到着時刻の予測
- 自宅到着後に利用者様の特記事項の再確認
一つの送迎先に到着したら次の送迎も考えなければいけません。
次の送迎先出発前にこれら3つのことを頭に入れておいてください。
送迎中、都度利用者様の状態確認を行う
利用者様に車に乗車してもらったからっと言って安全というわけではありません。
送迎車中で状態が急変したり、危険な動きをすることがあります。
乗り物酔いで調子悪くなるよりかはまだいいのですが・・・
座っていると体が傾く方なんかは頭を打たないかどうかみておく必要があります。
これもデイサービスの送迎でよくみられる光景です。
実はあなたが思っている以上に高齢者って「せっかち」なんです。
完全に車が停車していないのにシートベルトを外すのは危険な行為です。
【信号待ちなどのタイミングで声をかけてみよう!!】
・・・・・・・・・
琴音さん、大丈夫ですか。
ん!?
寝てただけだから大丈夫よ。
5、よくあるトラブル
送迎時、予想外のトラブルに遭遇することがあります。可能性のあるトラブルを事前に予測しておくことで万が一の時に対応しやすくなります。
よくあるトラブル一覧
デイサービスの送迎では、トラブルはつきものです。
これは、入所施設の入居者様とは違って、24時間常に施設のサービスを利用されているわけではないからです。
私がよく経験したデイサービスのトラブルワースト5をご紹介します。
送迎中にトラブルが発生した時の解決の流れ。【基本は報告・連絡・相談】
ここで大切なのは、報告・連絡・相談です。
特に、新人介護士にとって、送迎に出るだけでも不安を持ちながら送迎に行くので、このようなトラブルがあるとどうすれば良いか分からなくなります。
まずは、落ち着いて①状況を整理し、②利用者様の安全を確保し③上司に相談しましょう。
なぜなら、デイサービスは一人だけでサービスを提供しているわけではないからです。つまり、介護サービスというのは「チームプレイ」なのです。
プロ野球の正解でも特定の名プレーヤーがいれば勝てるわけではなく、プレーヤ全員の連携プレーが勝負の鍵となります。
介護士も、介護士全員の連携プレーが介護サービスの質に関わってきます。
特に、このようなトラブルがある時は、職員間の連携プレーがなければ利用者様に適切な支援をすることはできません。
介護職同士の連携プレーはまさに「報告、連絡、相談」なのです。
ちなみに、送迎中の事故については利用者様の安全確保までしたら、先に110番通報してください。そのあとで、上司に連絡します。
なるほど、利用者様って元気そうに見えても急に体調が変わることがあるのね。
だから、事前の準備が大事なのね。それと、もし何かあれば上司に報告・連絡・相談が必要になるのね。
あと、利用者様の都度の状況確認も忘れてはいけないね✌️
その通りよ、琴音!!
私たち、介護士は常に利用者様の命を預かっているの。
だから、何があっても常に冷静に迅速に的確に動かなければならないの。
そして、一人で介護の仕事をすることはできないから、報告・連絡・相談が必要なのよ。
さすがは、私の自慢の妹だわ(^O^)
ありがとう、おねえちゃん💖
これで、明日の送迎は行けそうだわ!!
そう、それはよかったわ👌
そろそろ、琴音がお風呂入りたくなる時間だから、お風呂沸かしておいたわよ。
明日に備えてそろそろ入ってきたら?
ありがとう、お姉ちゃん。
じゃあ、先にお風呂入るね🌟
ふっふっふ・・・
琴音の基本情報はバッチリ私の頭の中よ。
どれだけ、成長したかこっそり確認させてもらうわよwww
コメント