結論:荷物トラブルは信用を落とします。利用者様の持ち物には名前を書いておく
デイサービスの入浴介助のトラブルの一つ、荷物トラブル。
- 紛失する
- 返却忘れ
- 他の利用者様のものと入れ違う
あなたも一度は経験ありませんか?
先輩や上司から注意されるだけで済めばいいのですが・・・
場合によっては
例えば、あなたが利用者様の立場で他の利用者様のパンツをはかされたら?
「気持ち悪く感じませんか?」
利用者様や家族様にとって「荷物トラブル」は指摘すべき問題なのです。
荷物トラブルを指摘されて初めて
- なんであの時、バスタオルをすぐにカバンの中に戻さなかったんだろう。
- 名前さえ確認していれば・・・。
- 次同じことをしないための対策が思いつかない。
そんな風に苦しんでいませんか?
結論から言うと、それは利用者様や家族様の気持ちの不理解が根本的な原因です。
荷物は利用者様や家族様にとって「利用者様ご本人の分身」も同然。
荷物がなくなったり、入れ違ったりすることは利用者様ご本人をぞんざいに扱われていると思われても仕方ありません。
荷物トラブルの原因は事前に潰しておくのがベストです。
荷物トラブルは忘れた頃にやってきています。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではまた同じ失敗を繰り返すことに・・・
【油断していると大クレームに】入浴荷物の管理
特養とデイサービスの入浴介助で一番違うところ。
それが、利用者様が自宅から着替えを含めた「荷物」を持参されることです。
【入浴の荷物に関するデイサービス、特養の違い】
デイサービスの場合、洗濯物を管理するのは利用者様本人か家族様(訪問のヘルパーのところもあります)。
脱衣場、浴室での荷物の間違いはそのまま利用者様や家族様への不信感になります。
荷物は利用者様や家族様の分身のようなもの。
間違えないで、しかも洗濯物を分けてカバンに戻せないことは介助ミスで利用者様にケガさせるのと同じぐらいショックです。
「利用者様の荷物管理」を適当にやっていると信頼関係を失いかねません。
荷物のトラブルはクレームの元になる。
複数の利用者様が同時に入浴されます。
脱衣場には数人分の着替えや洗濯物があることになります。
つまり
- 着替えがなくなる
- 他の利用者様のものと入れ違う
可能性があります。
せっかく、利用者様が気持ちよく入浴された後なのにパンツがないと・・・ノーパンに・・・。
入浴前のパンツをはいていただくこともできますが、体をきれいにしたのに入浴前のパンツをはくのはもったいないですね。
場合によっては・・・
家族様の全てが温厚で介護の仕事に理解のある方ばかりではありません。
中には、デイサービスの介護士が何か失敗しないか虎視眈々と狙っている家族様もいらっしゃるぐらいです。
荷物のトラブルは格好の餌食というわけです。
温厚な家族様といえども、何度も荷物のトラブルが立て続けに起こると不信感をもたれます。
次は具体的に、どんなトラブルがよくあるか確認してみましょう。
よくある利用者様の荷物トラブル
あなたの施設でも一度は聞いたことのある申し送りではないでしょうか?
もちろん、スタッフは荷物トラブルが起きないように細心の注意を払っていたでしょう。
それでも油断していると起きてしまうのが荷物のトラブルなのです。
入浴前に荷物を確認する4つのポイント
荷物のトラブルを防ぐには入浴前の確認が重要です。
入浴前に利用者様がどんな荷物を持ってきているのか把握できていないと、対策ができないからです。
どんな利用者様でもどんな状況でも使える荷物を確認するポイントを4つに絞ってまとめてみました。
- 利用者様の荷物は名札を確認する。
- 入浴後に着る物、塗り薬はカゴの中へ。
- 脱いだ下着類や使用済みのタオルなど洗濯物はビニール袋へ。
- どの利用者様のかごか分かるようにしておく。
入浴用のカゴに入れるのは、利用者様がお風呂から上がってから手にするできるようにする順番です。
具体的には上から順番に
- 塗り薬
- 肌着、下着類
- 上服、ズボン、靴下
- 時計、マスク、アクセサリー
洗濯するものはビニール袋に入れてカバンへ。
使用済みのタオル、バスタオルも使用後速やかにカバンの中へ入れましょう。
【入浴前に荷物を確認して準備する段取り】
特に最初の名前確認は間違いをしないために不可欠です。
カバンの名札を確認したら、中には何が入っているのか確認しておきましょう。
それから、荷物をそれぞれ種類別に手分けしてカゴに入れてください。
腕時計や補聴器などの小物類はなくなりやすいので、着替え用のカゴとは別に小物用のカゴを使用すると管理するのに便利です。
小物入れに腕時計や、補聴器を入れたら小物入れも着替え用のカゴに入れておきます。
【どんなものを持ってきているんだろう?】入浴の荷物をカテゴリー別に手分け❤︎
なぜ、荷物のトラブルが起きるのか?
それは、利用者様によって持参するものが違うからです。
全ての人がパンツだけとかタオルだけの持参だったら荷物のトラブルは起きにくいです。
しかし、それはあり得ない話。
ただ、1人の利用者様に焦点を当てた時に持参するものは変化が起きにくいので、利用者様個別で持参物を覚えてもトラブルが起きにくくなります。
基本的には、利用者様それぞれがどんな荷物を持参されるのか把握するのが最大の対策になります。
利用者様の荷物はどんなものを持ってきている?
- リハビリパンツだけ
- タオル類だけ
- 下着、上服、ズボン、リハビリパンツの着替え一式
基本的に、介護度が上がれば上がるほど着替えをするのも一苦労。
特に寝たきりの方の上着を着せるのは家族様にとって負担は大きいです
入浴時に着替えをしておくと、その負担は少なくなります。
介護度が低くて自宅でも問題なく着替えができる方はタオルや下着類だけ持参される方もいます。
だから、利用者様によって持参される荷物が違うのです。
荷物で忘れやすいのが腕時計や補聴器などの身につけている小物です。
つけたままで入浴すると壊れます。
カテゴリー別で利用者様が持参される荷物を分けましたので参考にしてください。
着替えといってもほとんどの場合、カテゴリー分けしたいずれかを持参されます。
【荷物カテゴリー①】着替え類
デイサービスの入浴の時に着替えをすると、自宅では着替えをしなくていいのでほぼ100%の確率で持参されます。
ただその内容は
- リハビリパンツだけ
- 下着、肌着、靴下
- 全ての着替え
利用者様や家族様のニーズで持参されるものが変わります。
着替えは持参されているけど、排泄の失敗した時の予備として持参されている場合もあるので注意が必要です。
失禁など、排泄の失敗が多い利用者様はズボンや服、リハビリパンツの予備を持参されます。
【荷物カテゴリー②】タオル類(フェイスタオル、バスタオル)
タオル類を持参されるかどうか、事業所によってルールが異なります。
私の今の職場の場合、バスタオルも洗身用のタオルも施設のものを使用しています。
特別に「自分のバスタオルやタオルを使いたい」という方以外はタオルは持参されません。
前の職場に至っては、一応施設のバスタオルや洗身用のタオルはありますがほとんどの方が持参されています。
ご自分のタオル、バスタオルを持参されていて施設のバスタオルもある事業所の場合は
- 他の利用者様との入れ違い
- 施設のバスタオルがカバンに混入
- 利用者様のタオル、バスタオルの返却忘れ
が起きやすくなります。
スピーディーに介助をしつつ、スキマ時間で荷物の確認もしなくてはいけません。
【荷物カテゴリー③】処置剤
高齢になると、さまざまな皮膚トラブルが出てきます。
- 白癬(水虫)
- 発赤、発疹
- 褥瘡(床ずれ)
- 皮めくれ
- 真菌
入浴前に褥瘡部分が濡れないように保護したり、入浴後に肌トラブルの部分に塗り薬を服用したりします。
処置剤は入浴後にまず最初に使います。
バスタオルの次に取り出せるように、カゴの上の方に置いておきましょう。
【荷物カテゴリー④】石鹸類
基本的には、事業所のボディーソープやシャンプーを使用します。
- 利用者様の好みで
- アレルギー体質だから
- 主治医から指定されている
ために自宅から石鹸やシャンプーを持参される利用者様もいます。
中には、足の角質を落とすために軽石を持参される場合もあります。
これもタオルと同様にご本人の体の近くに置いておく。
使用後は速やかにカバンへ直しておきましょう。
【荷物カテゴリー⑤】小物類
身につけるものもカバンには入れていませんが、荷物に入ります。
小物は他の荷物に比べて紛失しやすいです。
着替え類などと同じカゴに入れておくとどこにいったのか分からなくなります。
小物入れを用意してその中に入れて、着替えのカゴと一緒にしておくと紛失しにくくなります。
話は脱線しますが、補聴器をつけたまま洗髪ということもあります。
利用者様の脱衣介助した後、耳に補聴器が残っていないか確認もしておきましょう。
補聴器をつけたまま洗髪すると、よくてヒヤリハットものです。
【原因を先に潰しておく】よくある入浴の持ち物のトラブルと簡単に解決する5つのポイント
入浴用の荷物のトラブルは大別すると3つあります。
荷物トラブルはあなたやあなたが働いている事業所の信用問題にもなります。
荷物を管理できていない=利用者様のケアもしているのか怪しい。
と思われるきっかけになります。
荷物トラブルになりそうな原因は先に潰しておくのが吉です。
荷物のトラブルを防ぐ5つのポイント
- 移動する
- 荷物が多い
- 利用者様の者に名前や名札がない
- 酸素ボンベ(湯船に使っている時に使用している場合)
- 荷物をご本人の体から離れている
荷物を紛失したり、他の利用者様と入れ違いが起きやすい状況を把握するだけで荷物トラブルを少なくすることができます。
【ポイント①】タオルなど浴室で使うものはご本人の近くにおく→使い終わったらすぐにカバンへ戻す
原則的にタオルを利用者様のお体の近くに置いておくのが紛失を防ぐ最善の策です。
そして、タオルは浴室で使用します。
洗身、洗髪後はシャワー浴でない限り湯船に浸かります。
湯船にタオルをつけないのがマナーです。
つまり、湯船に浸かるときに利用者様の体とタオルは離れてしまうことになります。
このタイミングがタオルを紛失したり、他の利用者様と入れ違いにしてしまうタイミングになります。
洗身、洗髪が終わって利用者様が湯船に浸かったのを確認したら使用済みのタオルはカバンに戻しておきましょう。
【ポイント②】荷物が多かったり、トラブルが続いてる利用者様の持ち物にはチェックリストを使って管理する。
利用者様の荷物が多いと、荷物トラブルが起きる確率も増えます。
介護士が荷物の内容を把握しきれなくなるからです。
この場合はチェックリストを作って使用する手段が有効です。
【チェックリストを使うメリット・デメリット】
一言でチェックリストはかなりめんどくさい工程です。
でも、荷物トラブルを防ぐ手段としては有効です。
チェックリストを使用した確認をする方がいい場合
- 定員数13名以下の小規模事業所。
- 荷物トラブルが続いていて、利用者様・家族様からの不信感がマックス。
- 何かあればすぐにクレームがきそうな家族様。
ただし、チェックリストを作ってもチェックがずさんだと荷物トラブルを防ぐことはできません。
漏れなく、荷物の中を確認してチェックリストに挙げておきましょう。
【ポイント③】名前がないものには名前を書く【カバンに名札をつける】
利用者様の荷物に名前がないのは、荷物トラブルが起きる元です。
その荷物が誰のものか分からないのに、荷物トラブルを起こさない方が難しいです。
どんな時に名前がないの?
- 家族様が忙しすぎて名前をかけない。
- 家族様が高齢で名前を書いてもらうことを期待できない。
- 初回利用。
- おろしたての服やタオル。
- カバンを買い替えたばかり
で、名前がない場合もあります。
名前がない荷物があればすぐに名前を書いておきましょう。
できれば脱衣室に油性ペンを置いておくと便利です。
【ポイント④】荷物をカバンに戻すときに、カバンの名札と荷物の名前を照らし合わせる。
いくらカバンや荷物に名前を書いていても、名前を照らし合わせなければトラブルを防ぐことはできません。
例えば、タオルの名前を見ずにカバンの名札だけをみてタオルをカバンに戻すと実はタオルの名前は違う人の名前だったということになる可能性があります。
そういった荷物の入れ間違いを防ぐには、必ず荷物の名前とカバンの名札を照らし合わせてからカバンに戻すようにしてください。
【ポイント⑤】携帯酸素ボンベ(在宅酸素の方)など大きくて忘れると命に関わるものはカバンの横に置いておく。
在宅酸素は一般化されています。
街を出歩いていると、チューブを鼻につけて携帯酸素を持ち歩く高齢者の姿は珍しくなくなっています。
デイサービスの利用者様でも在宅酸素を利用されている方がいます。
常に酸素を使わなくてもよくて、湯船に浸かるときだけ使用される方もいらっしゃいます。
そうなると、湯船に浸かっているとき以外に利用者様の体の側から離れることになります。
つまり、返却忘れが起きてしまいやすくなります。
ただ、携帯式とはいえ酸素ボンベって大きくて重たいのです。
でも返却忘れをすると利用者様の命にも関わる。
そんな時は、利用者様のカバンの横に酸素ボンベを置いておきましょう。
【荷物のトラブルは信用問題!!】もの別で利用者様の気持ちを再構成。
入浴用の荷物を持ってきて
これらは利用者様や家族様に「不快だ」と感じさせます。
どれだけ「いいよ、誰にでも間違いはある」と言ってもらったとしても・・・
「気持ち悪いなー」と思っています。
具体的に、どんなものを紛失したり、返却を忘れたり、他の利用者様と入れ違えるとどんな不快な気持ちになるか想像してみましょう。
家族様や利用者様にとって荷物とは「利用者様の分身」と行ってもいいものです。
利用者様を介助する時と同じように大切に扱わなければいけません。
間違えると利用者様が「気持ち悪く」感じるもの→直接肌に触れるもの
例えば、あなたはどこの誰が着てたのか分からないパンツや肌着をなんの躊躇もなく着ることができますか?
私は気持ち悪くて嫌です。
利用者様も同じで介護士のミスで誰のか分からない人のパンツや肌着を着るのは気持ち悪いのです。
間違えると利用者様の命に関わるもの→医薬品など
- 酸素ボンベ
- ガーゼ
- 塗り薬
- 貼り薬
- 血糖値測定器
- 紙テープ
高齢になると、塗り薬や貼り薬を服用しないといけなくなります。
お薬は人によっては毒にもなります。
塗り薬といえども、返却を忘れたり、違う人に返却してしまったりすると利用者様の命に関わる場合もあります。
返却できないと利用者様が困るもの→自宅でも使うもの
- シャンプー
- リンス
- 石鹸
- 化粧品
- くし
- 軽石
自宅でも使うものを持ってくる場合、かなりこだわりの強い方です。
普段使うものでも決まったものでないと納得されません。
いつも使っているくしが帰ってからないと、それだけで不穏になってしまいます。
【利用者様、家族様の信用ガタ落ち】立て続けに返却ミスをしたら・・・
利用者様や家族様がどれだけ「人間間違えることもあるからいいよ」と言ってもらえたとしてもそれが、立て続けに起きてしまうと信用はガタ落ちです。
仏の顔も三度まで。
どんなに温厚な方でも、ミスをし続けるといつかは不信感が溜まって不満になります。
そして、不満が爆発してクレームになります。
やってしまったらやり直せない。まずは全力で謝罪!!
- 前回も同じミスをしてしまった。
- なぜ、また○○さんのタオルがなくなるの〜!?
- 絶対怒られるだろうな・・・。
謝罪するのって、考えるだけで疲れてしまいます。
でも、そのままにしておくとさらに状況が悪くなるだけです。
利用者様、家族様が激怒されている場合
- 上司に報告、相談。
- 菓子折りの準備。
- 先方に連絡して、自宅まで謝罪に行くアポを取る。
- 上司も同行で自宅まで行って謝罪。
- 今後の具体的な防止策を説明。
まずは全力で謝罪をします。
同じ利用者様に対して立て続けに荷物ミスをした時の対策【チェックリストの活用法】
デイサービスあるあるの一つが「立て続けに同じ利用者様の荷物を紛失する」など迷惑をかけてしまうことです。
前回もタオルを紛失したのに今回もタオルを紛失してしまう。
次絶対に起こさないための対策が必要です。
その対策の一つが「チェックリストを活用すること」です。
書式はどんなものでもいいのですが、
- 名前
- 実施日
- カバンに入っている中身全て
を記載する欄を作ります。
まずはチェックリストに対象の方の名前とチェックする日付を記入します。
そして、入浴前にカバンの中に入っているものを全てチェックリストにものの名前を記入します。
記入したものは入浴カゴに移してください。
入浴後、利用者様の介助が完全に終わった後でチェックリストに記載したものと実際にカバンの中に入っているものと一致しているか確認します。
カバンに入っているものを一つ一つ出して、あったものは入浴前に作ったものの名前の横にレ点をつけます。
最後にものの数を数えて数まであっていればチェック完了です。
これに関しては、私の個人的な意見になりますが持ち物チェックリストは最後に個人ケースファイルに挟んでおいた方がいいです。
なぜなら、立て続けて荷物トラブルをしていると利用者様、家族様の事業所やあなたに対する信用が失われているからです。
極端な言い方になると、家族様が自宅でタオルを紛失しているのにあなたや事業所のミスでなくしたと思い込んでる場合があるからです。
チェックリストを保存していると、そんな場合でも確かに荷物を返却している、あるいはそもそも持参されていないことがわかります。
保存期間は目安として1ヶ月程度です。
一度信用を失うと、簡単には信用を取り戻せません。
まとめ
入浴介助は利用者様の命に直結しています。
少しのミスが利用者様が大怪我をしたり、命を落としてしまったりします。
利用者様の荷物管理も同じように、利用者様の分身です。
もちろん、タオルを返却忘れたり下着を他の利用者様と入れ違いしてしまったとしてもそれで直接命に関わることにはなりません。
でも、利用者様や家族様は無意識のうちに「利用者様の分身」と思っているので扱いが雑だと利用者様自身の扱い方も雑くなると思われます。
荷物トラブルが続くと「本当にここのデイサービス大丈夫?」と不信感、さらに不満が溜まります。
そうならないように「荷物のトラブルを防ぐポイント」を明日から実施してください。
その他、入浴介助に関するノウハウを一つの記事にまとめてみました。
新人介護士さんや最近入浴介助を始めた介護士さんはぜひ参考にしてください。
コメント