結論:利用者様の「見守り」が入浴事故を防ぐ鍵です。
デイサービスで大きな仕事の一つが入浴介助です。
でも、新人介護士さんが入浴介助する時に
- 介助ミスしたらどうしよう?
- もし、入浴中に事故が起きてしまったらどうすればいいの?
- 事故が起きたら落ち着いて行動できるだろうか?
という不安を持っていませんか?
その不安を持ったまま介助をすると一瞬のスキになります。
よくある事故のタイミング
- 目を離したすきに
- ものを取りに行こうとして
- 別の利用者様を介助している間に
一瞬の隙が、ちょっとした油断が・・・・
利用者様や家族様は「デイサービスで入浴すれば気持ちよくて、しかも安全だ」と思っているのに・・・
そのデイサービスで入浴事故が起きてケガをさせたり、死亡させたりしたら・・・
お詫びしても仕切れないです。
どれだけ対策を立てて実行しても入浴事故を0にすることはできません。
でも、よくある事故を理解することで、事故が起きる確率を限りなく0に繋げることはできます。
それだけでなく、万が一入浴事故が起きてもケガを最小限にして利用者様の命を助けることもできます。
初任者研修や介護福祉士のテキストも入浴事故のことは乗っていますが、とにかくわかりにくい!!
この記事では、事故の状況をイメージしやすくするために図解を多く使って解説しています。
温故知新。
過去の入浴事故を研究するのが、事故を防ぐ近道になります。
【介護士なら知らないとヤバい】デイサービスで多発する入浴事故ワースト5
入浴中は利用者様が怪我しやすい状況です。
なぜ、入浴中は利用者様が怪我しやすいの?
- 服を着ていなくて守るものが何もない。
- 床が濡れていて滑りやすい。(転倒しやすい)
- 少しの刺激や衝撃で皮がめくれたり、骨折したりする。
- 血圧が変動しやすい。(特に冬場)
体に負担がかかりやすく、無防備な状態です。
しかも、高齢者は私たち介護士が思っている以上に傷つきやすく、体が弱いです。
ちょっとした油断や隙が重大な事故になります。
どの入浴事故も命に関わる重大な事故。
しかも、デイサービスでよくある事故です。
ニュースになる場合もあります。
怪我に至らない場合でも、利用者様や家族様との信頼関係はガタガタです。
安全なはずの入浴サービスが一転!?死亡事故に!!
自宅にお風呂場があるのに、高齢者がデイサービスに通ってまで入浴する理由。
それは、死亡事故のリスクが高いからです。
平成28年の時点では、すでに交通事故で亡くなる人より自宅のお風呂場で亡くなる方の方が多くなっています。
デイサービスの入浴中に事故が起きるのはこの期待を裏切ることになります。
場合によっては、利用者様が亡くなることさえあります。
もちろん、損害賠償とか営業停止とか・・・
家族様への補償とか社会的なペナルティーの問題もあります。
それよりも1番の問題が「家族様の信頼を裏切る」ことです。
そうならないように、失敗から学ぶのが入浴事故を防ぐ近道になります。
今回は深刻度の順でよくある入浴事故を紹介します。
【ワースト1】溺れる
この事故の最大の原因は、「介護職が利用者様から目を離す」ことが最大の原因です。
デイサービスの場合、複数の利用者様を同時に介助をしないといけない場合があります。
ちょっと目を離したすきに、溺れて亡くなっていたというケースが多いです。
デイサービスで溺れた事例(朝日新聞デジタルHPより引用)
通所介護施設で2019年1月末、96歳の女性利用者が入浴中に溺れて死亡する事故が起きていた。女性は1月31日正午前、職員の介助で、車いすに座った状態で利用できる浴槽に入った。入浴の際は職員が付き添わなければならなかったが、他の利用者も気になって浴室を離れたという。別の職員が約2分後に浴室を見たところ、女性は顔が浴槽内のお湯につかった状態で、ほぼ意識がなかったという。女性は搬送先の病院で死亡した。
一般浴だけでなく、特浴も溺れてしまう可能性があります。
特浴には、シートベルトや水位を調整する機能がありますがそれはあくまでもサポートとしての機能です。
最終的には介護士の目で確認して調節しなければいけません。
とは言っても、ずっと利用者様を見続けることは不可能。
だから、目を離している間も利用者様の状況は常に変わり続けていることを意識してください。
特浴でも溺れてしまいやすい利用者様の特徴
- 血圧が正常値だが、変動している。
- 体重が軽い。
- 脳梗塞で片麻痺。
- 湯船に浸かっているときに足を上げようとする。
- 座位が安定しない。
溺れないようにするための1番の対策は見守りです。
利用者様の血圧や座位が安定しないなど、体調がよくないと思われる時はその日は入浴中止するのも事故防止の対策になります。
- ただ見ているだけは見守りじゃない。
- 新人介護士は「見守り=見てるだけ」と勘違いしている人がいます。実は見守りは見ているだけではありません。見守りとは「何か異常があればすぐに支援できるように様子を見る」ことです。見ていても利用者様の状態異常に気づけないのは見守りではありません。
バイタルが安定していても、介助するのに不安要素がある場合は看護師に相談しましょう。
【ワースト2】やけど
これの対策は湯船に浸かる前に湯温を確認することです。
- 設定温度を確認する。
- 浴槽内の温度を測る(温度計)。
- 湯船に浸かる前に介護士の手でも確認する。
お風呂の給湯器も機械なので故障することがあります。
湯温を40℃に設定したのに、実際には45℃もあったら利用者様が確実にやけどしてしまいます。
介護自身の手でも湯温を確認することで、万が一給湯器周りが故障していても利用者様のやけどを防ぐことができます。
あなたの手は最後の「セーフティネット」ですね。
【やけどの深さ】
一般社団法人 日本形成外科学会HPより引用(https://jsprs.or.jp/general/disease/kega_kizuato/yakedo/yakedo.html)
【やけどの症状】
Ⅰ度 | Ⅱ度 | Ⅲ度 | |
---|---|---|---|
損傷レベル | 表皮より浅い | 表皮、真皮 | 皮膚全層・皮下組織 |
症状(外見) | 赤み(充血、発赤) | 水疱(水ぶくれ) | 乾燥(黒色、白色) |
症状(自覚) | 痛み、熱感(熱い) | 痛み(損傷レベルが深くなるにつれて痛みが減少) | 無痛、感覚なし |
治癒期間 | 数日 | 1~4週間 | 1ヶ月以上 |
傷跡 | 残らない | 残る場合と残らない場合がある | 残る |
デイサービスで入浴された高齢者がやけどで亡くなられる事故も起きています。
デイサービスの入浴中にやけどで亡くなれる事例(朝日新聞デジタルHPより引用)
2016年4日午後1時40分ごろ、「高齢の女性が入浴中にやけどした」と119番通報があった。入所者の女性(97)が下半身全体をやけどし、病院に運ばれたが約9時間後に死亡した。4日午後1時25分ごろ、男性職員(37)が女性の入浴を介助し、電動リフト式入浴装置で浴槽に入れた。直後に女性が手足をばたつかせ、引き揚げたという。
https://www.asahi.com/articles/ASJ8554BZJ85PXLB00B.html
【ワースト3】表皮剥離
年齢を重ねると皮脂成分の分泌が減ってきます。
そうすると、肌のバリアが弱くなってきます。
しかも皮膚自体が薄くなってくるのです。
つまり、高齢者のお肌は傷つきやすくなります。
ちょっとした接触でも利用者様は表皮剥離(皮膚が剥がれて出血する)しやすくなります。
体を洗うときに強く擦りすぎたり、爪が利用者様の肌に触れるだけでも表皮剥離させることになります。
利用者様の肌を傷つけてしまうもの・こと
- 衣服や紙おむつの摩擦
- 爪との接触
- 強く擦りすぎる
- 不十分な肌観察
- 指輪などのアクセサリー類
介助中はもちろんですが、介助前に利用者様を傷つけるものを身につけていないか?爪は長くなっていないか?介護士自信のお手入れもしておきましょう。
アクセサリー類は介助に必要ないので外しておく方が無難です。
施設によっては、仕事中に結婚指輪も外さなくてはいけないところもあるぐらいです。
高齢者の起きやすい肌トラブル
- 絆創膏や粘着テープ等の刺激でかゆみがある。
- 常に皮膚がかさついている。
- 体を洗った後、肌がつっぱっている。
- 摩擦・ずれの多い部分がざらつき、皮がむける。
- 寝具やシーツにフケのようなものがポロポロとはがれ落ちる。
入浴中の事故を起こさないためには利用者様の見守りが必要です。
利用者様の変化に気づくことです。
入用前の肌観察は、入浴中の事故を防ぐための利用者様からもらう情報です。
「表皮剥離」だけに注目するではなく、肌の状態を観察して下さい。
【ワースト4】申し送りの未確認
同じ利用者様でも日々体の状態は変わります。
昨日はお元気でも、今日は咳き込んでいる。
あるいは、歩行するときに足がなかなか進まない。
それを知るきっかけが「当日の申し送り」なのです。
さらに、家族様や利用者様からあなたにやって欲しいこと(あるいは、やってほしくないこと)も書かれています。
深刻度は家族様に謝れば済む問題から利用者様の命にかかわる発展する問題もあります。
一つ言えることは、申し送りの確認を忘れていいことは一つもないということです。
ほとんど、申し送りが変わらないように見えて確認しない時に限って、申し送り内容が変わっていたりします。
【ワースト5】転倒・転落
最も多い事故が転倒、転落事故です。
入浴中はそれ以外の時に比べて転倒・転落しやすくなります
一般浴だけでなくて、特浴の利用者様も転倒・転落の可能性があります。
入浴時になるとそれ以外の状況より無防備で転倒、転落しやすい状況になります。
【死亡に至った転倒・転落・墜落の内訳(2018年)】
杖で歩行していてもスリップしたり、つまづいて転倒しやすい高齢者が服を着ない状態で入浴場を歩くとさらに転倒しやすくなります。
転倒事故は死亡に至らなくても、利用者様のその後の人生に大きく影響します。
一言で言って「死ぬより辛い人生」になることは間違いありません。
そして、高齢者の転倒で恐ろしいのが転倒して数日後に激しい痛みが出ることもあることです。
万が一、入浴中に転倒があれば痛みや外傷がなくても病院受診をしてもらうのが無難です。
【介護士なら知らないとヤバい】入浴介助中の事故対策【3つの共通点】
入浴事故が起きると利用者様だけでなく、介護士であるあなた自身も不利益を被る(困ったことになります)ことになります。
入浴事故であなたに迫る不利益(恐怖)
- 介護士としての自信を失う。
- 利用者様や家族様から恨まれる。
- 損害賠償を請求される。
- 仕事を辞めないといけなくなる。
- 逮捕されることもある。
- あなたが事故を起こしたことがニュースになる。
- 入浴介助をするのが怖くなる。
入浴中に事故を起こしていいことは一つもありません。
転倒事故を防ぐ対策はめんどくさがらず、確実におこないましょう!!
入浴事故にはいろんな原因があり、いろんな観点から対策を立てられます。
その対策には3つの共通点があります。
よくリスクマネジメントと言われますが、そのリスクマネジメントは大別すると3つのうちのどれかあるいは複数当てはまることができます。
事故報告書やヒヤリハットの対策を立てるときの参考にもなります。
3つの共通点を意識して事故対策を実行すると、危険予測することができるようになります。
この3つの共通点はこれら、入浴事故ワースト5にも当てはめて考えることができます。
【入浴事故対策の共通点1】見守り
見守りって何??
Weblio辞書(https://www.weblio.jp/content/%E8%A6%8B%E5%AE%88%E3%82%8A)より引用
つまり、危険(事故が発生しないように)気を配ることです。
ただ利用者様を見ていればいいわけではありません。
入浴中は、血圧が変動したり、体温が変動したり、血流の速さが変わったりと確実に体調が変化しています。
「前回のご利用時とどこが違うのか?」じっくりと観察しましょう。
入浴介助中は介助している利用者様だけを見守ればいいわけではありません。
特に、一般浴では1人の介護士につき3〜5人程度同時進行で入浴サービスを提供しなくてはいけません。
基本は洗身、洗髪介助をしつつも、介助していない利用者様の様子観察もしなければいけません。
- どの利用者様が
- どこで
- 何をしているのか?
チラチラ見るようにしてください。
【入浴事故対策の共通点2】システム化された確認作業
「確認作業をシステム化」とはある確認作業を思い出す機会を作ることです。
せっかく、事故の最初を予防するのにたてた対策も実行されなければ「絵に描いた餅」です。
決めた対策は全ての介護士がもれなく実施すること。
でも、デイサービスの利用者様はその日によって変わるので
利用者様の状況は日に日に変化します。
定期的にチェックリストを見直しましょう。
塗布薬や入浴前後の処置など、利用者様個別で対応しないといけないことは「入浴サービス」を管理する表に直接確認できるようにすると漏れが少なくなります。
【入浴事故対策の共通点3】環境を整える
入浴介助中に起きてしまう事故は、介護士のミスだけが原因ではありません。
脱衣場や浴室の環境が整っていないために起きてしまう場合もあります。
環境の問題はマニュアルを作り直せば解決するものから、大きな工事が必要なものまであります。
すぐに解決できる問題とそうでは問題があるのです。
環境を変えるのは介護士1人だけでは解決できません。
入浴介助中に危険だなと思ったことは積極的に申し送りに上げ続けることが環境を変える第一歩です。
新人介護士でも簡単にできる!!【入浴の種類別】事故を防ぐ個別対策
これを踏まえた上で、一般浴、特浴別での具体的な事故を起こさないためにあなたが何をできるのか提案します。
この対策をしたからといって、100%事故を防げるわけではありません。
ただ、今より事故を防ぐ確率が上がります。
一般浴の事故対策
一般浴は基本的に自立度の高い方が入浴されます。
一般浴の対象者
- 要支援1〜要介護2
- 洗身、洗髪、衣類の着脱は一部以外はご自分でされる
- 個別で対応する(体の大きな手術あとを気にされるなど)必要がない
- 歩行することができる。
一般的には背中の洗身、洗髪以外はご自分でできる方が一般浴で入浴されます。
その性質上、職員1人で入浴される利用者様は3〜5人ずつ介助することにになります。
特に重要なのが利用者様の見守り【変化に気づく】です。
一般浴で入浴されるぐらい介護度の低い利用者様も高齢者だからです。
今が元気な利用者様も数秒後に体調が急変したり、足を滑らせて転倒することが
【一般浴の事故対策①】湯温の確認
一般浴の場合は湯温を微調整するのは難しいです。
複数人同時に入浴されるからです。
湯船にお湯を張るときに温度計だけでなく、あなたの手でも湯温を確認してください。
明らかにやけどする湯温の場合は手が確認するのが確実です。
【一般浴の事故対策②】室温(脱衣室、浴室)の調整
特に冬場によく見られるのが「ヒートショック」と呼ばれる物です。
これは、高齢者の血圧が乱高下することで体調を崩すことです。
デイフロア→脱衣場→入浴場の温度差が大きくなるとこのヒートショックになりやすくなります。
気温(室温)が高い→血管が広がって血圧が下がる。
気温(室温)が低い→血管が縮まって血圧が上がる。
介護福祉士の試験でも出ることがありますよ。
ほとんどの施設が脱衣室内にエアコンがあります。
しかし、浴室にもエアコンがあるとは限りません。
利用者様が入浴し始められる30分前までには、一般浴に湯船をためてその蒸気で浴室内を温めておくと脱衣室と浴室の温度差を小さくすることができます。
脱衣室と浴室の温度差が大きいと利用者様の体への負担も大きくなります。
【一般浴の事故対策③】入浴時間の管理
湯船に浸かると気持ちよさのあまり長湯になりがちの利用者様が多いです。
しかし、長湯のしすぎは湯当たりの原因になります。
利用者様は気持ちよくなるために入浴しているのに、入浴で気分が悪くなってしまうのは本末転倒です。
【入浴時のよくある会話】
絢音さん、そろそろお風呂から上がりましょうか?
まだ、寒いからあがらないよ。
(数分後)
気分が悪い・・・
うぷっ。
わ〜〜〜〜〜〜〜!!
洗身、洗髪は介護士が介助に入ることである程度コントロールできますが、湯船に浸かる時間は利用者様に押されて上がっていただけない場合があります。
ちなみに湯船に浸かる適切な時間は3〜5分程度です。
基本的には時計を見ながら、3〜5分経ったら湯船から上がる声かけをします。
どうしても長風呂になる利用者様に関しては、適切な時間の1分早く声かけをしておくと適切な時間に湯船に上がることができます。
タイマーも合わせて使うと効果的です。
【一般浴の事故対策④】主治医や家族様からの指示を守る
申し送りには入浴に関する家族様からの依頼や主治医からの指示が書かれている場合があります。
申し送りの確認不足は利用者様の体調不良に繋がります。
入浴介助で情報不足は事故を意味しています。
「便秘薬飲みました」のような情報でも見逃すと入浴できない利用者様が出てきたり、意識を失う利用者様が出てきたりします。
申し送りはもれなく確認しましょう。
【一般浴の事故対策⑤】利用者様の見守り【変化を気づく】
一般浴で最重要になる対策です。
高齢者は入浴中にいつ意識を失ったり、転倒して怪我をしてもおかしくない状態だからです。
一般浴での入浴介助の特徴は介護士:利用者様の比率が1:多である点。
つまり、1人の介護士で複数人の利用者様を介助しないといけません。
Aさんの背中を洗いつつ、Bさんに「胸やお腹を洗ってください」と声掛けしつつ、湯船に浸かっているCさんの状態変化もみる。
入浴介助で一番難しい技術です。
入浴中に事故が起きやすいタイミングも把握してください。
高齢者の場合、行動はパターン化していることが多いからです。
絶対に忘れないで欲しいのは
高齢者(体調が急変しやすい人)が服を着ない状態(無防備)で脱衣室・浴室(デイフロアとは違う環境)にいることです。
いつ入浴事故が起きてもおかしくないという視点で見守りを行ってください。
要支援1でほぼご自分で洗身、洗髪、衣類の着脱をされる方でも転倒したり、体調が急変する可能性が0ではありません。
いつ、どこで、何があってもすぐに適切な行動ができるのが「見守り」です。利用者様の行動を予測しながら介助します。
特浴【機械浴】の事故対策
特浴(機械浴)は寝たきりや車椅子の方でも入浴するための方法です。
基本的には介護士:利用者様が1:1です。
だからといって安心してはいけません。
むしろ、一般浴よりも入浴事故が起きやすい状況です。
一般浴は利用者様の動きを予測しながら介助すればよかったのに対し、特浴では100%介護士の動きで入浴事故を防げるかどうかが決まります。
どの対策も安全配慮ができているかどうかが問われます。
新人介護士でも最低限、この5つは確実に行ってください。
【特浴の事故対策①】車椅子、ストレッチャー、シャワーキャリーを使うときはストッパーの確認をする。
シャワーキャリー(チェアー浴用のチェアーも同様)は歩行困難な利用者様でも簡単に浴室内を移動できます。
その反面、ストッパーで止めないと確実に利用者様が転倒、転落してケガをしてしまいます。
次々と利用者様の入浴介助をしないといけない状況の時に忘れがちになります。
事前に入浴介助の段取りを済ませ、ストッパーの確認をできる余裕を持つのが、ストッパーの止め忘れを防ぐ鉄則です。
入浴時の事故は、介護士のメンタルに大きく影響します。
あなたにとってショックな出来事(仕事、プライベート両方とも)が会った時は入浴事故が起きやすいです。
どれだけ気持ちが落ち込んでいても、利用者様が安全に快適に入浴できるのを考えるのがプロの介護士です。
【特浴の事故対策②】湯船に浸かる前にシートベルトの確認
湯船に入ると水圧で利用者様の体は浮きます。
体の小さい、軽い利用者様はすぐに溺れます。
それを防ぐのがシートベルトです。
図はチェアー浴用のチェアーですが、リフト用のストレッチャーにもベルトがあります。
湯船に浸かる前に確実にシートベルトをしましょう。
特浴の種類によってシートベルトが1本だったり、2本だったりします。
新人介護士さんはシートベルトの本数も含めてチェアーやストレッチャーを使う練習をして覚えてください。
【特浴の事故対策③】利用者様の体格に合わせて水位調整する
特浴で入浴される利用者様の体格は様々。
しかし、使う特浴のサイズは一つです。
体の大きな利用者様が湯船に浸かるときの水位のまま体の小さい利用者様が入浴されると確実に溺れてしまいます。
入浴前には水位の確認をしましょう
使う特浴の種類によっては設定した水位以上にならないようにできるものもあります。
そうでないものに関しては、入浴前に浴槽の栓を抜いて水位を調整してから入浴介助に入りましょう。
ちなみにこれから特浴を導入される施設さんはOG技研の特浴をお勧めします。
チェアー浴の場合は特定の水位まで来たら自動的に水位が上がらない機能があるからです。
介護事故のほとんどは人為的なミスが原因なので、それを機械の力でカバーできる機能をOG技研の特浴にはあります。
【特浴の事故対策④】ストレッチャー上で介助するときは柵を確認する。
寝たきりの方の着脱、洗身・洗髪介助をするときにストレッチャーは欠かせません。
ストレッチャーを使うときに絶対に忘れてはいけないのが、ストッパーと「柵」です。
事業所の平均介護度が上がれば上がるほど、ストレッチャーを使う場面は増えます。
特養併設型のデイサービスの場合は、必ずストレッチャーを使うと思っておいて間違いないです。
【特浴の事故対策⑤】定期的に業者に点検してもらう!!
要介護4や5の利用者様でも簡単に安全に入浴介助できるのが特浴。
使うのが当たり前になると、故障した時に困るものです。
家族様や利用者様にとってデイサービスで入浴するのは「当たり前」だと思っています。
極力「特浴が故障したので入浴中止」というのは避けます。
特浴が故障しても入浴サービスを提供しようと思うと、業務が複雑化します。
そうならないように、普段から特浴のメンテナンスをしてもらうのが最善です。
特浴が故障するとアクシデントが続きます。
特浴が故障するといういつもとは違う状況はあなたのメンタルを下げることになるからです。
少しでも「特浴がおかしいな」と思ったら申し送りを上げましょう。
それでも入浴介助中に事故では、スピードでデッド・オア・アライブ【迅速な入浴事故後の動き】
どれだけ、対策を立てても・・・対策を確実に行なっていても・・・入浴事故が起こることがあります。
それは、介護の仕事は「人」が相手だからです。
もし、入浴事故が起きてしまったらスピーディーに判断して、実行するのが事故によるデメリットを最小限にする最善の方法です。
意識がない、大きな外傷がある場合
入浴中に事故が起きて以下の場合は看護師に状態確認をしてもらって、すぐに救急搬送です。
病院搬送されるまでの時間が利用者様の命が助かるかどうかの分かれ目です。
救急搬送しないといけない重大な状態の場合、協力者が必要になります。
救急隊が到着したら、利用者様の状態を簡潔に伝えます。
個人ケース記録を見ながら伝えましょう。
利用者様が入院になった場合、関係者にことの詳細を時間ごとに伝えます。
意識消失など重大な状態ではない場合(一般)
重大な状態でない場合もまずは看護師に状態確認を依頼。
外傷がなくても、違和感や関節などの動きに制限が出てる場合があります。
その時に何もなくても遅れて痛みや皮下出血が出る場合もあります。
利用者様にケガや痛みがなくても、経過観察しておかわりがあれば都度家族様やケアマネに報告します。
利用者様の痛みが大きくなるようであれば病院受診をしてもらいます。
この場合、一番多いトラブルは後から「うちのおばあちゃん、痛みが出てきたのですが」と言われることです。
少しでも痛みや外傷があれば、職員付き添いで施設から病院受診をしておくとトラブルを防ぐことができます。
入浴中に事故が起きたら家族様やケアマネだけでなく、上司や管理者にも報告しておきましょう。
まとめ
「入浴」は利用者様がデイサービスに来る大きな理由の一つです。
入浴事故は、利用者様や家族様に「デイサービスで入浴すると安心だと思っていたのに・・・」とあなたの施設の評価を下げることになります。
入浴事故を起こさないように
- 見守り
- システム化された確認作業
- 環境の整備
の考え方を取り入れた対策を立てて、実行してください。
それでも、入浴事故を0にすることはできません。
デイサービスの対象は常に変化している「人」が相手だからです。
だからこそ、もし事故が起きたらスピーディーに判断して行動しなければいけません。
重大な状態の場合は必ず協力者を集めましょう。
入浴の事故が起きても冷静に判断できるようになるには、体が勝手に動くぐらい入浴介助の仕事を覚えていることが前提になります。
入浴事故を防ぐために、入浴事故が起きてもすぐに判断できるようにデイサービスの入浴の仕事にどんなものがあるのか確認しましょう。
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