※褥瘡の画像を使っているので、一部グロテスクな表現があります。ご理解の上、ご覧ください。
結論:利用者様の安全を確保しつつ、「非日常」を入浴場に演出しよう!!あと、脱衣介助時の肌観察も忘れずに!!
入浴介助は利用者様が服を脱いだ無防備な状態で直接介助をするので怖いと感じます。
でも、利用者様から「気持ちよかったわーありがとうな」と言われると「介護士やっててよかったなー」と思えます。
他人の喜びを自分の喜びとして感じことのできる介護士。
入浴介助はダイレクトに利用者様と入浴の「気持ちいい」を共有できるサービスです。
利用者様を気持ちよくさせる入浴介助にはコツがあって
ことです。
入浴介助は「時間との勝負」。
丁寧に介助するだけでは利用者様の安全を確保することはできません。
利用者様から「今日も気持ちよかったよ。ありがとう」と言ってもらえる入浴介助をするためには、「目的」と「介助の流れ」を覚えてください。
・利用者様がデイサービスで入浴する目的
・褥瘡のできやすい場所
・入浴介助の流れ
・入浴場に「非日常」を簡単に演出する方法
それと忘れてはいけないのが脱衣介助時の「肌観察」。
利用者様の変化にいち早く気づける介護士になってください!!
なんでデイサービスで入浴するの?【入浴介助の目的3選】
結論の話の前に、何のために入浴するかを理解しましょう!
入浴介助に絶対はなくて、利用者様によって介助方法がかわるからです。
入浴の目的を理解して、基本的な介助を応用させるのがバイステックの原則で言うところの「個別化」になるからです。
よく聞く利用者様の入浴拒否の理由、「家でお風呂入るのに、なんでここで入浴
しないといけないの。」
結論から言うと、高齢者が自宅で入浴するのは危険だからです。
デイサービスで入浴するのは利用者様の命を救うことになるのです。
そもそもなんのために入浴するのか?
【目的①】体の清潔を保持する
清潔保持!!
これがお風呂の1番の目的です。
もはや人間としての「尊厳」なんてかけらも感じません。
お風呂は「人間らしく」生活するための必需品なのです。
【目的②】利用者様をリラックスさせて「気持ちよく♡」させる
適度な水圧と湯温でリラックス。
そのためか、長湯が好きな利用者様が多いです。
声をかけないと9割以上の利用者様は5分以上湯船に浸かっています。
入浴は利用者様ご本人が思っている以上に体に負担がかかります。
入浴時間を守りながら入浴してもらいましょう。
【目的③】スキンチェック(肌観察)をする。
歳を重ねると肌トラブルが増えてきます。
入浴時は全身の肌を観察できるチャンス。
小さな肌トラブルを見つけることで、大きなケガや病気になる前に対処することができます。
【優しくしてほしい】高齢者の肌は弱い!!
高齢になると肌トラブルが増えてきます。
私たちならすぐ治る水膨れも高齢者の場合は、褥瘡になってしまうことも珍しくありません。
抵抗力が弱くなっているので小さな肌トラブルが大きなケガや病気の原因になるのです。
高齢者によく見られる肌トラブル3選
入浴の時は、利用者様のお肌をじっくり・・・
穴が開くまで見てください。
そうすると、利用者様のお肌の大変な状態に気づけます。
年中のなんらかの肌トラブルを抱えています。
特に水疱はほっておくと、皮膚剥離(皮膚が剥がれてケガになってしまう)や褥瘡(床ずれ)の原因になります。
利用者様の命に関わる【褥瘡(床ずれ)】ができやすい場所
高齢者のスキンチェックをするときに見てほしいのが「褥瘡(床ずれ)」ができていないかどうかです。
最初は小さな赤みでも、進行すると骨にまで達してしまいます。
場合によっては死亡してしまうこともあります。
なんで褥瘡になるのか?
介護の業界では寝ているときの「圧力の集中」が原因と言われています。
利用者様の入浴介助をするときは以下の部分に水疱(水膨れ)があれば初期の褥瘡である可能性があります。
ただし、ここ以外にも褥瘡はできます。
褥瘡になる前に、この部分を中心に全身のスキンチェックをしてください。
少しでも肌トラブルがあったら看護師を呼んでね♡
「これは褥瘡なんじゃないかな」、「いやー、あせもでしょ」と言いたくなりますがちょっと待ってください。
褥瘡もあせもも診断するのは「医師」の仕事です。
私たちはあくまで「状態」を伝えるだけです。
「水疱」は肌の状態なので伝えても問題ないです。
でも、「褥瘡ができてますよ」と言うことはできません。
デイサービスで一番医師に近い立場が看護師。
肌に異常があれば看護師に状態を見てもらいましょう。
必要であれば家族様に「病院受診」を勧めます。
新人介護士にもできる入浴介助。気持ちよくなる体の洗い方♡【入浴介助の流れ】
利用者様の話を聞くと約9割が「他人に洗ってもらうと気持ちいいわ」と話されます。
気持ちいいのって湯船に浸かっているときだけではなかったんですね。
私たちは何気なく体を洗っています。
でも、いざ他人の体を洗うとなるとどこから洗えばいいか迷います。
一般的な入浴介助時の洗身の型を身につけてると9割の利用者様に「気持ちよく♡」なってもらうことができます。
ここで注目して欲しいのがスキンチェックのタイミングです。
脱衣介助しながら利用者様のスキンチェックをします。
水疱(水膨れ)やキズがあって、水に濡れないように処置しないといけない場合もあります。
利用者様のお肌に異常があれば看護師に状態確認と処置を行ってもらいましょう。
看護師の状態確認が終わったら、看護師から入浴時の注意点を尋ねましょう。
入浴する前に事前準備を怠らないように。
入浴介助は8割が準備です。
- バイタル確認
- 利用者様の荷物の準備
- 浴室の環境を整える(室温、湯船の準備など)
- 申し送りの確認
- 入浴前のトイレの声掛け
デイサービスの入浴はその日の利用者数の8割〜9割が対象です。
入浴介助だけで1日使うほどの事業所もあるほどです。
事前準備を確実に行う時間がないと思うかもしれません。
でも、事前準備をしないとスムーズに入浴介助はできません。
洗身・洗髪介助の基本はこれだ!!
では、ここからは洗身・洗髪の流れを見てみましょう。
洗身・洗髪介助の流れ
- かかり湯をする
- 洗髪をして(洗顔も)流す
- 上半身の洗身
- 下半身の洗身
- 陰部、臀部、肛門を洗う(基本的にはご自分で洗ってもらう)
- 泡を流す
ただ、足を広げると痛がる利用者様もいるので表情を見ながら、声かけしながら介助してください。
入浴介助においては、「できる部分はご自分で洗身、洗髪してもらう」のが鉄則です。
どうしても手の届かないところや、十分に汚れが取れていない箇所(特に後ろ)は介助が必要です。
一般浴で入浴される方の中には「見守り」だけで十分な利用者様もいます。
高齢者でも「恥ずかしい・・・」デリケートゾーンを洗う!!
基本的にはデリケートゾーンは男性、女性ともにご自分で洗ってもらいます。
現状男性よりも女性の利用者様の方が圧倒的に多いです。
男性が女性の入浴介助をする機会はまだなくなりません。
「私はいいよ」って言ってくださっている女性の利用者様も本当は恥ずかしい。
いつも世話になってるお兄ちゃんやし。ちょっと我慢して洗ってもらおう。自分では綺麗に洗えないし。
と思っています。
それを踏まえた上で男性介護士は介助してください。
女性のデリケートゾーンを洗うとき、これを逆にするとデリケートゾーンに雑菌が侵入して膀胱炎などを起こします。
絶対に逆の洗い方はしないでください。
虹色、赤色部分が汚れの溜まりやすい部分です。
この裏側も汚れがたまりやすいです。
あまりにも汚れがひどい時は男性で介助した方が無難です。
男性利用者様の中には「女性職員に自分のデリケートゾーンを洗って欲しい」と言う欲望を出す方もいらっしゃいます。
そんな方は自分で洗えるのに洗えないふりをして女性介護士に洗わせようとします。
男性で介助するのが無難ですが、女性が介助しないといけない場面もあります。
こんな時は、さらっと話を流しつつタオルを渡して利用者様から距離を取るのがベターです。
それでも、手首を掴んだり貴女の体を触ろうとする行為が見られたら上司に報告しましょう。
入浴後のスキンケアも忘れずに
湯船から出たらあがり湯をして、タオルで体をふきます。
体の水分を十分に拭き取ったら、次はスキンケア。
処置関係は介護士ではできないので看護師を呼びます。
今後、法改正で介護士でもできる処置が増えるでしょうが基本的には看護師にお願いするのが無難です。
スキンケア→着衣介助→整髪介助が終わったら入浴介助は終わりです。
声かけから整髪介助までにかかる目安の時間は約25分〜約40分です。
これができたら利用者様の「気持ちよかったわ〜」をもらえる方法
お風呂は一工夫するだけで、「楽しいお風呂」になります。
入浴中のトラブルを防せぎつつ、入浴を「非日常」を演出するのがポイントです。
【あっ!!】お風呂場でのトラブル5選と解決法
あなたの事業所でもいずれかのトラブルを経験したことがあるのでは?
トラブルを予防する。
トラブルが生じてもすぐに解決できるように準備する。
利用者様に入浴を楽しんでもらうには「トラブルがない」のが一番です。
新人介護士でもできる利用者様が楽しめる入浴3つのこと
新人介護士でも利用者様に入浴を楽しんでもらう方法は以下の通りです。
トラブルを先に解決しつつ、利用者様に非日常を楽しんでもらうのがベストです。
入浴で手っ取り早く利用者様に「非日常」を提供する方法。
それが「季節のお風呂」です。
スーパー銭湯とかでやっている「今月のイベント風呂(ゆず湯など)」です。
季節のお風呂のデメリットは「費用がかさむ」ことです。
もし、あなたの施設から予算が出そうなら試しにやる価値があります。
みかん湯やゆず湯が比較的安価で実施しやすいです。
まとめ
・入浴前の事前準備は十二分に。
・洗身やかかり湯、あがり湯は足先、手先から心臓に向かって。
・デリケートゾーンは基本的にはご自分で洗ってもらう。
・トラブルを防ぐ。
・入浴場に「非日常」を演出する
お風呂場は利用者様の全身のお肌を出しています。その分の無防備になっていることを忘れないでください。
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