結論:入浴介助の仕事の8割は事前準備です。
初めての仕事で介護士を辞めたくなる理由の一つ。
入浴介助です。
入浴介助は一つ間違えると利用者様の命がなくなったり、怪我をさせるだけでなく、あなた自身も怪我をする可能性がある危険と隣り合わせの仕事です。
初めての入浴介助で怖いポイント
- 仕事とはいえ、他人の体に触れるのは怖い。
- 万が一利用者様を落としてしまったらどうしよう。
- この前、初めて入浴介助に入ったけど何をしているのか理解できないうちにあっという間に終わっていた。
- 服が硬くて脱がせられない。時間ばかりがかかってしまう。
- 次から次へと利用者様がくる。体が追いつかない。
入浴介助はじめたての頃って先輩介護士が横についてくれますが、必死に覚えようとしてもなかなか覚えられなくて苦しいものです。
入浴介助が早くなるコツは事前準備をすることです。
入浴介助までに必要な準備
- 介助技術の練習
- 介助の知識
- 利用者様の情報を集める
- 入浴場の環境を整える。
- 必要な物品を揃える。
- 当日の入浴介助の流れをイメージする。
特に重要なのが「当日の入浴介助の流れをイメージ」することです。
私の場合は、準備物を見ながらどの利用者様から声かけをしてどんな介助をするのかイメージしています。
このイメージはすぐに獲得できるものではありませんが、意識して準備することで後から理解できるようになります。
でも、何をすればいいのか分からないと怖くて介助できない。
そこで、新人介護士のあなたにとりあえず押さえてほしい入浴介助のポイントを5つに絞って解説します。
細かいところを覚える前に大まかな内容を理解してもらえたらと思います。
・入浴介助がどんな仕事がなんとなくイメージできるようになる。
・デイサービスの入浴の種類とそれぞれどんな人が使うのか。
・利用者様の入浴カバンの中身を管理する方法
・入浴前に準備すること。
・新人介護士が突き当たりやすい入浴介助の「壁」
なんで入浴が必要なの?【入浴サービスの概要】
高齢になると、体に変化が現れます。
一見ご自分で何でもできそうな人でも、何らかの支援が必要です。
そして、同居している家族様の支援が受けづらくなっているご家庭が多くなっています。
同居の家族様が利用者様の支援が難しくなっている理由
- 家族様自体が高齢。
- 日中仕事をしている。
- (ご本人から見て)孫の世話があるので利用者様まで見れない。
高齢者が一人で入浴するのは大変危険。
体調が急変しやすいからです。
そこで、デイサービスの入浴サービスです。デイサービスで入浴介助のサービスを提供することで、高齢者は入浴する機会を確保することができます。
高齢者がデイサービスで入浴する目的は「安全、安心」
高齢になると高血圧や心臓疾患といった「死」に直結するような病気も持っています。
実際に入浴場で亡くなる高齢者は年々増えてきます。
もちろん、デイサービスで入浴していてもお風呂場で急に体調を崩すリスクはあります。
ただデイサービスの入浴の場合、介護士が「常に見守りをしている」という状況があります。
つまり、急に体調を崩してもすぐに対応出来るのです。
高齢者がデイサービスで入浴するメリット
- 急な体調不良でも介護士がすぐに気づける。
- 看護師がすぐに状態確認できる。
- 施設の協力病院へすぐに搬送できる。
- ケアマネへの連絡もスムーズ。
- 家族様に入浴介助の負担を軽くすることができる。
医療関係者である看護師が常にいる状況というが利用者様にとってデイサービスでの入浴の最大のメリット。
入浴介助をするあなたは、「利用者様の異変」にいち早く気付くのが仕事なのです。
利用者様にとって誰かに見守られなが入浴することが安心です。
自宅で入浴事故が多くなるのは本人も気づかないうちにゆっくり体が衰えているから。【高齢になると体はこうなる】
実際に高齢者の体がどのように衰えてくるのか細かく見ていきます。
高齢になると身体を動かしにくくなります。
高齢になると内臓機能も衰えてきます。
元気そうに見えても、血圧のお薬を飲んでいたり、定期的に点滴を受けないと生きていけない方もいらっしゃいます。
高齢者の身体的特徴
- 筋力が低下している。
- 体の中の機能も衰えている。
- 五感が制限される。
- 関節を動かしにくくなる。
- 肌トラブルが起きやすい。
- 失禁、便失禁が多くなる。
命に関わる大きな病気を経験されていない限り、ゆっくりと衰えてきます。
ご本人もあまり自覚ないぐらいに。
元気な方ほど「私はまだまだ大丈夫」と思っているだけに、高齢者の一人入浴は事故リスクが高くなるのです。
【油断厳禁】デイサービスで多い入浴事故
利用者様や家族様は「デイサービスで入浴すると安全だから安心できる」と思っています。
残念ながら、デイサービスでの入浴で全く事故がないわけではありません。
デイサービスでよくある入浴中の事故
- 転倒(特に一般浴)
- 溺れる
- ヒートショック(急な血圧の変動)
- やけど
- 表皮剥離
どの事故も死亡につながってもおかしくありません。
高齢者は急に体調やADLが変化します。
入浴中の事故を防ぐ鉄則は3つあります。
デイサービスでの入浴事故を防ぐ3つの鉄則
- 見守りをする。
- 利用者様の状態を常に確認する。
- 入浴場、脱衣場の環境を整備する。
「今日はいけるだろう」とこの3つの対策のいずれかを怠ると入浴中の事故を引き起こしてしまいます。
つい先ほどまでお話ししていたのに一瞬振り返ると、利用者様が溺れているという可能性が0ではありません。
よくある事故からやってはいけないことを見つけ出すのがベターです。
一瞬の油断が大きな事故につながります。
利用者様にとってのディズニーランドである「季節風呂」
入浴は清潔を保つだけのものではありません。
ゆったりと「気持ちよさ」を楽しんでいただくものでもあります。
例えば、スーパー銭湯でもお馴染みの「季節風呂」。
要介護高齢者の自宅で実施するのは難しいです。
ただでさえ介護自体が大変なのに、「季節風呂」をするほどの余裕が家族様にはないからです。
デイサービスで「季節風呂」を実施することで利用者様に「非日常」を体験してもらうことができます。
特に寝たきりの利用者様が旅行に行くのは困難です。
入浴という「日常」で「季節風呂」を取り入れることで寝たきりの利用者様でも「旅行している」のと同じ気分を味わっていただくことができます。
入浴介助に入る前に準備すること
入浴が利用者様にとって安全で快適なものになるかどうかの8割は、事前準備で決まります。
事前準備が不十分だと事故を起こしてしまったり、利用者様に寒い思いをさせてしまったりします。
利用者様の快適な入浴介助は直前の利用者様のチェックから。
利用者様のチェックをしないと入浴することはできません。
入浴前にチェックすること
- 基本情報(個人ケースファイル)
- その日の体調(バイタル、家族様からの申し送り)
- カバンの中に入っている荷物
新人介護士でも最低限、この3つはチェックしてください。
チェックを忘れると入浴後に利用者様の体調が悪化したり、利用者様の下着類などがなくなる原因になります。
ただし、チェックを完璧にしていても利用者様の体調が悪化しないわけではないので常に様子の変化に気づけるようにしてください。
入浴の備品や設備を使えますか?
入浴の備品や設備がないと入浴介助はできません。
最初は移乗介助はできなくても、車椅子から入浴用のチェアーへの座りかえのお手伝いをすることはあります。
入浴用のチェアーの動かし方を知らなければお手伝いができません。
完全に使えるようになるまで、スキマ時間で練習しましょう。
自分の体調管理も仕事のうち
入浴介助は、最も体力の消耗が激しい介助です。
特に夏場は入浴場にいてるだけで疲れてしまいます。
そんな過酷な環境なので、体調が悪い状態だと利用者様を安全に介助はできません。
夏場の入浴介助は汗がだらだらで、適度に水分補給をしていても「倒れそう」って思うぐらい暑いです。
脱衣場はともかく。
浴場には冷房がありません。
そこでおすすめの商品が「無限クールです」
事故なく安全に入浴を提供するデイサービスでの介護技術の基本
準備ができたら実際に入浴介助をしていきます。
他の介助と違って、利用者様は服を着ていない無防備な状態です。
ちょっとした摩擦や衝撃でも怪我をしますし、介助時間が長いと風邪をひいたり湯冷めしたりと体調を崩します。
事故なく安全な入浴のために「流れ」で介助を覚えよう‼︎
入浴時、利用者様は全身が裸の状態です。
特に冬場だと体力が消耗してしまいます。
入浴介助は時間が勝負。
安全確保しつつスピーディーに入浴介助をするためには入浴介助の流れを覚えておく必要があります。
入浴の流れで絶対に忘れてはいけないのが2の「バイタルを測る」と3の「家族様やケアマネからの申し送りを確認する」です。
なぜなら、正しい情報がないと事故なく安全に介助できないからです。
高血圧症の利用者様で血圧が180で朝食後に血圧を下げる薬を飲んでいない情報を知らないで入浴してしまうと、体調を一気に崩して意識を失ってしまう危険性があります。
しかし、2と3は慌てていると見逃しがち。
入浴の声かけをする前に2と3を確認しましょう。
入浴介助の流れを体で覚えたら、あとは利用者様個別の対応を考えるだけでよくなるので楽になりますよ。
ADLに合わせた入浴方法【特浴、一般浴、シャワー浴の違い】
デイサービスでは、利用者様の体の状態、家族様・利用者様の希望に合わせた入浴の種類が準備されています。
入浴の種類は大きく分けて3つあります。
熱発で急遽入浴を中止することもあります。
でも自宅に帰られるまでに「陰部清拭」だけはするようにしてください。
デリケートな部分なので利用者様の「恥ずかしい」という気持ちにも配慮してください。
特浴、一般浴、シャワー浴いずれかに一時的に変更が必要な時は相談員に相談しましょう。
【利用者様の変化を見極める】こんな時は入浴方法の変更を検討しよう!!
元気そうに見える利用者様でも日々体が衰えてきます。
それが歩行状態であったり、認知症状であったりします。
入浴方法の変更を検討するタイミングは「このままだとけがをする危険が高い」と感じた時です。
割と管理するのがめんどくさい!!利用者様の持ち物
デイサービスの入浴業務で大変なのが、利用者様の持ち物管理。
荷物を間違ってしまうと大変。
利用者様が違う人のバスタオルを使うことに・・・
あるいは違う人の下着をつけることに・・・
あなたなら「誰がつけていたか分からない下着」をつけることに耐えられますか?
利用者様が持参しているものを広げて確認する
私の下着類・・・。恥ずかしい・・・。
自宅に帰ってから着替えるのはめんどくさい。
なので、デイサービスの入浴の時に着替えられます。
施設にも備え付けのシャンプーやリンス、ボディーソープはあります。
しかし、利用者様の好みで持参される場合もあります。
入れ間違えるとクレームの元になるので、利用者様の許可をもらって名前を書いておくのが無難です。
在宅酸素が一般的になっているので、酸素吸入しながら入浴される方もいます。
物によっては利用者様の命に関わるものもあります。
意外と多い利用者様の持参物のクレーム
利用者様の立場で考えて、自分のタオルがなくて誰のか分からないタオルが入っているのって気持ち悪いですよね。
タオルの入れ間違いは直接的に利用者様の命に関わるものではありません。
しかし、利用者様に「気持ち悪い」と思わせるのは「もうデイサービスで入浴したくない」と思わせるきっかけになります。
自分の物が返却されてなかったり、違う人のものが入っているだけで利用者様の信用を失います。
クレームを防ぐための対策3選
使ったらすぐに戻す。
まだ使わないものは利用者様の体と一緒に元に戻す。
これを後回しにするとクレームの元になります。
同じ利用者様に持参物の紛失や返却忘れ重ねてしまうことが多いです。
なんと、水で濡らして強く降るだけで-5℃の涼しさを手に入れることができます。
入浴介助が少し楽になります。
絢音も「無限クール」にはお世話になっています。
新人介護士が最初に突き当たる3つの壁
私の独断と偏見で、新人介護士が突き当たる「介護士をやめたくなるほど」の壁を紹介します。
後から考えると大したことはないです。
しかし、介護初心者の頃は「介護経験」が少ないために「どうしよう」と悩んでしまいます。
これは場数をこなすしかありません。
利用者様の入浴拒否
絢音さん、お風呂へ行きましょうか!!
嫌だ、家にお風呂あるのになんでここで入らないといけないの?
お嫁様に「おばあちゃんお風呂入らせあげてください」って依頼されてるのです。
嫁なんか、関係あらへんがな。
私は「私のタイミング」で家でお風呂に入ります。もう、ほっといて!!
介護士を経験にしたことのある人なら誰でも経験がある利用者様の入浴拒否。
時間を置いてから声かけすると意外と入ってくれる人から、最後まで強く拒否される方もいます。
でも、デイサービスで入浴しないと自宅では入浴できないか倒れる危険があります。
入浴の声かけの仕方に「これ」という正解はありません。
失敗例、成功例を一つでも多く経験することが入浴拒否のある方への声かけが上手くなる唯一の方法です。
新人介護士だからこそ入浴拒否されても、声かけに挑戦し続けましょう。
今まで入浴してくれなかった方があなたの声かけで入ってもらえるようになると自分で自分を褒めたくなります。
【ショック】入浴してはいけないのに入浴させてしまった!!
「利用者様が入浴してはいけない状況」なのに入浴したしまった。
冷や汗が出るほどやばいです。
もし、やらかしてしまったら看護師と上司に報告しましょう。
入浴してしまった事実は変わりませんが、利用者様が体調不良にならない最善の対処はできます。
「元気そうだからいけるだろう」と思っていても、意外と血圧か高い時があります。
忘れてはいけないのですが、意外と抜かしてしまいます。
利用者様の服を脱がす前に、「申し送りとバイタルって確認したっけ?」と思うようにしておくとギリギリセーフになる可能性があります。
バイタル、申し送りのチェックミスは転倒事故と同じぐらい大きな介護事故です。
教育係の先輩介護士がちょっと苦手・・・
これに関しては、その先輩と会話の回数を増やすしかありません。
最初は「苦手」と思ってはいても意外と話しやすかったり、優しく指導してくれたりするものです。
こんな先輩が教育係だったら、すぐに上司へ相談して「教育係」を変更してもらいましょう。
明らかに教育係のミスチョイスです。
こんな教育係はあなたに少しでも早く一人前の介護士になって欲しいと思っています。
その期待に答えると、教育係の信用を得られるようになります。
まとめ
現場で何回も繰り返し練習しながら覚えていきましょう。
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